名古屋大学 大学院多元数理科学研究科・理学部数理学科
住所: 〒464-8602 愛知県名古屋市千種区不老町

教育・就職 - 2022年度 - 「数理の香」コロキウム

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ファイル更新日:2022年10月25日

教育・就職

2022年度

「数理の香」コロキウム

「多元数理」という大きなゼミナールを実現する目的で,4年生・大学院学生向けの談話会を開催します.数理学科および多元数理科学研究科の学生向けの催しです.

  1. 数理科学におけるトリヴィア(trivia),豆知識,雑学から話を始め(導入);
  2. 関連する数理科学の基本概念と初等的な参考文献を提示し(発展);
  3. その先にあって,修士論文(さらには博士学位論文)のテーマにつながる話題を提供します(展望).

一回きりの講義,ゼミナール,さらにはチュータリングという形式を念頭におき,学問的な内容に限らず,学生さんが大いに関心をもつ様々な事項(例えば将来のキャリアパスなど)に関する情報提供(雑談)も行い,また参加者が自由に質問できる機会を設けます.

  • 数理の香に引き続き,同会場で教員有志を中心とした(数理の香の話題に限定しない)質問受付など,オフィスアワーの時間を試行的に設けています.
  • このコロキウムは数理学科/多元数理科学研究科の学生向けに開講されています.一般の方の聴講はできません.

次回以降の講演

第8回「流れの数理への招待」
日 時
2022年11月9日(水) 15:15〜16:45
会 場
多元数理科学棟 509講義室
講演者
金田行雄 (名古屋大学大学院多元数理科学研究科)
要 旨

古今東西,人々はさまざまな「流れ」に接して生活してきました.「流れ」は気象,環境,防災,省エネルギー,ものづくりなどに関わる社会的関心の高い多くの現象で重要な役割を担っています.その流れは個別の場面それぞれで千差万別ですが,その違いによらず,共通の力学法則・数理に従い,とくに水や空気などの流体についてはナビエ・ストークス(NS)方程式に従うことが知られています.そのNS方程式は“一見”とても簡単なものです.しかし一方でその簡単さ,そして長い研究の歴史にもかかわらず,流れについての多くの未解決の難問が残っています.この講演では「数理のメガネを通して視る流れ」の視点から,NS方程式の性質,流れと数学の間の不思議な関係,パラドックスや想定外の“失敗”による教訓,などのいくつかを紹介します.またとくに,乱れた流れ(乱流)について,KolmogorovLandauの考え,カオス,フラクタルの考え,またスーパーコンピュータを利用した計算科学的方法による研究について紹介します.


過去の講演

第7回「定量的な不動点公式 Lefschetzからthe Woods Hole formulaまで」
日 時
2022年10月12日(水) 15:00〜16:30
会 場
多元数理科学棟 509講義室
講演者
森吉仁志 (名古屋大学大学院多元数理科学研究科)
要 旨

不動点定理とは,ある条件下での不動点の存在を保証する定理の謂である.1926年にLefschetzは,位相空間$X$から$X$への連続写像に対してLefschetz数という(実)数を定義し,零ではないLefschetz数を持つ写像は(ある条件のもとに)必ず不動点をもつことを証明した.これをLefschetz不動点定理という.この定理を複素多様体へ拡張した主張を,the Woods Hole formulaあるいはholomorophic Lefschetz formulaとよぶ.この定理は,定性的なBrouwer不動点定理を定量的な定理に拡張したという大きな意義の他に,Atiyah, Bott, 志村五郎を巻き込む興味深い物語の起源(genesis)ともなっている(L. Tu, On the Genesis of the Woods Hole Fixed Point Theorem, Notice of the AMS, 2015).リーマン面上のわかりやすい実証例からK3曲面の自己同型群に関する向井茂の興味深い結果まで,多くの応用例を交えつつLefschetz不動点定理について解説する.

第6回「不動点定理を巡って BrouwerからSpernerと宇澤まで」
日 時
2022年10月5日(水) 15:00〜16:30
会 場
多元数理科学棟 509講義室
講演者
森吉仁志 (名古屋大学大学院多元数理科学研究科)
要 旨

位相空間$X$から$X$への写像$f(x)$に関して,$f(x)=x$を満たすような$X$の点$x$を不動点とよぶ.不動点定理とは,ある条件下での不動点の存在を保証する定理の総称であり,現在までに多くの不動点定理が知られている.また不動点定理のいくつかは,数学的に同値な命題であることも証明されている.歴史的に最初の不動点定理と言えるのは,1909年にBrouwerが証明した内容であろう.それは,$n$次元閉円板上の連続写像は必ず不動点を有する,という主張である.このBrouwer定理は,1928年にSpernerによって証明された(見かけの全く違う)離散数学における定理と同値であり,さらに経済学における古典的なWalras公式(1877年)とも同値となる(宇澤弘文によって1962年に証明された).一方,Banach, Kakutani, Schauderという流れに沿った解析学における不動点定理もある(この不動点定理から,常微分方程式の解の存在と一意性,つまりPicardの定理が従う).こうした不動点定理を概観し,それらの関連性について解説する.

第5回「表現論入門 ゲルファントのアプローチを通して見る」
日 時
2022年6月29日(水) 15:00〜16:30
会 場
多元数理科学棟 509講義室
講演者
宇澤 達 (名古屋大学大学院多元数理科学研究科)
要 旨

表現論は群$G$から$GL(V)$への準同型写像の研究です.$V$はあるベクトル空間,$GL(V)$はそれ自身への可逆な自己同型の全体です.定義だけを聞くと何が面白いのか理解しにくいと思います.この話ではゲルファント(19132009)という数学者の数学へのアプローチを通して表現論の面白さを語りたいと思います.ゲルファントはソ連の混乱期に育ったので正規の教育は受ける機会がなく,自分でいろいろ数学を再発見してたそうです.郷里の高校を中退してからモスクワの遠縁を頼ってモスクワでいろいろバイトをしている時にモスクワ大学の学生と知り合いになり,セミナーに出入りしている時にコルモゴロフに見出され数学者としての活躍する,という異例の経歴を持った人です.彼は$2 \times 2$行列の場合にいろいろな計算をしていく中で,想像力を逞しくしてブレークスルーを生み出してきたのです.

第4回「数学役にたちますか?」
日 時
2022年6月8日(水) 15:00〜16:30
会 場
多元数理科学棟 509講義室
講演者
大平 徹 (名古屋大学大学院多元数理科学研究科)
要 旨

表題の質問は,大学を数学で専攻した人には,卒業後も様々につきまとう質問になると思います.文学と並んで長い歴史をもつ人間の文化活動の一つでありながら,実社会での評価は今一つというところではないでしょうか.しかし,実は科学技術を下支えする「言語」として数学は重要な役割を果たしてきています.特に現在話題になっている,機械学習,データサイエンス,量子コンピュータなどではより高度な数学がどんどん必要とされてきています.ここでは,現代的,現実的なトピックとして,数学教室の出身者の教養として知っておいた方がよいと思われる,感染症の数理,公開鍵暗号の仕組み,渋滞の数理などの概観を紹介するとともに,修士論文や博士論文の種になりそうな事例をいくつか示します.また,私は企業に長年いたので,そのあたりの経験についても少し触れます.数学的には高度な話はしませんので,学部2年生以上の方々であれば理解できると思います.

第3回「円板上のポアンカレ指数公式と流体力学」
日 時
2022年5月18日(水) 15:00〜16:30
会 場
多元数理科学棟 509講義室
講演者
森吉仁志 (名古屋大学大学院多元数理科学研究科)
要 旨

閉曲面上に孤立した零点のみを有するベクトル場が与えられたとき,零点におけるベクトル場の指数(整数)の総和が閉多様体のオイラー数に等しいというポアンカレ・ホップ指数公式は,位相幾何ではよく知られている.しかしこの結果に先立ってポアンカレが示した,(境界がある)閉円板上で成立つ指数公式は余り知られてないように思われる. ベクトル場は円板の境界を少しだけ超えて定義されており,零点はその内部にあって孤立しており,積分曲線は有限個の点で境界に接していると仮定するとき,零点におけるベクトル場の指数和は$1 +(i-e)/2$に等しくなる(積分曲線に関して,$e =$境界における外接点の個数,$i=$境界における内接点の個数とする).これが閉円板上のポアンカレ指数公式である.この公式の証明を位相幾何的に再考し,さらに流体力学的な解釈がベクトル場の位相的性質を理解するために大いに役立つ様子を示したい.

第2回「平面曲線とソリトン」
日 時
2022年5月11日(水) 15:00〜16:30
会 場
多元数理科学棟 509講義室
講演者
森吉仁志 (名古屋大学大学院多元数理科学研究科)
要 旨

平面曲線は,かつては1年生の微積分学に含まれる学習内容であった.現在は学部3年生レベルの幾何学に含まれると思われるが,現代的な幾何カリキュラムではあまり扱わないかもしれない.しかし縮閉線(evolute)・伸開線(involute)や包絡線(envelope)の概念とともに平面曲線は微積分学の揺籃であり,知ると楽しくなる数学対象である.どのように開いても刃の成す角度が一定であるハサミはベルヌーイの螺旋で与えられるという事実から始めて,いくつかの平面曲線に関する視覚的体験を提供する.また,等積アファイン曲線という平面曲線の族を考えると,曲率方向に変化する曲線の運動が,非線型波動方程式の一つであるKdV方程式を与えることを導き,平面曲線がソリトンと密接に結びついている様子も示す.

第1回「オイラーのコマと測地線方程式」
日 時
2022年4月13日(水) 15:00〜16:30
会 場
多元数理科学棟 509講義室
講演者
森吉仁志 (名古屋大学大学院多元数理科学研究科)
要 旨

外力が働かない剛体の運動(あるいはその剛体)をオイラーのコマとよぶ. 無重力状態で運動する剛体はその一例である. 宇宙船内で生じる不思議な回転運動を映したビデオから話をはじめ,その運動を記述するオイラー方程式が,回転群$SO(3)$上の測地線(2点間の最短距離を実現する曲線)を与える方程式であることを導く. この解釈(アーノルドによる)を無限次元の群(微分同相群)に延長すると,KdV方程式などの非線形波動方程式へつながってゆく. 同様に,無限次元の対象(多様体)を考えることで,回転群$SO(3)$上の力学を拡張した南部構造につながる様子も示す.