第三日目:10月13日(金曜日)

【電話・電気・ガスの契約】

疲れが溜まっている。朝起きるのがつらかったが、今日もする事が目白押しである。

いつまでも寝て入られない。起きて準備を整えて、いつもの貧しい朝飯を取って、外へ出る。

まず、電話番号を取得するために大学内のRTS(Residence Telephone Services)に歩いていった。

あらかじめHousing OfficeからもらっていたContraction Formに必要事項を記入していくと、

担当の人が数分で手続きを済ませてくれた。本来電話の契約は様々なサービス(留守番電話

や国際電話の会社の選択など)の購入などを契約時に事細かに聞かれるため、英語力が必要

だと言われているのだが、今回の場合は、私が大学のResidentに部屋を借りたために簡単に済んだ物と思われる。

気をよくして、この勢いに任せ電気とガスを引こうということになり一旦ホテルに戻って、

電気水道局(Department of Water and Power)とガス会社(Gas Company)へ電話することにした。

外国に初めて滞在する人にとって電話での会話というのが一番ハードルが高いように感じる。

しかし、電話を何回かしてみると案外そうでもなかった。電気・ガスはともにToll Freeの音

声ガイダンスに従って進み、選択肢をいくつか経たのちにかかりつけのAgentにアクセスす

るシステムを取っている。音声ガイダンスは何度も聞き直せるので英語の聞き取りに自信が

ない人でも安心である。またAgentも懇切丁寧に内容を説明してくれるので、特に間違える

こともない。ただ、新規の場合、ガスで20ドル、電気で300ドルのDeposit

(もちろんこれは解約時に返してくれるが)を取られる。

電気・ガス・水道の契約時にはSocial Security Numberが必要だとガイドには書いてあったが、

今申請中であると(この時点では実は嘘になるのだが)言えば理解してもらえた。

(ただしDepositは高くなる)電話を終えて、本当に契約が履行されるのか、

請求書の中身を見るまでは安心できないが、とにかくちゃんとできたので安心した。

 

【Social Security Numberの取得】

この時点でまだ11時。まだまだ時間がある。二人は歩いてSocial Security Admin.へ行くことにした。

Social Securityとは日本で言うと公的な保険制度である。が日本の年金や社会保険ではない。

まだ制度の概略はつかんでいないが、とにかくアメリカで何かをする時、必ずこの番号を聞かれる。

そういう意味で「就労可能な市民」であるという身分の証と言える。非移民ビザや非就労ビザで

渡米してきた旅行者は取得できない(まあ当然である)。

ただ、あまりに身分証明としての有効性が認められたために自動車免許を取るのにも、

この番号が必要になり、働けないビザをもつ留学生などがこの番号を取りに来る時に

いろいろな困難が伴うことが知られている。また駐在員や研究者の家族も働けないので

妻が車をアメリカで運転したいときなどはいろいろと面倒である。

いずれにしても「自分はこういう身分でこういうことのためにSocial Securityが必要だ

と強くアピールすればなんとかなるものであるということは実際にそのOfficeに来ている

人々の格闘ぶりを見ていてわかったので、自分もしっかりアピールしようと思って気合いを

いれていたのだが、私の申請はあっさり終了してしまった。2週間ほどでカードが届くという。

さて、このAdmin. OfficeはWestwoodの近くにある連邦政府ビルでの中に入っている。

Westwoodから歩いて20分ぐらいのところにあるが、通りを歩きながらその外観を見て

いると、建物に窓がない。さらに中へはいるにはボディーチェックが必要である。

たいへんな監視体制である。このビルに入るために行列ができるくらいである。

でカメラなどの撮影機材は持ち込みを許されない。私と妻はまだ滞在3日目であったので、

鞄にカメラとビデオを所持していたので入れてもらえなかったが、妻がそれらをもって

外で待っているということを言うと私だけ入れてもらえた。中は警察官らしき人が警備を

しており、様々な連邦関係のオフィスが集合している。機密の保持のために、このような

監視体制がひかれているものと思う。

 

難しい難しいと思っていたいろいろな事務手続きが渡米後3日という短期間で済んだことはまことにラッキーなことであった。

 

【食いしん坊万歳!−La Salsa編】

三和銀行へいって、住所と電話番号を告げるという小用済ませてからお昼を食べた。

La Salsaというメキシコ料理のファーストフードである。BurittoとTacosを二人でたべた。

双方とも豆・野菜・ビーフかチキンを炒めて、それをクレープ状に焼いた皮(何でできて

いるのかは知らない)で包んで食べる。スパイシーなサルサドレッシングをかけて、フライドポテトならぬ

コーンチップスがついて4ドル強。味の方であるが、メキシコ料理は味がはっきりしている

ので、日本人でもおいしく食べられる食品であるといえる。

 

【在留届の提出−リトル東京へ】

ホテルに戻ってまだまだ時間があったので、車でDowntownへ行くことにした。

ここからはBeverly Hillsを抜けて約15マイルほどである。目的は日本の総領事館に在留届

を出すためである。在留届は3ヶ月以上滞在をする人は提出した方がよい。

それによって例えば何らかの大きな事故や事件が起こった場合に現地邦人の安全確認を

領事館がしてくれるからである。また日本に帰国後必要になる、海外に滞在したことを

告げる「在留証明書」なども発行してくれる。Wilshireをひたすら東へ進路をとり

走ること一時間。領事館は大きなビルの17階にあった、8th Street の安Public

Parking に車を止め、歩いてそこまで行く。このオフィスが3rd Streetにあるので

5ブロックも歩く羽目になった。しかし、その結果ダウンタウンロサンゼルスの

活気に満ちた昼の姿を垣間見ることが出来た。

オフィスに着いてする手続きは申請書に必要事項(本籍、職業、現住所など)

を書くだけですぐに終わった。(Officeは16時で閉まるので、注意が必要である。)

 

せっかくDowntownまで来たのでLittle東京に行くことにした。

ここは日本人街であり、多くの日系人が暮らしている。

また日本からの観光客の多くがこの地域の周辺のホテルに滞在することが多いため、

街では日本語が完全に通じる。看板もほとんど日本語であり、あまりに日本日本している

のでアメリカに来たありがたみが感じられないほどである。

私は6ヶ月前の訪米の際にこの街に来た。そのころに比べて、いろいろな場所で店が閉店されていたのに気がついた。

松坂屋もそうだしヤオハンも2階と3階は閉鎖されていた。日本の不況が影響しているのか、

このあたりの治安の悪化のために客が郊外の日系スーパーなどに流れたからなのか、

その辺は推測するしかないがたいへん寂しい限りである。とにかく二人でこの小さな街を

歩き回り、ここへ来れば日本の物はほとんど揃うということを改めて実感した。日本の物

が、ここでどれくらいの値段で買えるかというと、ビールは350mlの一番絞りとスーパードライと

黒ラベルが6本6ドル。たいへん安くなっている。これは酒税が安いからである。

おおかたの生鮮食料品はもちろん現地でとれたものなので、安い。ただ、日本では食べるが

アメリカではほとんど食べない野菜(だいこん、ゴボウ、れんこん、日本のきゅうり、

日本のなす)などは、特別にアメリカのどこかで作っているので高めに設定されている。

米は有名なカリフォルニア米である。最近ではこのお米で作った日本酒まである。

まず、私がゲットしたのは飲茶楼であった。というのは以下のような理由による。

我々二人はみそ汁や梅干しと言った日本食がなければ生きていけない二人ではないのだが、

そんな二人でも困るのが飲み物の問題である。この国にはSoft DrinkかBeer、水そしてコーヒー

しかない。Soft Drinkは安い。2リットルで1ドル。Burger Kingなどではフリードリンクである。

しかし、甘い。これを食事の際に飲み続けるのは拷問に近い。ビールという選択肢もあるが

安いがなんといってもお酒だし、ヨーロッパのように昼間から飲んでいる人はみかけない。

コーヒーはさすがアメリカ、どこでも飲める。しかし、ひたすらに甘いのとひたすらに薄い

コーヒーしか飲めない。香り高いコーヒーなどを売るしゃれた喫茶店は見かけない。

で、結局水という選択肢になる。そこでほしくなるのがお茶である。ウーロン茶や麦茶

などがほしくなる。日本食料品店でまず買うのはお茶である。日本ではそれほど特筆すべき

味でもなかった「飲茶楼」でさえがここでは一級の飲み物に感じる。

後は、ここでなぜか宮内庁御用達ののれんを下げている漬け物屋で漬け物を買い、

スーパーですしパックを購入して今夜のホテルでの夕食にした。

 

アメリカに来て3日目。漸く生活のパターンもできあがってきた。明日は部屋に入れる家具

を見に行くことにしている。レンタルにするかものを購入するか。それが今の考えどころで

ある。とにかくレンタル会社に明日出向いて、いろいろ見せてもらうことにする。


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