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: 参考文献 : tokubetu1 : 純粋状態族に対する松本理論との関連

結論

本稿で触れたように,量子推定における1次の漸近論はかなり解決に近づいており, 今後,非漸近的な問題や2次の漸近論が問題になると思われる. 一般に,パラメータ数が2の coherent な状態族は boson coherent 状態族に漸近することは色々な角度から確認できていた. 本稿では spin coherent 状態族及び, $ \mathop{\mathfrak {su}}\nolimits (1,1)-\lambda$ coherent 状態族が boson coherent 状態族に漸近する速さを正確に論じ, Levi-Civita 接続のスカラー曲率との関連を指摘した. なおパラメータ数が2の coherent な状態族で Levi-Civita 接続のスカラー曲率が一定なものは, 本稿[*]で挙げたものに限られると予想できる. 同様に,パラメータ数が2の coherent な状態族である群のユニタリ表現 に関して推移的なものは, [*]で挙げたものに限られると予想できる. これらについては未解決問題である.

ただ,本稿で論じたような2次項の係数とスカラー接続との関連を一般に調べることは難しく, 一般の場合はかなり状況が異なると思われる. coherent かつ等曲率な状態族について同種の関連があると思われる. その他,許容性などの非漸近的な未解決問題がたくさんあり, 今後の進展が待たれる.



Masahito Hayashi 平成13年7月10日