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ファイル更新日:2004年03月01日 アーカイブ■数学セミナー2004年1月号 21世紀COEプログラム(1)■日本評論社刊の「数学セミナー」2004年1月号に「21世紀COEプログラム(1) 等式が生む数学の新概念/名古屋大学大学院多元数理科学研究科」という記事が掲載されました. ●掲載記事(一部)「21世紀COEプログラム(1)等式が生む数学の新概念—名古屋大学大学院多元数理科学研究科2003年7月,平成15年度の21世紀中核的研究拠点プログラム(通称:21世紀COEプログラム)が採択され,数学・物理学・地球科学系で24,うち数学系7つ(=数学系研究科が中心となっているもの)が選ばれた.平成14年度から文部科学省の新規事業としてスタートした21世紀COEプログラムは,「我が国の大学が世界のトップレベルの大学と伍して,教育及び研究水準の向上や世界をリードする創造的人材を育成していくために,競争的環境を醸成し,学問分野ごとに世界的な研究教育拠点の形成を重点的に支援することにより,活力に富み,国際競争力のある世界最高水準の大学づくりを推進」することを目的として,採択された拠点には5年間にわたって活動予算が計上される.『数学セミナー』ではこれから7回にわたり,7大学のプログラムを紹介する. 数の概念と空間の概念に迫る第1回目は名古屋大学大学院多元数理科学研究科(以下,多元と略す)の「等式が生む数学の新概念」.ここでいう「等式」とはどのようなものであり,そこから何を生み出そうというのであろうか.拠点リーダーである宇澤達氏は次のように語る. 「プログラム名ですが,もともと自然科学が強い名古屋大学のなかで数理科学の研究をする部局として,多元がどのように特色を見せることができるか,というところから考えていきました.数理科学の特色を出さないと大学の外はもちろん,学内にもアピールできないと思ったのです.数理科学で何が一番大切かというと,数,空間の概念だろう,それを検証できる仮説というとこれは“等式”だろう,ということで「等式が生む数学の新概念」という名称になりました.」 11月11日にCOEオープン・コンファレンス「数・対称性・空間」が学内で開かれた.これから進められるプログラムの内容を広くアピールし,方向性を打ち出すための研究集会である.ここで宇澤氏のほかにプログラムのメンバーの菅野浩明氏,金銅誠之氏にもお話を聞くことができた. 「自然科学では,仮説を立てて検証する,ということが研究姿勢として自然だろうと思います.それを数学に当てはめると,「等式」という形で予想などを設定して,それを検証していくというのが一つの典型だと思うのです.」(菅野氏) 「今回,私達は具体的に2つの予想—ラングランズ予想とミラー対称性予想に注目しました.それぞれ数の概念,空間の概念に深く関係しています.ラングランズ予想にはL-関数の間の等式が,ミラー対称性予想には分配関数の間の等式が現れ,この2つの等式は類似しているのです.この類似を正確に記述することで,新しい数や空間の概念が生まれてくるだろう,それをこのプロジェクトで見つけていこうということです.」(宇澤氏) 《以下続く》 [数学セミナー編集部] ※ この記事は数学セミナー誌の承諾を得て掲載しています.同誌の許可なく転載・再配布することを固く禁じます.
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