第一日目:10月11日(水曜日)

【機内にて…】

関西空港を予定より10分早い16時30分に出発。

長距離の航空便はトイレの便などを考えて通路側に二人の席を確保した。

アメリカ西海岸に行くときもっともクリティカルなのが時差ボケである。

フライト時間は約10時間。現地に着くと同日の朝11時。

実際には日本の夜26時(夜2時)のはずが、現地に着くとお昼という感じで体のリズムが狂う。

機内ではこの障害を取り除くべく、早くから寝ることを試みるも満員の機内にあって

静粛性を求めるのは困難であり、結局2時間ほどうとうとしただけで到着。

 

【空港からWestwoodまで】

LAX(ロサンゼルス国際空港)は2回目だが、今回もまぶしい日差しが我々を迎えてくれた。

空港から目的地Westwoodまではドアトゥドアのシャトルバンを利用するのが効率的だ。

特に大手のシャトル会社は値段も一律でぼったくられることもなく、また運転手が突然

強盗に変わったりすることもないのでもっとも信頼できる。

一番信頼できるのは自家用車だが、やってきて間もない旅行者にとってはそれも詮無いことである。

シャトルバスに乗るために荷物を押して乗り場まで移動する。Door to Door Shuttleという看板が目印だ。

そこに各社のAgentが立っているので、彼らに目的地を告げると空港を流している車に無線で連絡を取ってくれる。

しばらくするとその方面のサインを前面につけたバンが到着して荷物を後ろに積み出発してくれる。

タクシーに比べて料金がかなり格安なため、客を一人乗せたぐらいでは彼らは空港を後にしない。

次の同方面の客が現れるまでLAX巡回道路を周回しつづけ、だいたい客が3から4組になると出発する。

だから、バンに乗ったからと行ってすぐに現地に行けるわけではない。

ただSuper Shuttleなどの会社では「客を乗せて4周以上しない」と車に明記してある。

前回私はSuper Shuttleだったので、今回は我々はPrime Time Shuttleというのを利用した。

Westwoodまで一人14ドル。

 

Westwoodまでの道のりはフリーウェイを一直線で約30分でつく。

 

【Royal Palace Westwood】

Royal Palace Westwoodは一年間滞在する場所を決定するまでに我々がベース基地とするところである。

キッチン付きのQueen Sizeベッドルーム、UCLADiscountで一泊85ドルである。

インターネットで予約した。周辺地域のホテルに比べてやややすい目の値段設定だったので

少し怪しいと思ったが、実際に行ってみると鍵などは電子ロックになっていて、安全性には問題なく、

安いのはただ部屋の施設がが古いと言うだけのことだった。

実際、最初にあてがわれたこの部屋はどこかからガスが漏れているような臭いがしたので

フロントに文句を言って部屋を変えてもらったりしたが、これくらいで文句を言っていては

アメリカでは生きていけないということを後日知る羽目になる。

 

【銀行口座の開設】

部屋に荷物を下ろして一息つく間もなく我々は生活のための下準備を始めた。

何よりもまず大切なことはお金である。迷うことなく現地の銀行口座にAccountを

開くことにした。

さて、日本にいるとCitibankなどにアカウントを持っていれば、海外での送金などの面倒もないと思いがちだが、

実はCitibankの口座から現地通貨を引き出すときのレートが通常の円ドルレートの2円増しになるという落とし穴がある。

つまり、一ドルが110円で売られているとき、Citiからドルに替えると112円で取り引きされる。

火急の用件で少しのお金をおろすだけならいいが、大きなお金をおろすときは

非常なロスである。

そのため、普通は海外の銀行に口座を開き、そこへCitibankからお金を振り込むというのが一般的な方法である。

このときCitibankに100万以上の預金があれば手数料が(4000円)無料で現地口座に現在の売値でドルが振り込まれる。

さて、口座開設だが、もののホンによると銀行を開くためにはSocial Security Number

(アメリカ版の年金みたいなもの)の番号や現住所などの情報がないと開けないとある。

確かにそれは観光ビザなどの非就労ビザを持つ旅行客が容易にアメリカで口座を開けないように

するための対策であって、われわれのようにちゃんとした紹介身元のあるJビザの人

にはそれほど問題もなく口座がひらける。特に日系の銀行であればほとんど問題はないし、実際になかった。

パスポートだけでテンポラリの銀行カードと小切手帳が作成され(正式な物は後ほど居住地に送られてくる)て、

その場からお金が使える。ただし、アメリカにある銀行ではすべて、一定額以上の預金がないと

手数料が取られる仕組みになっており、アメリカで口座を開くには一定額

(今回の場合は2500ドル以上だった)の現金を預けておく必要がある。

銀行では当座預金を開くことも必要である。これはChecking Accountと呼ばれている。

要するにこの口座に入っているお金から小切手の決済が行われる。

通常日本では企業などが用いる口座だが、アメリカでは個人もよく小切手を使う。

現金を持ち歩きたくないということであろう。それはともかく入国したばかりの人でも

家を借りるときの賃貸料やdepositを払うのに小切手を使う必要があるから、

絶対に作っておくことが必要になる。

 

【移動手段の確保】

銀行口座を開いてから、その近くにあるAvisのお店でレンタカーを一週間借りることにした。

L.A.はとにかく車社会で車がないとなにも始まらない。ちょっとそこまでで数マイルである。

車を借りるポイントとしては突然店に行って車を借りるとお目当ての車(コンパクトカーなど)

が手に入らないので予約を入れておくのがよい。

我々は明日から一週間の予定で車を借りることにした。

この店は2回目なので対応もわかっており、比較的手続きは簡単にすすんだ。

 

【アメリカから日本への航空チケットの購入】

これらのことを済ませて、次に妻が一時帰国するための飛行機のチケットを買うことにする。

西大寺に残してきたアパートの部屋の引き払うための帰国だ。

日本で手配していくのがいいと思ったが、現地での格安航空券はかなりやすい

との情報を聞きつけて、そうすることにしたのである。

STA Travel という会社のカウンターに入る。

行き先と出発日時を告げるとオンラインで検索してくれる。

ノースウェストで588ドル。うーんあんまり日本で買うのと変わらない。

まあ、でもそれでいいと思ったが、不運なことにその便は予約がいっぱい。

United Airlinesなら空きがあると言うが聞くとSan Francisco経由だという。

英語のほとんど話せない妻が一人で往復するには少し不安が残るので結局JALの便にした。

これは800ドル。

要するにつまらんことを考えて高い買い物になってしまったわけである。

やはりABRoadなどで格安なツアーを見つけて来るのがもっともやすいと思われる。

私の所へ遊びに来られる方は是非そのようにするのをお奨めする。

チケットのお金の支払いはその場でせず(アメリカで物を買う場合はちゃんと

いろんな契約書に目を通しておく必要があるので、お金をその場で払わなければ

いいのであれば、そうするべきである)とりあえず明日に受け取り、支払いをすること

にしてその場を立ち去った。

 

【UCLA数学教室にて】

UCLAの数学教室に向かった。

今回私を招いてくれたRussel Caflisch教授に挨拶するためだ。

事前の連絡によると今日はオフィスにいるとのこと。

が行った時間が悪く、あいにく他の仕事で部屋を空けておられて逢うことは出来なかった。

近くにいる人に聞いてみたところ戻ってくる時間も不明だと言うので、後で電子メールか

携帯電話に連絡をとることにして、我々は家探しのための情報集めに向かった。

 

【アパート探し顛末記 その1】

L.A.に住む上でもっとも気を使うのが家の選定である。

治安はこのWestwoodは比較的安全とはいえ、やはり深夜などは一人で出歩かない方がよい。

そのようなところで暮らすのだから、周辺の環境や周辺の生活の便などを考えながら慎重に事をすすめる必要がある。

 

ここへ来る前から目を付けていたのは大学関係者のみが居住できる大学所有のアパートメントである。

大学から徒歩10分という位置にあり、何よりも居住者が大学関係者なので安全である。

おまけに駐車場、アパート入り口ともにキーロックエントリシステムになっており不審者が入り込めないようになっている。

1ベッドルームの部屋(日本で言うと2DK)で1125ドル。

これでもL.A.の安全といわれる地域ではやすいぐらいである。

この物件がよいと考え、日本にいる頃から頻繁にメールで問い合わせをしたのだが、

いっこうに返事が来ず、これはもう空きがないのだろうとあきらめていたが、

いやこれはなんでも渡来してみるべしと思い立ち、このアパートの賃貸事務を行っているOfficeへと向かった。

中へ入って、受付に希望を伝えると今二つ空きがあるとのこと。

意外と簡単に鍵を貸してやるからとりあえず部屋を見てこいと言う。

いわれるがままに部屋を見に行く。建物は今年改装したばかりらしく、隅々まで清潔感の漂うアパートであった。

おまけに安全についても気配りがある。部屋のドアはもちろん2鍵。

部屋に入るとセントラルヒーティング、冷蔵庫、電子レンジ、オーブン、皿洗い機、

ガスレンジ、生ゴミ処理機、戸棚、シンクなどが装備されている。

おまけにEthernetの口とCable TVの口まである。この二つは大学が負担してくれるらしい。

私は一見して気に入ってしまった。部屋をでて周囲の店などを調べる。

ちょっとした買い物ができる小さなスーパーがあり、何かと大型店がでっかい駐車場をひっさげて、

郊外の方へ出たがる傾向のあるL.A.にあって、このような環境は得難い物であると感心した。

この点にも及第点が与えられる。

 

さて、事前に仕入れていた情報によると、L.A.では郊外に出れば出るほど家賃も高くつくらしい

(理由は郊外の方が車で毎日通える、ということは家族用にもう一台車を所有できるぐ

らいの高所得者が住むから)のだが、その分部屋も大きいし、プールやジムが併設され

ていたりしてなかなか充実しているらしい。

当初はそういう選択もありかなと思ってはいたが、そういうところに部屋を借りると

大学まで毎日車で通う必要もあるし、その分交通事故などのトラブルに遭遇する確率も高くなる。

またいざというときに妻を一人残している部屋に戻るのに時間がかかるというのも心配だ。

やはりできるだけ住むのは大学の近くがよいと思っていたが、いかんせんこの地域も家賃は高い。

(ここの家賃が高いのは学生の需要が高く、かつ比較的安全な地域だからなのだが)それに設備も十分でないことが多く。

いたしかゆしという印象を持っていたのだが、運良く大学所有のアパートに部屋があって、

しかも衛生面・安全面では一応の配慮がなされているようなので、もうここに決めても良いかと思った。

が、やはりこのあたりの夜の感じをつかんでおかない限り賃貸契約まではできない

と思い直し、とりあえず鍵だけOfficeに戻して、明日にまた来ると行って去った。

 

【アメリカ食いしん坊万歳! Denny's】

これだけのことをしているともう夜6時になった。

夕飯はDenny’sでとることにした。とにかくアメリカでは何もカニもがでかい。

前回UCLAに来たとき、外食のボリュームに参ってしまった経験を持つので、

どこで何をどれだけ食べるかは逆の意味での死活問題になる。

今回は妻もいることだし、最初はこういうレストランで写真付きのメニューでも見て

決めるのがよいと思ってここに入ることにした。

しかし、その思惑ははずれ、メニューにある写真のスケールがわからないことに気がつき、

やはり闇鍋状態で注文をした。

L.A.で注文するときのコツは日本で食べると「ちょっと少ないかな」という量を注文すればよい。

すると満腹になる(それでも満腹を通り越す時があるが)。

また、ヨーロッパと違い水はただで出てくるので飲み物にお金を投入しなくてよい。

妻はSalad with Fried Chicken。私はFried Shrimpsを注文した。内容は商品名の通り。

大皿にサラダが山盛りに盛られ、そこに10切れほどのチキンが乗っている。私の方 は

脂っこいエビフライに脂っこいポテトが山盛り。味は日本のデニーズより落ちる。

ただ、量については食べきれないと言うことはなかったので、前回の経験が役立ったと言えよう。

 

【夕食後….一日を終えて】

夕食が終わり、腹ごなしもかねて、先ほど見た物件の周りをうろつくことにした。

Homelessのオッサンが一人うろうろしてお金を恵んでくれとaggressiveに周りに訴えて

いる以外は、特に怪しいこともなく、まあこれなら大丈夫だろうと考え、明日部屋を

予約する事を決めた。

 

ホテルの部屋にたどり着くともう8時。ホテルからメールなどを確認して、明日の計画

などをたてている内にもう10時になった。その頃には時差ボケもピークに達しており、

二人とも風呂に入って話を交わすまもなく眠りの世界へと入り込んでいった。

 


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