第四日目:10月14日(土曜日)

Burger King にて英語の勉強】

昨夜は遅くまで調べ物をしていたために、ホテルのドアにDont disturbの札をかけて寝た。

目ざめたのは11時であった。ホテルの朝御飯はもう食べることもできないが、

あんなもの別に食べたいとも思わない。あれのどこがContinental Breakfastなのだろうか。

昼御飯も兼ねてBurger Kingへゆく。妻などのように英語がほとんど話せない人にとって、

ファーストフードのお店に行くことは日常生活で使う英語のヒアリングの訓練にたいへん

役立つ。というのも基本的に店員の話すことは決められており、聞く方も次になにを

聞いてくるかと言うことがだいたい予想できるので慌てないで済む。また日本と違って

ここではアメリカ的いい加減さが幸いして、同じ内容を結構バラエティに富む言い回し

で聞いてくれる。だから、予測できる内容に対する様々な表現が覚えられてたいへん有用である。

Double Whopper Cheese Burgerを食べる。味は素朴な塩味である。コーラは

もちろんMediumというラージサイズのコップがもらえて、そこになみなみと

好きなドリンクを注いで飲む。

 

【コミュニティ探訪_DMV】

ホテルに戻って車に乗り、Wilshire BlvdからSanta Monica方面に向かって、まず

DMV(運転免許センター)へ行った。場所はColorado Avにある。

そこへ地図だけを見て行くことになるのだが、運転に不慣れな上、ロサンゼルス

の地理も運転を困難にしている。というのも、アメリカというと東西南北を格子

に区切りすべてがStreet Avenueで統一されている整然とした道路網を想像するが、

ロサンゼルスは全くそうではないのである。まず格子状になっていない。

はっきり言って、ぐちゃぐちゃである。呼び名もたくさんある。

東西に走っているからと言ってAvenueと言うわけでもない。「通り」という

単語もBoulebard, Street, Avenue, Driveなど、とにかく様々でわからない。

私の住むWestwood地域の南部を東西に走る大きな道路はWilshire Blvdと呼ばれる。

UCLAからその通りへ出るための道路がWestwood Blvdで南北に走っている。

でこれらの道も別にまっすぐ走るわけでもなく右へ折れたり左へ折れたりしていて、

慣れるまではたいへんはしりづらい。しかも、日本のドライバーにとって困難に

感じるのは道路の標識である。地図に書いてあるのは通りの名前だけであって、

日本のように交差点に名前がついているわけではない。だから地図を見てどこか

を曲がる時には交差店名を見るのではなくて通りの名前を見なければならない。

おまけに助手席の奥さんに地図を呼んでもらうというのはまるっきり期待できない。

ロスにこそカーナビが必要である。(必要であるが盗難などの安全の問題性の方

が大きいだろうが)とにかく持ち前の地理感を利用してなんとかたどり着いた。

しかしながら、あいにくDMVは休み。公的な機関なのでそれは当然なのだが、

日本の運転免許センターは土日でもやっている。みんな免許に関する手続きは平日にやっているのだろう。

あるいはアメリカの多くのサービスがそうであるようにインターネットや電話で

すべてが片づくのだろうか。

 

【コミュニティ探訪−Sawtelle日本コミュニティ】

次にここから再びWestwood 方面に引き返し405フリーウェイの脇を南北に走るSawtelle Blvdに入った。

ここはリトル東京に次ぐ日系人社会が構成されている。(リトル大阪ともいわれる)

通りには日本語の看板がたくさん立っている。道行く人も日系人が多い。

ここへ入植してきた人々はBeverly Hillsあたりで造園業を生業とする日本人

たちであったらしいので、植木屋さんがたくさん軒を並べている。

Sawtelleを下ってしばらくすると「NIJIYA」というスーパーマーケットがあった。

私たちはその近くに車を止めて、その周辺を歩いた。リトル東京よりも安全性が

高く、付近に停めてある車もきれいで、道行く人も裕福そうである。

昨日リトル東京に行って感じた「寂れた」感じはここにはなく、むしろ治安の悪

くなって住み難くなったダウンタウンよりこちらのほうに人々が集まるようにな

ったという感じである。

#現在ではTorrancsGardenaなどといったSouth Beachエリアに大きな日本人

#コミュニティがあるので、そちらに住むのが一番日本人にとってはいいのだが。

リトル東京にあるヤオハンよりも店の規模は小さいがこちらのニジヤの方が品揃

えも豊富で品質もよい。言ってみて気がつくことだが、ロスには日本食が豊富に

あるということを日本にいてもよく耳にするが、実際にいろいろな日本食料品店

を回ってみると、そこにある品物には3種類のカテゴリーがあることに気がつく。

一つは生鮮食料品。野菜などはこういう日系スーパーに卸すために日本の食材の

野菜を作る農家があるようで鮮度・味ともに申し分ないのだが、問題は魚である。

魚を食べる習慣のないアメリカでは魚の「鮮度」という概念が乏しい。血抜きを

して氷の上にさらすということをしているならまだ許せるが、いかにもとってそ

のままパックにしていて色の悪い魚が並んでいるところもある。また肉の感覚で

平気でパッキングしてから数日おいてあるものもある。まだ、自炊を始めていな

いのでなんともいえないが、魚の鮮度については自分の目が問われると思う。

二つ目の種類は日本から直輸入されている商品である。例えば洗剤、味噌などの

調味料、お茶などのドリンク類などはそうである。これらのものはもちろん輸入

されているので日本で買うよりやや割高である。(1.5倍ぐらい)

ただし、ビールはやすい。それは税金がやすいからである。これらの商品群について、

もう一つ注意する必要のあることが賞味期限である。ロスの全商品にはそのよう

な概念があるわけではない。あったら食中毒の度に裁判をしなければならないか

らかもしれないが、理由ははっきりわからない。それはさておき、とにかく賞味

期限を一年ぐらい過ぎた商品が平然と売られている。ひどい店になると賞味期限

の書かれたところにアメリカ政府の定める「成分表示表」のシールを張り付けて

見えないようにしていたり、もともと成分表示をつけていないものもある。ただ

の洗剤ぐらいならそれも許せるが、味噌などになるとそう寛容に笑ってもいられない。

こういう商品は、ちゃんと賞味期限を調べて買うに限る。そして、最後のカテゴリーが

日本の食品をアメリカで作っている場合である。豆腐やしょうゆなどがある。

味噌もそうである。そういうものはもちろん信頼ができるが、味はどうか。

今日は買っていないので分からないが、これらは近い将来テストされることになるだろう。

豆腐についてであるが、豆腐はアメリカの工場で一日11万丁ほどが製造されている。

種類は4種類。絹漉、木綿がRegular,Hard,Super Hardの3種類。

賞味期限はなんと一ヶ月から二ヶ月(なぜか豆腐にだけは賞味期限がついている。

豆腐という食材が賞味期限を気にする食品であるということもあるし、購入する

人が日本人が多いということもあるだろう)もある。これは異常な賞味期限である。

きっと保存料などを大量に使っているに違いないと二人で想像していたのだが、

それに対する解答は日本人向けのL.A.タウン情報誌「TV fan」から思いがけず得ることが出来た。

それによると、豆腐を作るアメリカの工場に導入されている「低温殺菌装置」が

それを可能にしたという。この装置はわざわざ日本から技術者を呼びだして設定

をさせてというシロモノで、この技術のおかげで長期保存が可能になったという

記事があった。まだ試食していないので味はどうかわからないが、こういう技術

が日本でなくてアメリカで開発されたのは興味深い。豆腐の消費がそれほど大きくなく、

日本のように豆腐を作っているところも少なく、またカリフォルニアという

大きな消費地を抱え、大量一括生産・一括配送を可能にするシステムを構築

しなければならないという必要が出たのではないかと想像する。

(もちろんここから推測するに味の方は期待できないかもしれない)

ニジヤを歩き回ること数十分。とにかく日本の食材がリトル東京のような遠隔地

ではなく車で15分ほどのところで手に入るということを知り安心した。

 

【家具のレンタル】

次に向かった先はアメリカのJAFにあたるAAAのオフィスであった。会員資格

を取得するためだが、ここもやはり公的機関なので休みであった。

時間がまだまだあるので、我々はHousing Officeから推薦を受けたBeverly Hills

にあるCortsというレンタル家具の店に向かった。

 

部屋を借りればもちろん家具は必要である。アメリカではしかも布団というわけにはいかない。

基本的に土足で歩くことを念頭に作られた部屋なので、ベッドが必要だし、

ソファーや机・イスなども欠かせない。

畳の部屋にちゃぶ台と布団だけあれば生活の始められる日本とは事情が違うのである。

しかし滞在期間が一年ほどだと新しく買うとコスト高になる。

しかも、それらの購入家具を退去するまでに捨てる・売るなどの処分をしなければならない。

その手間もコストである。そこで実質的な選択肢になるのが家具のレンタルである。

幸いなことにUCLAのHousing Officeに入居した人にはディスカウントで

このお店から家具を借りることができることになっている。そういうわけで、

我々はこの会社に向かったのである。オフィスはビバリーヒルズの真ん真ん中にある。

たいへん大きなビルである。その一階の大きなショールームに女の店員が一人だけいる。

(いかにBeverly Hillsが安全なエリアかを思わせる事実である。)早速、交渉に入る。

基本10点セットが一月$189である。これが一番安いということ。

確かに見せてもらった家具は豪華で素晴らしい。しかし、これほどまでの家具

を借りるのは明らかにコスト高である。いろいろと条件などを訪ねてみた。

UCLA関係者だと10%のオフとなる。また返却時に家具の損傷を保証して

くれる保険が10%+とのこと。これで月に2万円。家賃とあわせればあまりに

コスト高になる。それはきついと思い。店員にまた出直してくると告げた。

すると相手も顧客を逃がしてはいけないと思い、奥の手を出してきた。

UCLA学生パッケージというのがある。家具はこちらでチョイスするが、

同じ質と数の家具をなんと一月$99で貸すという。そんなんがあるなら、

はよ言えと思うが、これも商売、こちらが聞きもしないのに、安い商品をだすことはしない。

初めに適当な額のものを提示してそれで契約が決まればそれはそれで客も満足だし、

こちらも満足である。というような感じである。

とにかくいろいろ疑問に思ったことを全部聞くことと、黙っていてはこちらに

有利な条件は引き出せないのだということを学ぶ。こんなことを毎日やっていれば、

そりゃあの押しの強いアメリカ人ができあがるはずだ。とにかく、このdeal

お得である。早速契約することにした。長い長い契約書を一つ一つかみしめるように読み。

#これもアメリカでは絶対に必要なこと、そうでないと、何かの時にいろいろと問題が発生する。

#それを未然に防ぐためにも契約はすべての基本であるから、ちゃんと把握しておかなければならない。

そしてサイン。サインは漢字でするのがよい。アメリカで漢字を書ける人はほとんどいないので、

サインを盗まれることもない。日本ではもともと署名などはあまり重視されない

ので、不都合もない。月に保険込みで108ドル。たいへんよい契約となった。

家具は火曜日に運び込まれることになっている。

 

【コミュニティ探訪−Bristol Farm

気分をよくして二人はBeverly Hillsを走る北側のSunset Blvdを文字通り暮れて

ゆく太陽を見ながらWestwood に戻った。まだまだ時間があるので勢いに任せて

今度は大きなショッピングセンターに行くことにした。日本食ばかりではせっかく

アメリカに来た意味もないだろう。行ったのはBrentwoodにあるBristol Farm

というところである。品揃えは豊富だ。これなら買いだめも可能だ。

店の感じはちょうど日本におけるダイエーの食品売場ような商品展開をしている。

 

ふと店のNoticeを見ると、この店は10月26日で閉店するという。

せっかくみつけたのに残念と思ったら、実はこの店は閉店して別の場所に移動すると書いてある。

で、その異動先がなんとWestwoodとあった。

Westwoodは大学に近く、住み易い街であるのだが難点は大きなショッピングセンターが

近くにないということであった。私は車に乗れるがそれは気にならないし、

週末は買い物で一気に買いだめすればよいよ思うが、妻は車にのれないし、

私が大学に行っている間、動こうにも動ける範囲にショッピングする場所もない。

これは死活問題かと思っていたが、これでその不安も解消される。

これはラッキーである。帰りにその移転場所を確認してホテルに帰ってきた。

 

【食いしん坊万歳!−Westwood Brewing Company

ホテルに帰ってから夕食にでる。Westwoodに来てからまだ味や量ともに満足した店は

発見できないでいるが、今日はWestwood Brewing Companyという店に行った。

日本で言うところの地ビール屋である。店の雰囲気はアメリカンバーだが、

出されているのは6種類の地ビールである。味はGood。量もTasting Sizeで一ドルと手頃。

気に入れば普通のグラスで3ドルを頼めるので、いろいろな味にトライしたい人

にはそちらがお奨めである。食べる物は洋風居酒屋の食材である。

といっても味はスパイシー系で、いわゆる「はっきりしていてわかりやすい味」である。

それでも変に「なんとか料理」といって、こちらを期待させるよりもさっぱりしていて

潔いのが気に入った。満足して帰る。漸く日本から来た客を連れていっても

大丈夫な店を発見した。ように思う。

 

【明日に向けて】

満足してホテルに帰った。明日は借りた部屋に行って、管理人や近所の人に挨拶

をするつもりである。アメリカでは一般にそういうがもともとないらしいが、

ロスなどのような都市ではむしろ自分の隣人のことをよく知ることから防犯が

始まるという考え方で、とにかく自分の周りの人とは顔見知りになっておく必要

があるのだ。もちろん管理人も日常の管理業務をお願いしたりする上で

顔を知っておく必要もある。それから、今度自分が住む部屋のDamage Report

作成する。これは入居前に自分の住む部屋の状態(傷や道具の不具合など)を

細かにレポートするという作業である。このレポートを入居者自らが行うことによって、

退去時はこのレポートを元に損傷を計算し補修費用などを割り出すシステムになっている。

ちゃんとしていないと、退去時に思わぬ出費が待っている。これもアメリカ的な

システムである。よく考えてみると日本では入居時に敷金・礼金を大量に入れて、

退去時にはそこから補修費用がまかなわれることになっている。

これだと入居者はあまり部屋の損傷について気を使わなくなるし、また退去時の

補修費用については貸すほうの裁量で敷金から支払われるので、どういうところ

でどのような補修費用がかかったのかわかりにくいというデメリットがある。

アメリカのやり方ならとにかく事細かに補修に関するレポートが出されて

貸借双方の合意を元に補修費用が決定される。また、補修に必要な費用もすべて

事細かにリストされているので、使う側もできるだけ部屋をきれいに使おうと

努力するということになる。アメリカ式のDIY式物事の遂行にはやや閉口する

ことも多いが、こういう点では合理的だと思う。

 

 


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