名古屋大学 大学院多元数理科学研究科・理学部数理学科
住所: 〒464-8602 愛知県名古屋市千種区不老町

社会連携 - 数学アゴラ - 過去の情報 - 2006年度

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ファイル更新日:2007年12月07日

社会連携

2006年度数学アゴラ (続き)

秋の継続コース

1. 趣旨

数学とその応用に興味・関心を持つ高校生・高校教員に対し,本研究科の数学研究者が継続的に数回の講義を行ない,最先端の研究にもつながる数学理論をわかりやすく解説する.

2. 講義題目

整数の分割を数える

3. 講師

岡田聡一 (名古屋大学大学院多元数理科学研究科 教授)

4. 主催

名古屋大学大学院多元数理科学研究科

5. 後援(予定)

  • 愛知県教育委員会
  • 岐阜県教育委員会
  • 三重県教育委員会
  • 名古屋市教育委員会
  • 日本数学会中部支部

6. 日時

2006年11月4日(土),11日(土),18日(土),12月2日 計4日間

15:00〜17:00 (予定)

7. 会場

名古屋市千種区不老町
名古屋大学 理1号館(大学院多元数理科学研究科) (教室は未定)

8. 対象者

高校生及び高校の数学教師あわせて30〜40人程度
(応募者多数の場合は抽選により決定)

なお,教師の方については必要に応じて,当研究科が受講証明書を発行致します.

9. 参加料

無料

10. 参加申込

「名古屋大学数学アゴラ(継続コース)参加申込書」に所定事項を記入し,返信先の郵便番号,住所,氏名(「様」を添えること)を表書した官製ハガキと共に,

〒464-8602 名古屋市千種区不老町
名古屋大学大学院多元数理科学研究科 数学アゴラ係宛

に10月20日(金)までに申し込んでください.申込者には参加決定の有無を返送致します.

11. レポート

講義終了後にレポート課題を提示する予定です.義務ではありませんが,意欲のある方はレポートを作成して提出してください.

12. 連絡先

住  所 〒464-8602 名古屋市千種区不老町
名古屋大学大学院多元数理科学研究科 数学アゴラ係 (担当: 浪川幸彦)
電  話 052-789-4746/ 052-789-5397 (FAX)
電子メール

11. 講義概要

与えられた正整数をいくつかの正整数の和として表す(和の順序は考えない)表し方を,その正整数の分割という.例えば,4の分割は

4, 3 + 1, 2 + 2, 2 + 1 + 1, 1 + 1 + 1 + 1

の5通りある.(3 + 1と1 + 3は区別しない.) 分割は,対称式をはじめとして数学に現れるさまざまな対象にラベルをつけるのに利用され,数学や物理学の問題を具体的に(組合せ論的に)扱う手段の一つとなっている.また,分割の個数を係数とする多項式やべき級数として得られる関数やそれらの間の関係式は,数学だけでなく数理物理学など幅広い分野で重要な役割を果たしている.

この講義では,ある条件をみたす分割が何通りあるかを数えるという問題を扱う.そして,場合の数を個別に考えるのではなく,その場合の数を係数とする多項式やべき級数(多項式の拡張で形式的に無限和を考えたもの)を考えるという「母関数」のアイデアを説明する.具体的には,次の2つのパートに分けて講義を進める.

  1. 前半の2回では,k以下の正整数を用いた分割で,項の数がl個以下であるようなものを数える.このようなnの分割の個数をanとするとき,多項式

    1 + a_1 q a_2 q^2 a_3 q^3 + ... + a_{kl} q^{kl}

    が二項係数の多項式版(ガウス多項式と呼ばれることもある)を与えることを解説し,二項定理の拡張が成り立つことを証明する.そして,この母関数を利用することで,上のような条件をみたす偶数の分割が全部で何通りあるかを数えることができることを説明する.

  2. 後半の2回では,正整数nの分割が全部で何通りあるかを数える.nの分割の個数をp(n)と表すとき,関係式

    1 + p(1) q + p(2) q^2 + p(3) q^3 + ... = 1 / (1 - q) 1 / (1 - q^2) 1 / (1 - q^3) ...

    が成り立つことを解説する.そして,積(1 - q) (1 -q2) (1 -q3) …の展開を与えるオイラーの五角数定理を利用して,p(n)の値を順次求めていく方法を説明する.

この講義では具体的な対象を扱うので,予備知識はほとんど仮定しない.数学I, II, A, Bで扱われる内容のうち,多項式の計算・因数分解,場合の数(特に,二項係数,二項定理),数列(特に,数学的帰納法)を学習していれば十分である.べき級数については講義中に解説する.

12. 講義録/レポート問題