Tinbergenの四つの問い

#雑多

Tinbergenの四つの問いは,説明の座標軸として数学でも参考になるのではないか. 「歴史の流れ」と「現代数学の分野での位置」の二つの座標で整理する.

  1. 正確な主張は何か?どのように証明されるのか?
  2. 誰がいつどういう経緯で発見したのか?その後はどのように発展したのか?
  3. 現代数学ではどのような分野に属しているのか?その分野の中ではどのような位置づけなのか?
  4. 現代数学を広く見渡したときの(主観的な)重要性を位置づけるとどうなるか?

例:Bott周期性

Bott周期性とは,無限次元ユニタリ群$U$のホモトピー群が$\pi_{2j}(U) = 0$かつ$\pi_{2j+1}(U) = \mathbb{Z}$のように周期性を持つことであり,系として分類空間の無限ループ空間としての構造$\mathbb{Z} \times BU \simeq \Omega^2(\mathbb{Z} \times BU)$が従う. 直交群やシンプレクティック群についても同様の主張がある. その証明は,Morse理論によるもの・族の指数を用いたもの・代数的位相幾何によるものなど,様々な方法がある. 対称空間のMorse理論の研究の中でBottによって1957年に発見され,1960年頃にAtiyah-Hirzebruchによって位相的K理論の構築に用いられた. また,1967年にAtiyahによって族の指数の観点からの別証明が与えられた. Bott周期性は,位相的K理論を一般コホモロジーとして展開するための根幹であり,指数定理の証明や族の指数そのものの基礎でもある. 現代幾何の最重要定理の一つであろう.

参考になるもの