次に,boson coherent ベクトル を考え, それに対応する密度行列 は boson coherent 状態とよばれる. boson coherent 状態は比較的安定な状態で量子光学で重要な役割を果たす. (ここで添字に を用いた理由は後の議論で明らかになるように 先の spin coherent 状態の として捉えること ができる点にある.) そして,boson coherent 状態 からなる状態族 は boson coherent 状態族とよばれる.
ここで同じ boson coherent 状態
に置かれた2つの量子系からなる
合成系を考える.
このとき合成系の状態は
になるが,
適当なユニタリ変換を施すこと,
と状態変化が起きる.
一般には に応じて適当なユニタリ変換を施すこと,
と状態変化が起きる.
もし, 未知パラメータ にのみ注目するのであれば,
1番目の系のみ注目すれば十分である.
これは boson coherent 状態の安定性とも言える性質で,
この性質があるため boson coherent 状態族の推定は量子推定全体の中でも
基本的かつ重要な意味を持つ.
2つの boson coherent 状態
の
Bure の距離,量子類似度,Riemann 計量に基づいた距離は
以下のように計算できる.
さらに,boson coherent 状態族は 群表現から導かれる作用に対して閉じている. 今ここで対角成分が1となる上半3角行列なす群 の への表現 を考える. ( はそれぞれ 上の掛け算作用素,微分作用素の 倍を表す.これが群の表現であることは であることから確認できる.)
この群の作用の下で,
以下の関係式が成り立つ.