セミナー世話人:三宅正武 中西賢次 津川光太郎 加藤淳
1980年代前半に Fefferman によって提出された"不確定性原理"のある種の一般化を与え, それを Kinetic 方程式系に対する初期値問題の解の regularity の解析に適用する. 特に,Grad の angular cut-off を仮定しない, 空間について非一様な Boltzmann 方程式の初期値問題の解の regularity について考察する. 本講演内容は,R.Alexandre, S.Ukai, C.-J.Xu, T.Yang 氏との共同研究に基づく
The irregularity of an ordinary differential operator with irregular singular point $z=0$ is defined by the maximal rate of exponential growth of solutions of the associated homogeneous equation.
In this lecture, we shall study a singular $N$-system $L \equiv z^{p+1}d/dz - A(z)$ $(p \geq 0)$ with holomorphic coefficient matrix $A(z)$ near $z=0$ and characterize its irregularity from different two points of view; the first one is from order of zeros of $A(z)$ at $z=0$ in the sense of Volevi\v{c} which was firstly discovered one hundred years ago by I. Horn and in relatively recent studied by J. Moser and some others, and the second one is from the difference of indices of the operator $L$ on formal Gevrey spaces which was originated by B. Malgrange for the regular singular case and by J.-P. Ramis for single operator with irregular singularity.
ポテンシャル項付き藤田型半線形熱方程式の大域解の存在・非存在に関する藤田指数について考察を行う。 この解析には、ポテンシャル項付き熱方程式の解の漸近挙動の解析が必要であり、関連する話題として、 壁谷氏(阪府大) との hot spots に関する共同研究の結果についても触れる予定である。
2001年に Koch-Tataru は非圧縮性 Navier-Stokes 方程式の可解性を考察し、 BMO^{-1} という関数空間に属する小さい初期データに対し時間大域解が存在することを証明した。 今回の講演では、澤田宙広氏との共同研究によって得られた Koch-Tataru 解の高階微分可能性についての結果をお話したい。
閉リーマン多様体上のシュレディンガー方程式を考えます. 特に, Burq-Gerard-Tzvetkov によって得られた弱解の時間大域存在性について考えます.
Burq-Gerard-Tzvetkov によって得られた解は, エネルギー保存則が意味を失うような可微分性の低い解であるため, 解の時間大域存在性を示すためには I-method を利用するのが有効です. しかし, 一般の多様体上ではユークリッド空間やトーラスのようにはフーリエ解析が強力に機能しないため, I-method の応用にも困難が生じます.
ここでは, Zoll 曲面のような大域的な条件を課した (ラプラシアンの固有値の情報が詳しく分かる) 多様体であれば, この困難を克服する事ができましたので, その方法を紹介します.
2次の非線形項を持つ1次元半線形Schrodinger方程式で、 初期値をSobolev空間 H^s にとった場合に、 時間局所的適切性が成り立つような指数sがどこまで下げられるかを考えます。
Kenig-Ponce-Vega (1996) は、Bourgainにより導入された空間 X^{s,b} において解を構成し、 非線形項が u^2 , \bar{u}^2 , u\bar{u} の場合に、 指数がそれぞれ -3/4 , -3/4 , -1/4 より大きなSobolev空間での時間局所的適切性を示しました。 しかしながら、指数が上記の値以下の場合は、鍵となるX^{s,b}ノルムの評価が成り立たないため、 この場合の適切性に関する結果は知られていませんでした。
Bejenaru-Tao (2006) は、非線形項が u^2 の場合に限って、 従来の解空間 X^{s,b} に非線形項の持つ性質に即した改良を加え、 この場合の適切性の成り立つ指数を s>=-1 にまで下げることに成功しました。 また、s<-1 における非適切性もあわせて示しています。
今回は、非線形項が \bar{u}^2 の場合について、Bejenaru-Tao と類似の結果が得られましたので、 適切性の部分を中心にお話しする予定です。