名古屋大学 大学院多元数理科学研究科・理学部数理学科
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ファイル更新日:2024年04月18日

教育・就職

教育プログラム概要

コア・カリキュラム

2004年1月作成 教務委員会

※ [ ]内の項目は,コアには含めないが,触れておいた方がいいと思われる内容,あるいはオプションである.

2年生での目的

  1. 数学を学習していく上での基礎(基本的な言語)を習得する.
  2. 集合と写像,線型代数,微分積分などにおける基本的な概念を理解し,関連する計算力を身につける.特に,線型代数,微分積分では,1年生に比べて論理的な扱いを重視し,基礎から理論を再構築する.
  3. 論理的な思考,記述ができるようにする.
  4. 抽象的な扱い,考え方に慣れる.
  5. 数学の広がり(それぞれの科目の間,他の分野との関係)を知る.(例えば,Jordan標準形の微分方程式への応用など.)

2年生前期

現代数学基礎 AI 集合と写像 (2年前期)
目的
現代数学の基礎言語である集合と写像の扱いに習熟し,数学の基本的な論理や証明の方法について学ぶ.集合と写像の扱いに慣れるため,簡単な代数系(置換群,整数環)を扱う.
内容
  • 集合と写像
  • 同値関係,商集合
  • 無限集合(可算・非可算集合,[ツォルンの補題])
  • 簡単な代数系(置換群,整数環とZ/nZ,ユークリッドの互除法)
現代数学基礎 BI 線型代数
目的
数ベクトル空間の議論を発展させて,抽象的な線型空間,線型写像,内積空間について学習し,線型代数の基礎に習熟する.さらに,線型代数の代数的な側面に触れる.
内容
  • 線型空間
  • 線型写像
  • 商空間,準同型定理,双対空間
  • 内積空間
現代数学基礎 CI 1変数微分積分
目的
1変数関数に対する微分積分学を現代的な理論の枠組に沿って基礎から再構築する.特に,ε-δ論法などの論理的な扱いを重視する.
内容
  • 実数の基本性質(実数の連続性,数列・級数の収束)
  • 連続関数とその性質(一様連続,関数列の収束,一様収束)
  • テーラーの公式(べき級数,テーラー展開)
  • リーマン積分(定義,積分可能性)

2年生後期

現代数学基礎 AII 位相と距離
目的
ユークリッド空間の位相について,正しい感覚を身につけ,論理的な議論ができるようにする.さらに,一般の位相空間について学習し,その例や性質を理解する.
内容
  • ユークリッド空間Rnの位相
  • 位相空間と連続写像
  • 位相空間の性質(連結性,コンパクト性,[ハウスドルフ空間])
  • 直積位相,商位相(円周,トーラス)
  • 距離空間(CO(I),完備性・完備化)
現代数学基礎 BII 線型代数続論
目的
ジョルダン標準形などの行列の標準形の理論を通して,線型代数の取り扱いに慣れ,計算力を向上させるとともに,その幅広い応用を学ぶ.
内容
  • 線型変換のジョルダン標準形(対角化)
  • ジョルダン標準形の応用(定数係数線型常微分方程式)
  • 対称行列の対角化とその応用
  • 単因子論(基本変形の見直し,行列式因子,[Z上の基本変形])
現代数学基礎 CII 多変数微分積分
目的
n変数関数に関する微分積分学を基礎から再構築するとともに,多変数関数の微積分に関する幾何的な感覚,実際の計算力を育成する.
内容
  • 多変数関数の連続性と微分可能性(方向微分,全微分)
  • 高階導関数,テーラーの公式
  • 陰関数定理
  • ラグランジュの未定乗数法
  • 多変数関数の積分と変数変換
  • [積分と極限の交換]
現代数学基礎 CIII 複素関数論続論
目的
前期の複素関数論に引き続いて,コーシーの積分定理の応用,複素関数のさまざまな性質を学び,べき級数や留数計算などの複素関数の扱いに習熟し,関連する計算力を身につける.
内容
  • 初等関数(対数関数など)
  • べき級数,ローラン展開
  • コーシーの積分定理とその応用
  • 留数
  • [解析接続]

3年生での目的

  1. 数学において頻繁に現れる基本的な対象や概念(例えば,群など)を,その例とともに理解し,使いこなせるようになる.
  2. より高度な数学を展開するために必要な概念(例えば,多様体など)の典型的な例や考え方に触れる.
  3. 抽象的な扱い,考え方に習熟する.
  4. 数学的な対象や概念のもつ多面性を学び,数学の広がり(それぞれの科目の間,他の分野との関係,現代数学へつながり)を知る.

3年生前期

代数学要論 I 群論 (3年前期)
目的
基本的な代数系の一つである群について,その基礎理論をその例とともに理解する.特に,具体例の扱い,抽象的(公理的)な扱いへの習熟を重視する.
内容
  • 群論の基礎(部分群,正規部分群)
  • 剰余群,準同型定理
  • 群の作用
  • 有限生成アーベル群の基本定理([Z加群])
幾何学要論 I 曲線と曲面 (3年前期)
目的
曲線・曲面について,微積分,線型代数を用いて調べる方法を学び,幾何的対象の扱いに習熟する.特に,曲率などの概念をその意味とともに理解する.
内容
  • R2R3内の曲線(長さ,曲率,ねじれ)
  • R3内の曲面(接平面,面積,第1・2基本形式,ガウス曲率,平均曲率)
  • [測地線,ガウス・ボンネの定理]
解析学要論 I 微分方程式 (3年前期)
目的
基本的な微分方程式の解法に習熟するとともに,初期値問題に対する解の存在と一意性について学ぶ.また,微分方程式の自然科学,工学などへの応用を理解する.
内容
  • 微分方程式と解の意味
  • 解法(求積法,級数による解法)
  • 線型常微分方程式
  • 解の存在と一意性
解析学要論 II 測度と積分 (3年前期)
目的
リーマン積分を見直し,より汎用性の高い積分論であるルベーグ積分とその性質を理解する.さらに,一般の測度空間とその上の積分の概念に触れる.
内容
  • リーマン積分の見直し([ジョルダン測度])
  • ルベーグ測度とルベーグ積分
  • ルベーグ積分の性質(ルベーグの収束定理,リーマン積分との関係)
  • 一般の測度と積分
  • 直積測度とフビニの定理

3年生後期

代数学要論 II 環論 (3年後期)
目的
基本的な代数系の一つである環について,その基礎理論を,整数環と(多変数)多項式環を中心的な例として理解する.特に,多項式の扱い,性質などに習熟することを重視する.
内容
  • 環論の基礎(イデアル,剰余環,準同型定理)
  • 体(有限体)
  • 多項式環の性質
  • 対称式と交代式
  • [環上の加群]
幾何学要論 II 微分形式 (3年後期)
目的
微分形式とその曲線・曲面上の積分について理解し,ストークスの定理を通じてトポロジー的な考え方にふれる.また,ベクトル解析との関連,その物理学への応用を学ぶ.
内容
  • 微分形式とその積分(向きの概念,外微分)
  • ストークスの定理
  • 応用(ベクトル解析)
  • [ポアンカレの補題]
  • 曲面上の微分形式
解析学要論 III 関数解析入門 (3年後期)
目的
関数を無限次元線型空間のベクトルとみるという関数解析的な考え方とその基礎を習得する.特に,フーリエ級数とその応用,ヒルベルト空間の例と基本的性質を理解する.
内容
  • フーリエ級数
  • フーリエ級数の応用(熱方程式)
  • ヒルベルト空間(L2l2,正規直交系,リースの表現定理)
  • 有界線型作用素
  • [Lp空間,バナッハ空間]

レベル2の基本的な考え方

数学の多様な,より進んだ展開に触れ,諸分野の基礎的な知識・基本的な考え方を学ぶ.そして,それらに共通する数学の考え方,特に論理的,抽象的,体系的思考の持つ役割を理解する.

4年生前期

代数学続論 体とガロア理論
目的
代数方程式の解法の研究から生まれたガロア理論について学習し,その応用に触れる.体論の基礎を習得し,ガロア理論の「考え方」を理解する.
内容
  • 体とその拡大(拡大次数,代数拡大)
  • ガロア拡大とガロア群(ガロアの基本定理)
  • 応用(作図問題,代数方程式の可解性)
解析学続論 関数解析続論
目的
解析学要論 III 関数解析入門に引き続いて,関数解析的な考え方とその基礎を習得する.バナッハ空間に親しむとともに,ヒルベルト空間における線型作用素の基礎理論を理解する.
内容
  • バナッハ空間(Lp空間,[双対空間])
  • 線型作用素の基礎理論(閉作用素,共役作用素,[スペクトル分解])
幾何学続論 多様体論
目的
現代数学が展開される舞台の一つである多様体について,その基礎理論を学習する.多様体の概念を例とともに理解し,多様体上の微積分の基礎に触れる.
内容
  • 多様体とその間の写像(定義,例(球面,射影空間),[はめ込み,埋め込み,部分多様体])
  • 接空間とベクトル場(接ベクトル,微分写像,積分曲線)
  • 微分形式と外微分
  • [微分形式の積分(多様体の向き付け,ストークスの定理)]