ファイル更新日:2024年04月18日
教育・就職
■教育プログラム概要■
●理学部数理学科での学び方
教務委員会 2003年5月04日作成 2003年8月19日改訂 2004年4月26日改訂 2005年3月23日改訂 2008年3月18日改訂 2009年3月19日改訂
理学部数理学科では,大学院多元数理科学研究科と同じ教育理念の下に,学部・大学院を一貫する教育システムを取っています.
A. 教育理念
理学部数理学科・大学院多元数理科学研究科では,次を教育理念として掲げています:
- 数理的力を基礎として,自ら調べ,自ら考え,自ら発見していく自立的な人間を育てることを目的とする.
- そのために,多様な問題意識を持つ学生が,他の学生,研究者との接触を通して,論理的思考を積み重ね,問題を明確にして,それを解決してゆくことができる教育環境を整える.
もっと簡単に言えば,
- 皆さんが自主的に学習計画を立て,それを実行し,その結果を報告する.
- 学科・研究科の教育体制は,その皆さんの自主的活動を支援するために作られている.
- 皆さんの学習は,活発な研究者・仲間達との触れ合いの中で行われる.
ということです.
※アドミッション・ポリシーもご覧ください.
B. 学習への態度
皆さんの学習態度としては次の2つの点が大切です:
- 基礎的な数学の力をきちんと身につけること.
- 狭い分野にとらわれず,広い視野から自分の学んだ知識を位置づけてゆくこと.
C. 身につけるべき能力
皆さんが身につけるべき一般的な能力として次のものが挙げられます:
- 学ぶ力(文献を読みこなしていく能力,必要な文献などを検索する能力).
- 問題を見出し,解決していく力(分析力,思考力,総合力,創造性).
- 学んだこと・研究成果を応用発展させていく力.
- コミュニケーション能力(議論する能力,文章表現力,発表能力).
D. 学ぶべき知識
皆さんが身につけるべき知識として次のものが挙げられます:
- それぞれのレベルに応じた数学・数理科学の知識.
- 数学全体の俯瞰的理解とその中での自分が学んでいる専門の位置付け.
- 数学という学問の方法論,考え方(特に体系的・論理的思考).
- 自然科学の方法論,考え方,その中での数学の位置・特徴.(特に,数学は抽象的に見えるが,現実の自然や社会と深く関わっており(それが数理科学),それらを普遍化したものであることを理解する.)
皆さんの研究学習への支援体制の特徴は,次の4つの点にあります:
- 多様な要望に応える多様な講義を,学部・大学院を一貫した体系的な形で用意する.(レベル概念の導入,コースデザインの明確化により,皆さんのコース選択に役立てる.)
- 各レベルで少人数教育の機会を設け,きめ細かい指導をする.
- 4年生以上では教員によるアドバイザー制度を設け,皆さんの学習を個人的に支援する.
- 教員全員がオフィスアワーを設け,日常的に学生の相談に応じる.
A. レベル
ここで,本学科・本研究科の特徴である,「レベル」の考え方について説明します.これは学部・大学院を通じた数学教育の段階を示すもので,全ての講義・少人数クラスに対し,レベルが設定されています.
レベル0: | 理系学生が共通に1年次で学ぶ数学(微分積分学・線形代数学) |
レベル1: | 数学全分野の基礎として,数理学科の学生全員が身に付けるべき内容(ほぼ数理学科2, 3年で学ぶ内容に該当).これを物理学などの他分野との関連,その先の応用などを意識しながら理解し,身につける.直感力,論理力,抽象能力の育成を含む. |
レベル2: | 数学・数理科学の多様な,より進んだ内容.その多様性の中で,それらに共通する数学の考え方,特に論理的,抽象的,体系的思考の持つ役割を理解する.主な対象は学部4年,大学院前期課程の学生であり,2年程度でコースを終えることが望ましい. |
レベル3: | レベル2までの基本的内容(コア)を前提とする,進んだ専門的内容.主な対象は前期課程2年,後期課程の学生であり,3〜4年でコースを終えることを目指す. |
これによって,学年にとらわれず,自分の状況に合った学習ができます.
それぞれの講義・演習・卒業研究について,担当者による「コースデザイン」を学期開始前に配布し,そこで詳しい説明を行って皆さんが講義などを選択する資料とします.そこには
- 科目名,担当者,連絡先,
- レベル,目的,到達目標,内容・方法,講義予定,
- 教科書,参考書,予備知識,
- 成績評価方法・基準,
- その他アドバイスなど
が書かれています.講義選択に当たっては,このコースデザインをよく読み,不明の点については直接担当教員に遠慮なく質問してください.
C. 少人数教育
全ての学年で,少人数グループ別指導の機会が設けられています
- 学部1〜3年次前期: 数学演習
- 講義で学んだ知識を,実際に課題を自分で解きながら理解し身に付けてゆきます.
- 学部3年次後期: グループ学習
- あるテーマを決めて,自分達で学習します.
- 学部4年次: 卒業研究
- ある定まったテーマの下に,講義・発表・議論が行われ,その中で皆さんが本や論文を読む力,考える力,議論する力を養ってゆくものです.日本で広く数学の「セミナー」と呼ばれているものでは,一つの本や論文を輪講形式で発表し,先生がそれに指導を加える形が多いのですが,これらはそれよりももっと広く自由な形を考えています.大学院前期課程での少人数クラスも同じ考え方に基づいたものです.
D. アドバイザー
学部4年生以上では一人一人にアドバイザーが付きます.アドバイザーは皆さんと常に接触を持ち,皆さんの希望を聴き,皆さんの学習の進行状況を見ながら,皆さんが最も適切なコースに沿って学習できるようアドバイスします.また将来の進路についても相談に乗ります.そして必要な場合には,他の専門分野の教員や,専門家を紹介します.
本学科・研究科の特徴は,学年進行に従って複数の教員がアドバイザーとして皆さんへの責任を持つことです:
- 1. 卒業研究アドバイザー(学部4年):
- 卒業研究の指導教員.
- 2. 前期課程アドバイザー:
- 少人数クラスの指導教員.修士1年次,2年次で,少人数クラスアドバイザーとして異なる教員を選択することも,同じ教員を選択することもできる.さらに,修士2年次の学生に対しては,サブアドバイザーがつき,第三者の一般的な立場から修士論文の書き方などに対する指導を行う.
- 4. 後期課程アドバイザー:
- 複数アドバイザー制を導入している.そのうちの1人が責任者となる.
- 0. プレアドバイザー:
- 本大学院に入学する学生に対し,入学試験に合格してから入学準備のためのアドバイスを行う.(数理学科の出身者については,卒業研究アドバイザーが兼ねる.)
[注意] ただし「先生から教わる」のではありません.主体はあくまで皆さん自身です.
E. オフィスアワー
すべての教員はオフィスアワーを講義期間中に設定し,公表しています.この時間に学生さんは事前のアポイントメントなしに面会し,自由に質問や相談をすることができます.この機会を積極的に利用してください.(もちろん,オフィスアワー以外に,アポイントメントをとってから質問や相談をすることもできます.)
通常の研究室で面会するオフィスアワーの他,講義に対応するもの,若い研究者達が合同で運営するもの(Cafe David)など,特色あるオフィスアワーが開かれています.
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