量子解析セミナー
「量子解析」という言葉で思い描く内容・印象は、人によって様々でしょうが、
ここでは「量子」も「解析」もゆるい意味でとっていただき、
広さも深さも自由自在の気楽な情報交換の場にできればと考えております。
世話人は鈴木悠平さんに変わりましたが、当分の間、情報はここにおいておきます。
2018年4月以降の情報は、
こちらをご覧ください。
2018前期は木曜15:30--17:00、名古屋大学理学部B館114にて、
関係者の都合次第で行う予定でおります。
話題を提供しても良いという奇特なかたがおられましたなら、鈴木さんの方までお願いいたします。
- [2018/2/13] Sven Raum (EPFL, Switzerland)
Title:C*-superrigidity,
A discrete group is called C*-superrigid if it can be recovered from its reduced group C*-algebra.
After Ioana-Popa-Vaes in 2014 posed the problem to decide
whether all torsion-free discrete groups are C*-superrigid or not,
this question has been approached from several sides.
I will give an overview of these different approaches focusing on a C*-algebra centred approach,
in contrast to results deriving C*-superrigidity from W*-superrigidity.
In particular, I will present recent joint work with C. Eckhardt,
showing that arbitrary torsion-free finitely generated nilpotent groups are C*-superrigid.
-
[2017/12/15] 鈴木悠平(名古屋大学多元数理)、
「非I型C*環の表現とその応用(Glimmの定理の紹介)」
Glimmの定理はGCRでない(可分)C*環の表現を,ある意味ではUHF環の表現から誘導することができるというものである.
その応用として,GCR環の特徴付けや局所コンパクト群の表現の"分類可能性"の特徴付けを問うMackey予想が解決された.
本講演では技術的に重要な部分も含めて,これらの結果の証明の解説を試みる.
参考文献:J. Glimm, Type I C∗-algebras. Ann. of Math. (2) 73 (1961) 572-–612.
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[2017/10/13] 植田好道(名古屋大学多元数理)
「An exposition of the boundary theorem」
初等的な事実だけを使うArveson境界定理の易しい証明を話す.関連事項についての解説も与えたい.
本内容の一部は長谷川慧氏の協力による.
- [2017/6/7] 澤田 友佑(名古屋大学多元数理)、
「左と右の相対テンソル積の同等性について」
von Neumann環上の加群には相対テンソル積が定義される。それには左と右の相対テンソル積の定義があり、
各相対テンソル積を双関手として採用した双加群の成す双圏は同値である。
そのことを具体的な同型射を構成することにより示したのでそれについて紹介する。
- [2017/5/17] 澤田 友佑(名古屋大学多元数理)、
「グラフ上のランダムウォークから得られる超群について」
超群とは群を確率論的に一般化した概念で、それは積に関してある性質を持った*-環である。
ある(有限とは限らない)グラフが与えられるとその上のランダムウォークを考えることにより超群が得られるのだが、
任意のグラフから超群が得られるわけではない。
そこで今回は、超群の構成法、超群が得られるグラフの十分条件、超群となるグラフの例を紹介する。
- [2017/5/10] 鈴木悠平(名古屋大学多元数理)、
「Almost finiteness for general etale groupoids and its applications to stable rank of crossed products」
松井宏樹氏[千葉大学]は,位相力学系の充足群やホモロジー群の良いふるまいを保証するため,
亜群にalmost finitenessと呼ばれる一種のFolner条件を導入した.
今回の講演では,この性質が亜群C*環のRieffelの安定階数を決定する際にも有用であることを紹介する.
位相力学系の接合積C*環について得られたいくつかの応用についても紹介したい.
[参考文献:arXiv:1702.04875]
- [2016/7/6] Tensor categories and related topics --- a special session
Program.
- [2016/2/24] 清水健一(名古屋大学多元数理)、
「Non-semisimple modular tensor categories」(時間変更:15:00--16:30)
モジュラーテンソル圏とは、ある種の有限性と非退化性を持った半単純なリボン圏であり、
数学や数理物理学の様々な分野と関連して盛んに研究されている。
Lyubashenkoはこの概念の『非半単純』な一般化を提案している。Lyubashenko自身によって、
そのような圏からは三次元多様体の不変量やモジュラー群の表現などが得られることが示されており、
この概念はモジュラーテンソル圏の概念の非常に興味深い一般化であると思われる。
今回はこのような『非半単純』なモジュラーテンソル圏の理論について概説し、
さらにそのようなテンソル圏の特徴づけに関する最近の自分の研究を紹介したい。
- [2016/1/15] 山上 滋(名古屋大学多元数理)、
「On tensor product measures」
There is a long story about vector-valued measures,
which has been developed more or less under the strong influence of
tensor products of Banach spaces and goes back to the celebrated work of A.Grothendieck.
One of their most crossing points is then the theory of tensor products of vector-valued measures and
I shall review here some facts which seem to be related with spectral analysis of operators
based on a personal note.
- [2015/11/27] 宮部 嘉津彦(名古屋大学多元数理M2)、
「Cuntz-Li algebras について」
整域から構成される C*-環と, その一般化について紹介し, それらの基本的な性質を発表します.
- [2015/10/30] 澤田 友佑(名古屋大学多元数理M2)、
「W^*-環のdilationについて2」
von Neumann M環上のnormal completely positive map Tが与えられたとき、semigroup {T^n}を考える。
前回は、[1]の構成法で{T^n}がminimal dilationを持つことを紹介した。
今回は[2]による構成法を紹介し、[1]のそれと比較する。
なお[1]、[2]でのdilationの構成はsemigroupの添字が正の実数であるときの場合であるが、
私が取り扱うのは離散的な場合である。
このときは構成されるproduct systemやHilbert空間が正の実数のときと比べて簡単になる。
[1]B. V. R. Bhat, M. Skeide,
Tensor product system of Hilbert modules and dilations of completely positive semigroups,
Infin. Dimens. Anal. Quantum Probab. Relat. Top., 3(2000), 519-575.
[2]P. S. Muhly, B. Solel, Quantum Markov processes (correspondences and dilations),
Internat. J. Math., 13 (2002), 863–906.
- [2015/6/26] 澤田 友佑(名古屋大学多元数理M2)、
「W^*-環のdilationについて」
前回はBhatのdilation ThoremをC^*-環の場合に、
具体的にMarkov flow {j_t}と自己同型群を構成する事により示した。
今回はそのvon Neumann環の場合で、Hilbert双加群を用いてvon Neumann環Mを、
ある双加群E上の有界作用素のなす環B^a(E)の部分環j_0(M)と同一視することにより示す。
またここで出てくるCP-semigroupは
一つのnormal unital completely positive map T:M→Mで生成される{T^n}であるとして考える。
- [2015/5/1] 澤田 友佑(名古屋大学多元数理M2)、
「C^*-環のdilationについて」
可分なpre-dualを持つvon Neumann環に作用するCP_0-semigroupはminimal dilationを持つ。
今回はvon Neumann環に作用するCP_0-semigroupとそのminimal dilationの定義を与え、
先に述べた定理のC^*-環の場合に相当する定理を紹介する。
- [2014/11/7] 安藤浩志(University of Copenhagen)、
「Weyl-von Neumannの定理の複雑さ」
概要: Weyl-von Neumannの定理により、有界自己共役作用素$A,B$に対して次の2条件は同値になります。
(1) $A,B$の本質的スペクトルが一致する。
(2) $A,B$はコンパクト作用素を法としてユニタリ同値。すなわちユニタリ$u$とコンパクト作用素$K$が存在して$uAu^*+K=B$.
Weylの定理から、(2)⇒(1)は非有界作用素についても成り立ちます。では(1)⇒(2)はどうでしょうか?
少し考えると非有界作用素の場合、(1)⇒(2)の反例が無数に見つかります。
では(2)を特徴付ける本質的スペクトルよりも強い、しかし適当な意味で構成的に与えられる不変量は存在するでしょうか?
本研究では可算的構造をもつ不変量であって(2)を特徴付けるものを構成する事が
原理的に不可能である事を記述集合論の方法によって示しました。その概要をお話します。
時間があれば関連するBorel同値関係たちの複雑さの比較についてもお話します。
[松澤泰道氏(信州大学)との共同研究]
- [2014/6/27] 片山 友貴(名古屋大学多元数理M2)、
「量子確率微分方程式の基礎」
量子確率微分方程式は一般に非可換な微分方程式で、解は作用素値過程として表されます。
今回は、ランダム項が自由ブラウン運動に従う量子確率微分方程式について、
解の存在、構成方法や解が具体的にどのような確率過程となるかなどを発表します。
- [2014/5/16] 片山 友貴(名古屋大学多元数理M2)、
「量子確率過程について」
量子確率論の定義や基礎的な結果を述べたうえで、
量子確率論特有の独立性とそれに付随する確率法則について発表します。
- [2014/5/9] 山上 滋(名古屋大学多元数理)、
「On characterization of quantum transition probabilities」
It seems to be an interesting problem to characterize transition probabilities
among quantum states. The speaker will try to review some trials at an elementary level
together with related backgrounds such as Wigner's theorem on quantum symmetries.
- [2014/3/19] 安藤浩志(University of Copenhagen)、
III型von Neumann環の超積の性質について
Murray-von Neumannによる性質Γの導入以来、
トレースを持つvon Neumann環に対する超積や中心列環は応用上非常い重要な対象として長く研究されてきました。
超積や中心列の構成を一般のvon Neumann環に拡張できるかどうかは非自明で興味深い問題です。
この講演では歴史上3通りの超積、3通りの中心列が同値で無い方法で定義された事を解説し、
それらが如何に整合的に理解できるものであるかを述べます。
その応用として、III型因子環の中心列環や超積環に関するいくつかの問題が解決される事を解説します。
(Uffe Haagerup氏との共同研究)
- [2014/3/19] 清水健一(名古屋大学多元数理)、
テンソル圏のユニモジュラー性について (2)
ある種の有限的なテンソル圏(finite tensor category)に対して定義される
ユニモジュラー性という性質の特徴づけとその応用について話します。
特に、ある関手圏の役割を強調することで、今後の展望を述べたいと思います。
- [2014/3/5] 山下 真(お茶の水女子大学)、
「Poisson boundary of monoidal categories」
13:30--14:30 (いつもと曜日と時間が異なります)、場所はA358です。
コンパクト量子群の表現論や部分因子間の理論などに現れるC*-テンソル圏のPoisson境界の概念について解説する。
共役と既約分解のできるC*-テンソル圏に対し,圏論的なトレースをもとにして,
元の圏のPoisson境界とよぶべき新たなC*-テンソル圏を構成することができる。
この構成はC*-テンソル圏の従順性の概念や離散(量子)群のPoisson境界と密接に結びついており,
C*-テンソル関手や量子群の分類の問題に新たな応用をもたらした。
本講演はS. Neshveyevとの共同研究に基づく。
- [2014/1/24] 清水 健一(名古屋大学多元数理)、
「テンソル圏のユニモジュラー性について」
ある種の有限的なテンソル圏(finite tensor category)に対して定義される
ユニモジュラー性という性質の特徴づけとその応用について話します。
また、非有限的な状況下で、これらがどう一般化され得るかについても議論したいです。
- [2013/12/20] 林 孝宏(名古屋大学多元数理)、
「Bialgebroids, torsors and equivalences of equivariant vector bundles」
量子亜群の両側作用をもつような非可換な空間(と思っているもの)の具体例をひとつ
構成します。このことは、ある種の同変ベクトル束のなす二つの圏が、
テンソル同値であることの森田的な証明を与えることになります。
- [2013/11/15] 島倉裕樹(東北大学,情報)、「頂点作用素代数とその周辺」
頂点作用素代数は数理物理の2次元共形場理論を起源とする代数系である。
モンスター単純群と保型関数の対応を与えるムーンシャイン現象は頂点作用素代数を用いて証明されたように、
様々な分野との繋がりがある。本講演では、頂点作用素代数とその周辺分野との繋がりについて紹介する。
- [2013/10/25] 山上 滋(名古屋大学多元数理)、「量子状態の共分散形式とその流れ」
CCR代数上の量子状態の共分散形式と自由量子状態との対応関係に着目すると、
共分散形式の作る空間上にある流れ(実数群の作用)を構成することができる。
その意味について、あれこれ考えてみたい。
- [2013/7/12] 戸松玲治(北大)、「続々量子旗多様体」
q変形量子群の無限テンソル積型作用を調べる.
- [2013/6/28] 戸松玲治(北大)、「続・量子旗多様体」
量子旗多様体入門の続きを行う.
具体的にはDijkhuizen-Stokmanの結果の別証明を与える.
また量子Weyl次元公式の指標公式を経由しない導出の方法を紹介する.
- [2013/6/21] 寳藏寺 顕人(名古屋大学 多元数理M2)、
「自由群上のランダムウォークとスペクトル」
ヒルベルト空間上の自己共役作用素について考え、
特に自由群上のランダムウォークのスペクトルをもとめる。
- [2013/5/31] 戸松玲治(北大)、「Product type actions of G_q」
(量子)群の von Neumann 環への作用について.
- [2013/5/31] 片山友貴(名古屋大学 多元数理M2)、
「ホワイトノイズ理論の量子確率微分方程式への応用」
特定のホワイトノイズ空間に対して量子確率微分方程式の解の存在などについて述べる。
- [2013/5/31] 戸松玲治(北大)、「Product type actions of G_q」
(量子)群の von Neumann 環への作用について.
- [2013/5/24] 山上 滋(名古屋大学多元数理)、「量子状態の遷移確率あれこれ」
量子解析として取り上げられるべき基本の概念に、量子状態間の遷移確率というものがあるのであるが、
これについて、最近目にした論文に発揚された形であれこれ述べてみたい。
できれば、まだ数学の形を成していない部分についても伝えられれば幸い。
- [2013/4/26] 林 倫弘(名古屋工業大学)、
「クンツ環の準同型写像でUHF環を保存するものについて」
クンツ環上の準同型は生成元にユニタリ元をかける操作で必ず得られる。
準同型がcanonicalなUHF環を保存する場合に、このユニタリ元の性質を調べる。
- [2013/1/18] 清水 健一(名古屋大学多元数理)、
「Frobenius-Schur theorem for C*-categories」
コンパクト群に対する Frobenius-Schur の定理の圏論的拡張についてお話します。
- [2012/12/21] 山上 滋(名古屋大学多元数理)、
「On bicategories of group representations and their rigidity」
有限群上の群に付随した双圏 (bicategory) の構成を復習し、
それをユニタリー表現論的に拡張する際の問題点について解説します。
- [2012/10/12] 林 孝宏(名古屋大学多元数理)、
「Weak Hopf algebras, Drinfeld multiples, and root number functions of finite groups」
有限群上のある種の方程式の解の個数とテンソル圏のある不変量との関係を、
弱Hopf代数というものを通じて説明したいと思います。
- [2012/7/20] 松岡勇気(名古屋大学多元数理M1)、「$C^*$環の拡大について」
$C^*$環の拡大とそれに関連した話題について紹介します。
- [2012/7/13] 塩川 岳(名古屋大学多元数理M2)、「ダニエル積分と測度」
ダニエル積分とそこから構成できる測度について解説します。
- [2012/7/6] 山崎 惇(名古屋大学多元数理M2)、「状態の幾何平均と冨田・竹崎理論」
冨田・竹崎理論と状態の幾何平均の例を紹介します。
- [2012/6/15] 山上 滋(名古屋大学多元数理)、「Hypergroups and tensor categories」
Hypergroups are reviewed from the view point of tensor categories.
- [2012/6/01] 山上 滋(名古屋大学多元数理)、「Unitary Representations of the Poincare Group」
I will review an old and somehow missing result on the fusion rule
for tensor products of physical representations of the Poincare group.
- [2012/5/25] 山崎 惇(名古屋大学多元数理M2)、「Functional calculas for sesquilinear forms」
ベクトル空間上の sesquilinear forms の functional calculus について解説します。
- [2012/5/18] 林 倫弘(名古屋工業大学)、「Operator-Lipshitz 関数について」
Operator-Lipshitz 関数についての Potapov-Sukochev の論文の紹介。
- [2012/5/11] 三谷祐介(名古屋大学多元数理D1)、「群の表現論入門 II」
4/27 の続き。
- [2012/4/27] 三谷祐介(名古屋大学多元数理D1)、「群の表現論入門」
テンソル圏構成に向けての準備として、有限群の表現の入門的な解説を行います。
- [2010/6/18] 山上 滋(名古屋大学多元数理)、「I Remember Clifford Algebra」
Clifford C*-環の基本的なことを解説します。併せて、自由状態にまつわる解けそうな問題についても紹介します。
- [2010/6/11] 林 倫弘(名古屋工業大学)、「Jensen不等式から定まる二項関係について」
作用素に対するある順序もどきの等号成立条件に関する問題。