ネット上の参考書など
今期は、実講義とオンラインのハイブリッドです。
具体的には、「事前学習+実講義(金4,C25教室)+事後学習」を毎週繰り返していきます。
(隔週で授業形態が変わるといったことはありません。)
事前・事後は要約(続行列代数)と講義ノートで予復習、
実講義(30分+30分)は事前学習を前提に、考え方・計算のコツなどを伝える予定です。
ということで前期にオンラインでしていたことを事前・事後に振り分け、実講義はその補助といった扱いになります。
これは、対面授業を実施する上で求められている様々な制約によるものです。
中には過剰な規制がある一方で、思わぬ抜けがあるかも知れません。
オンラインのみに移行する可能性が常にありますので、ご注意ください。
Q: 授業形態について質問があります。
今秋学期、名古屋大学では隔週登校を行うという方針でしたが、オンラインの週であれ対面の週であれ、
化学生命工学科3組及びマテリアル工学科6組の生徒は金曜4限に名古屋大学へ赴く必要がある、
という風に受け取ったのですが、相違はないでしょうか?
A: 秋は隔週授業というのは正しくありません。(そういった授業をされる先生もいるかも知れませんが。)
少なくとも私の教室での授業は、事情が許す限り(上から禁止されない限り)毎週全員に対して行います。
(そのために広い教室が割り当てられている。)
ただ、様々な制約のため、通常行ういわゆる講義は行いません。
予め、その週の内容の概略を予習していただいて(この部分は、前期のオンライン授業と似ています)、
それを前提に、理解しにくところとか問題を解くこつとかを重点的に教室では取り上げる予定でおります。
(反転授業というのに近いかも。)
上のQ&Aに関連して、もう少し補足します。
前期は、正直「手抜き」のオンライン授業でしたが、過去に担当したクラスと比べて、
成績は同等かそれ以上だったように思います。
ひとつは、オンライン試験だったせいもあるかも知れませんが、一方で、地道にテキストを読む形態、
というものに意味があったのでは、と考えております。
通常だと、(予習せず)まず授業で話を聞いてから、教科書などの書いたもので復習するのが多くのパターンと思われますが、
基礎的な概念とか計算手法を身につけるためには、
これを逆転させて、テキストでまず予習し、
実授業ではむしろ問題を解かせるのが効果的(反転授業という)という考え方があります。
これは扱う内容にもよるし、手放しで良い方法とも思わないのですが、
今回のような事態では試みる価値があるか、ということで、上記のような仕儀となりました。
幸い、皆さんは、テキストを読みこなした(?)という実績がすでにあるので、
対面授業ではそれを補強する内容を重点的に扱うことで、より効果的な学習につなげられることを願いつつ。
宿題は、前期と同じ形態とします。授業があった日の翌週12:00までに、
NUCT の課題欄にレポートの pdf ファイルをアップロードすると、次の授業時までに、
解答例とコメントが得られるというものです。
これは、皆さんの学習のペースメーカーとして行うもので、宿題提出の有無は、成績には反映しません。
宿題の問題は、続行列代数の該当のものを進度予定表でご確認ください。
いまのところ、試験も対面で実施を予定しております。
まだまだセミも聞こえる暑さ。それでも既に栗は落ち、昨日は中秋で花火も鳴って。
本日は、前期の最後に学んだ固有値・固有ベクトルの復習から。
実例の補充と、複素数の必要性まで。
来週は、その続きとしての複素数の数学から。
宿題のルールを確認しておきます。
締切は、次の週の火曜12:00。
日頃の勉強のきっかけにするためのもので、提出の有無は成績に関係しません。
台風の刺激による前線からの雨、災害なきを祈るも、秋は一歩前に。
本日のメニュー:
複素数の極表示、オイラーの公式、固有値の存在。
複素数とはこれを機会に仲良くしておくとよい。
高校の内容の復習も含めて。
振動現象の記述にも役立つのみならず、自然はこの複素数の形で我々に姿を見せる、
というのは量子力学の教えるところ。
鈴鹿の山なみもくっきりといわし雲。
対角行列とべき、行列の対角化とべき、対角化と固有値・固有ベクトル、
基底と逆行列の復習
2次行列の例をいくつか。
バネの連成振動については各自で研究してみてください。
来週は、まとめと試験(40分二問)。1回目と3回目(今日)のところを重点的に復習しておいてください。
3年前のこの時期にジェンダーフリーの施設について、ブツブツ言ってたのだが、 その後どうなったことやら。為政に忖度するばかりで、本質を見る目が曇りっぱなしであるか。
open text というのを見つけたので URL を出しておきます。 Nicholson 典型的な米国の教科書のようで、計算ドリルとして使えるかも知れません。
雨のちの茜さす、前線は東へ、また一歩。
今日は、かるーく復習(固有値・固有ベクトル、行列の対角化)の後に 試験1でした。
[講評]:不勉強な人もいましたが、まずまずでしょうか。
$\fbox{1}$ 一部、固有ベクトルを使った解き方になっていない人もいました。
高校の時の知識だけで解けはするのですが、それだと新しいことを学んだことにならない。
行列のサイズが大きくなったときに応用が効かない。
$\fbox{2}$ (i) の答えは、$b$, $\pm i$ です。
ということで、(ii) は固有値が $b$ の固有ベクトルのみを調べれば十分です。
その、固有ベクトルの計算に失敗している人がちらほら。検算してないのでしょうか。
数日来の晴天に、御嶽日和。隔年結果か、銀杏も心なしか元気なく。
本日のメニュー:
内積の復習からはじまって、様々な実例、そして内積の不等式。
具体的なベクトルと抽象的なベクトル。
ちょっとした応用として、データ解析の基本事項でもある、平均、分散、標準偏差に相関係数。
13節からあちらこちらつまみ食い。
試験結果の掲示ですが、掲示板の使用を教養事務から拒否されましたので(そういう本質を見る目をもたぬ担当者がいつかは現れると思っておりました。
残念なことではありますが)、教室でお見せしました。
答案は返しませんが、見たい方は、事前予約の上、オフィスアワーのときにでもお訪ねください。
合計点が2点以下の人は、一度面談を受けた方がよいかも。オフィスアワーはメール予約で可です。
Q: 自分のテストの成績をnuct で確認することは不可能ということでしょうか?
A: もっともな疑問ではあります。これは NUCT のソート機能に問題があり、教務情報システムとの連携が困難であることによるものです。
セキュリティーとも関係するため、詳しくは述べませんが、成績データの一元管理が困難なため、教務情報システムのデータを優先させた結果であります。
一方で、教務情報システムデータの途中経過を伝える手段が紙によるもの以外に見いだせず、その掲示を教養事務に拒否されたため、
やむを得ず授業の途中休憩の際にそれをお見せすることに相成りました。ご理解いただければ幸いです。
遠くの山なみはうすら青く、かえでの紅も数えるほどに。
本日のメニュー:部分空間と直交補空間、直交分解、直交基底と直交行列でした。
テキストの参照箇所も挙げておきます。拾い読みで良いので補っておいてください。
§2 直線と平面の幾何学(前期の初めに少し触れたのですが、座標系の扱いをもう一度復習)。
転置行列の性質 p.18, p.29
§16 平面と空間の一次式変換。
穏やかな天気とはうらはらに、登校不可の事態になったようで、いつまで続くかわかりませんが、 とりあえずオンライン授業の再開です。
本日のメニュー:
対称行列の直交対角化
です。ここは、丁寧にやるとかなり長くなるところなのですが、気合で一気に説明する予定でした。
そのあらましを以下に書きますので、参考にして、間を適宜埋めていただきます。
手取り足取りから脱するよい機会でもあります。ただ、どうにも詰まったときは、メールにてできるだけ具体的にご相談ください。
また、宿題はこれまでと変わりなくお出しください。
まず、前回の補足として、直交座標変換を学びます。これは2次元だと、座標の回転とか(ある直線に関する)折返しということになっていて、 もとの座標と新たな座標が直交行列で結ばれるという構図になっています。
一般の場合も似たようなものですが、3次元の場合を思うのでも十分です。これを直接扱うことはあまり多くはないかも知れませんが、 直感が働く場合を具体的に経験しておくことは意味があります。
次に二次形式というものを導入します。これも一般の場合よりも、2変数・3変数で実感をつかみます。 概要には2変数の場合が書いてあるので、それが3変数の場合にどのように書けるかやってみます。
次に2変数の場合に、回転を施した新しい座標で、二次形式の形がどのように変化するか調べます。例6.3 のところです。 回転角を適切に選んで、二次形式が対角型になることを実感します。
変数の数が増えた場合も直交変換により同様の手続きが可能であるというのが、定理6.4 の内容です。 その証明には、半内積の不等式に直交分解を組み合わせた議論を使います。 ここのところの一般論がわかりにくければ、3変数(あるいは2変数)の場合に限定して何をしているのかを読み取るとよいでしょう。
来週は、2回目の試験です。試験範囲は、過去3回分の授業内容。
今日は梅雨を思わせるような温い雨に、落ち葉の滑り台。
本日は、復習のあとに 2回目の試験。
[試験の講評] $\fbox{1}$ は、基本問題ということもあり概ね出来てました。
ただ、いくつか気になる点もあったので書いておくと、
$E^\perp = \{ t(-2,3,1); t \in R\}$ と書くべきところを、$E^\perp = (-2,3,1)$ と書く人がちらほら。
$(1,1,k)$ と $(2,-1,k)$ の成す角は、$(1,1)$ と $(2,-1)$ の成す角に等しいとする間違い。
ベクトル $(1,1,1)$ の大きさを $1$ とする者もちらほら。
$\fbox{2}$ で 固有多項式の計算ミス、極値をもつ条件の判断ミスがそれなりの数に。
授業は半ばを過ぎたのですが、今の時点で合計点が4点以下の人は要注意。
Q: 2回目の試験で、行列Aの固有値が重解を持つ場合でも固有値が全て正ならば、$A$ に伴う2次形式が $(x,y,z)=(0,0,0)$ で極小値を持つのでしょうか?
A: はい、実対称行列については、固有値が重なっていても、重複度が下がることがない(対角化できる)ので、
成り立ちます。テキスト命題14.21と付録Eの辺りの証明参照。
この固有値が重なる場合は、対角化できる場合でも、しばしば取扱に注意を要する(とくに近似計算を行うときとか)のですが、
実対称行列を含むエルミート行列については、少なくとも理論的には、一般的な処理が可能となります。
今日も穏やかに晴れわたり、落ち葉も一段と。
本日のメニュー
ベクトル空間、基底、ベクトルの成分表示、基底の変換行列と成分の変換式
でした。スカラー、次元という言葉遣いの分野による違いなどひとしきり。
授業の進度予定は当初のまま、12月11日(金)を授業相談日とします。 希望者はメールで予約を。
今日も、青く白く御岳日和。また一つ石を積むか。
本日のメニュー:一次変換、基底、表示行列、基底の取りかえによる表示行列の変換
でした。テキストだと12節の辺り。
最後の例では、一般的な関係式を導いて、それに代入する形で計算しましたが、
結果を覚えるよりも導く過程をくり返して
\[
(f_1,f_2) = (e_1,e_2)T,
\quad
T = \begin{pmatrix} \cos\theta & -\sin\theta\\
\sin\theta & \cos\theta \end{pmatrix}
\]
であれば、これに $\phi$ を施した
\[
(\phi(f_1),\phi(f_2)) = (\phi(e_1),\phi(e_2)) T
= (e_1,e_2)AT = (f_1,f_2) T^{-1}AT
\]
から、$T^{-1}AT$ という形を得るようにすると良いでしょう。
いずれにせよ練習が必要です。
来週は拡大オフィスアワー(要予約)で授業そのものはありません。
来々週は3回めの試験です。範囲は短いですが、説明の問題が出るやも知れず、
概念の整理を自身の言葉でしておかれますよう。
学習相談日ということでしたが、尋ね人来たらず。 木の葉舞う。
今日は、復習の後に、
3回めの試験。
今回は説明の問題を入れてみました。
講評:
$\fbox{1}$ (i) 基底の説明が、一次独立だけで終わっている人が少なからず。
(ii) 無限にあることを明確に書けている人は多くない。
$\fbox{2}$ (i) この説明が怪しげな人が多数。
今日はやみそうでやまない冷たい雨の一日、季節はまた一歩前に。
本日のメニュー:微分作用素の固有値と固有ベクトル
でした。詳しいことは resume にある通りですが、漸化式への応用も含めて復習していただければと思っております。
雪雲去りて、冬晴れにも新コロの大波が押し寄せ、まだ見ぬロウバイの枝先。
本日のメニュー:ここ数回分の集大成としての
不変部分空間の小窓、確率行列とその漸近挙動
でした。細部は多岐に渡るので、テキスト(本文の方)の該当箇所に当たることになるのだが、
要点は、一次変換の表示行列の固有値問題として処理できるということがわかればOk。
期末試験相当は、4回目の試験(1月22日実施)と5回目の試験(1月29日にオンライン)に分けて行います。
4回目の試験は過去2回分が範囲で、5回目の試験はそれ以前すべてが対象となります。
1月22日は教室での試験を予定しておりますが、それもオンライン実施となる可能性があります。
NUCT とここでのお知らせをまめにチェックしておかれますよう。
$\sigma$ の値の範囲を求める問題のように、範囲が限定された関数の最大・最小は、授業で説明したように、 範囲内部での極値候補点での値、変数の数を減らした境界における同様の問題、という具合に可能性のある点を次々調べて値を比較するというもの が汎用性のある方法である。立方体であれば、内部、面、辺という具合に調べていくのだが、これを入試問題風に書けば次のようになる。 (もしかして、入試問題にあったりして。)
問題: $0 \leq a,b,c \leq 1$ のとき、$\sigma = ab + bc + ca - a - b - c + 1$ が最大になる点、および最小になる点 $(a,b,c)$ を求め、3次元空間で
図示せよ。
変数を $a = x + 1/2$, $b = y+1/2$, $c = z + 1/2$ に置き換えれば、
$\sigma = xy + yz + zx + 1/4$ となるので、$xy + yz + zx$ の $-1/2 \leq x,y,x \leq 1/2$ についての最大・最小が問題である。
これば、$x,y$ を止めたとき、$-1/2 \leq z \leq 1/2$ についての最大・最小が
$xy \pm |x+y|/2$ となる。ただし、$x + y \not= 0$ のときは $z = \pm 1/2$ と選び、$x+y = 0$ のときは、$z$ は何でもよい。
ということで、$xy + (x+y)/2$ と $xy - (x+y)/2$ の最大・最小に還元される(立方体の面の場合に相当)。
これについても $-1/2 \leq y \leq 1/2$ についての最大・最小を求めると、
\[
\frac{x}{2} \pm \frac{1}{2} |x + \frac{1}{2}|,
\quad
-\frac{x}{2} \pm \frac{1}{2} |x - \frac{1}{2}|
\]
の $-1/2 \leq x \leq 1/2$ についての最大最小に還元される(立方体の辺に相当)。
ということで、絶対値をはずして、この4つの関数のグラフを描けば、4つの折れ線が得られるので、
最終的に $\sigma$ の最大値は $1$、最小値は $0$ となり、さらに、その値を実現する点を拾いだせば、
最大値をとる点は、立方体の対頂点 $(0,0,0)$, $(1,1,1)$ で、最小値を与える点は、
この対頂点を含まない6つの辺からなる図形であることがわかる。
軽い復習のあとで、予定通り
4回目の試験をしました。
引き続き、来週はオンラインでの最終5回目の試験です。NUCT を使って15:00--16:00 に実施予定です。