名古屋大学 大学院多元数理科学研究科・理学部数理学科
住所: 〒464-8602 愛知県名古屋市千種区不老町

社会連携 - 数学アゴラ - 過去の情報 - 2005年度

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ファイル更新日:2021年06月10日

社会連携

2005年度数学アゴラ

夏季集中コース

1. 趣旨

数学の素晴らしさを広く伝え,生徒一人一人の個性を伸ばすという観点から世界の最先端で数学の研究を行っている教員達が数学とその応用に興味・関心を持つ高校生および高校教員に対し,分かりやすくそれぞれの得意分野を披露することにより,名古屋大学の数学分野での教育研究活動を紹介する.

2. 主題・講義題目

3. 主催

名古屋大学大学院多元数理科学研究科

4. 後援

  • 愛知県教育委員会
  • 岐阜県教育委員会
  • 三重県教育委員会
  • 名古屋市教育委員会
  • 日本数学会中部支部

5. 期間

2005年8月11日(木)〜8月13日(土)の3日間

6. 会場

名古屋市千種区不老町
名古屋大学 理1号館(大学院多元数理科学研究科)

7. 対象者

高校生及び高校の数学教師100人 (応募者多数の場合は抽選により決定)

8. 参加料

無料

9. 参加申込

「名古屋大学数学アゴラ(夏季集中コース)参加申込書」に所定事項を記入し,返信先の郵便番号,住所,氏名(「様」を添えること)を表書きして140円切手を貼付した角2封筒(A4サイズの紙が入る大きさ)と共に,

〒464-8602
名古屋市千種区不老町
名古屋大学 大学院多元数理科学研究科 数学アゴラ係宛

に7月22日(金)までに申し込んでください.申込者には,参加決定の有無,内容等を返送致します.

10. プログラム

8月11日(木)
13:00〜13:30 受付
13:30〜13:40 開講式
13:40〜14:40 講義A-1「数学とは何か? 20世紀に数学はどのような進歩をしたか (1)」/中西 知樹 助教授
15:00〜16:00 講義B-1「書き換えと計算機 (1)」/ジャック・ガリグ 助教授
8月12日(金)
10:30〜11:30 講義A-2「数学とは何か? 20世紀に数学はどのような進歩をしたか (2)」/中西 知樹 助教授
11:30〜13:00 昼食・休憩
13:00〜14:00 講義C-1「魔方陣と現代数学 (1)」/佐藤  肇 教授
14:15〜15:15 講義B-2「書き換えと計算機 (2)」/ジャック・ガリグ 助教授
15:30〜17:00 「名古屋大学の学生とのふれあいコーナー」
8月13日(土)
10:30〜11:30 講義A-3「数学とは何か? 20世紀に数学はどのような進歩をしたか (3)」/中西 知樹 助教授
11:30〜13:00 昼食・休憩
13:00〜14:00 講義C-2「魔方陣と現代数学 (2)」/佐藤  肇 教授
14:15〜15:15 講義B-3「書き換えと計算機 (3)」/ジャック・ガリグ 助教授
15:15〜15:25 閉講式

11. 連絡先

住 所 〒464-8602
名古屋市千種区不老町
名古屋大学 大学院多元数理科学研究科 数学アゴラ係 (担当: 松本耕二)
電 話 052-789-2414
FAX 052-789-5397
EMAIL

12. 講義内容紹介・コースデザイン

講義A「数学とは何か? 20世紀に数学はどのような進歩をしたか」/中西 知樹 助教授
講義内容紹介

みなさんは,学問としての数学にどのようなイメージを持っていますか? 高校で学ぶ方程式や微積分の問題をどんどん難しくしてひたすら極めていくというイメージを持っていませんか? あるいは,オイラーやガウスなどの昔の偉大な数学者の業績を学ぶ考古学のようなイメージはありませんか? 数学は20世紀に大きな飛躍をし,今日でもどんどん発展を続けている,生きた学問です.そしておそらく現在の数学者自身が思っている以上にまだまだ若い学問かもしれません.この講演ではそのような生きた数学の姿の一端を紹介したいと思います.「世界で数学の新しい定理は一日にいくつ発見されているか?」といった,みなさんが普段あまり聞けないようなお話もしたいと思います.

コースデザン・講義資料

[DOWNLOAD] コースデザイン・講義資料 [PDF/30KB]

※ 参加者にお送りした資料の中で,第1回講義のためのHomeworkの(2)に誤りがありました.修正したものをアップしました.(2005/8/5)

講義B「書き換えと計算機」/ジャック・ガリグ 助教授
講義内容紹介

「公式を書き換えて結果を導く」という方法は数学で最も自然な計算方法と言える.しかし,同じことを計算機で行う場合,書き換えを完全に自動化する必要がある.書き換えの理論とその計算機科学への影響を紹介する.

コースデザイン

項書き換えは理論情報科学の比較的に新しい分野(1970年代頃から名前が確定された)である.情報科学は論理学を基礎にして来たが,構築される論理体系が複雑になるにつれて,その計算的な意味を理解する必要が生じた.項書換えで証明されるのは,ある体系の意味が正しいかどうかではなく,その体系の中で計算ができるかどうかである.計算が止らなかったり,計算の仕方によって異る結果が得られたりしたら,そもそもその体系が意味をなさないことになってしまう.

数学ではその現象は定義兼定理の形で出てくる.複雑な定義をすると,その定義にはちゃんと意味があることを証明しなければならない.情報科学は定義を大量に作ってしまうので,その理論が必要になった.

講義では,例を見ながら書き換えにおいての重要な性質を定義する.この理論の役に立つ結果として,等式による計算を自動化するアルゴリズム「完備化手続き」の理解を目指す.

1回目
  • 書き換え系とは
  • 書き換え系の抽象的な性質
2回目
  • 項書き換え系による計算
  • 正則性とそのメリット
3回目
  • 計算を難しくする「危険対」
  • それらを解消する「完備化手続き」
講義資料
[DOWNLOAD] 講義資料 [PDF/73KB]
講義C「魔方陣と現代数学」/佐藤 肇 教授
講義内容紹介
少々の説明の後,皆さんに,実際にいろいろな大きさの魔方陣を,中学生ほどの計算を用いて作って貰い,数の神秘性の一端を感じて頂くつもりです.
コースデザイン

数字を正方形のます目に入れて,どの縦の列の和も横の列の和もみな同じになっているものを,魔方陣という.魔方陣は,昔から世界中の人々の興味を惹いて,いろいろな人が書きものを残している.現在でも,ネット上ではさまざまな書き込みがなされている.そこでは,不思議な力が働いていて,数字たちが華麗な宇宙をつくりあげている.

さて,魔方陣は,単なる頭脳遊戯の対象なのだろうか? じつは,魔方陣の理論は,現代数学の主要なパーツである,ガロア体の理論,射影幾何学,組み合わせ論などと密接に関連していて,これらは,通信の際の基本となる符号理論,科学実験の基礎となる実験計画法など,現実の社会にも広く応用されている.

講義では,それらの理論の出発点として,魔方陣を産み出す単純な数学的構造を説明する.受講者が,中学生ほどの計算で実際にいろいろな大きさの魔方陣を作ってみることができるようになることを目標とする.

1回目
  • mod nでの加減の計算
  • ラテン方陣とオイラー方陣
  • n進法,魔方陣
2回目
  • 有限体の計算
  • 行列のテンソル積
  • オイラーの予想
  • 実験計画法など

受講者の反応により,予定したコースの項目に捕らわれず,柔軟に講義内容を変化させるつもりです.