授業は、この資料にしたがって進める。
教科書
の該当箇所を事前に印刷・予習しておくこと。
ネット上の参考書として、例えば
http://collie.low-temp.sci.yamaguchi-u.ac.jp/~ashida/work/comp.pdf
http://math.sfsu.edu/beck/papers/complex.pdf
http://fujimac.t.u-tokyo.ac.jp/fujiwara/math2.html
を挙げておく。
今日は、大部分は復習のつもりだったのだが、絶対収束の話、思い出していただけただろうか。
数列もそうだが、級数はそれ以上に重要であるにもかかわらず触れられる機会が不足しがちの傾向あり。
これだけをまとめてするには時間がもったいないし、かと言って、
適当にばらまいてという形も意外と取りにくい、という予測に基づいての復習だったのであるが、
「総和」と(部分和の極限としての)「級数」の意味の違いは、新たな内容であろうか。
具体的な級数が絶対収束かどうかは、微積分の教科書で取り上げられていることでもあり、
詳しいことは省略した。
もし、記憶があやふやなところが少しでもあれば、微積分で使った教科書等で復習に努められたい。
絶対収束の概念は、複素級数においても有効であり、今後、繰り返し取り扱うことになるのだが、
ごく簡単な例示として、級数による Euler の公式の正当性を今日のゴールとした。
次回(5月6日)の試験は、2回分の授業内容の基本的なところの確認である。
遅くなりましたが、問16までの解答です。 TAの松田一徳さんの助力によるものですが、ご質問等は、山上の方までお願いします。
簡単な復習の後で、1回目の試験を行った。
結果は、今週中に掲示の予定であるが、採点していて気がついたところを少々。
$\fbox{1}$ (i) は、説明を求めたにもかかわらず、書き方が不十分なものが多かった。
(ii) は、Im(z) > 0 の条件を無視するもの後を絶たず。(iii) の図示ができないものも散見された。
$\fbox{2}$ (i) の説明も足りないもの多し。
(ii) の処理が満足にできたもの極めて少なし。
一年間で倍角の公式での処理方法を忘れてしまったということだろうか。
定積分の計算とかでの稽古はなかったのであろうか、といろいろ想像してみる。
(iii) はさらに少なく、琴線に触れ得るもの、2ー3名のみ。
$\displaystyle | 1 - e^{\pi i/n} |$
の n が大きいときの振る舞いが問題である。(ii) は、それを調べるためのヒントであった。
\[2\sin\left(\frac{\pi}{2n}\right) \approx \frac{\pi}{n}\]
であるから、
\[\sum_{n=1}^\infty | 1 - e^{\pi i/n} | \approx \sum_{n\geq 1} \frac{\pi}{n} \]
は、$\pi \log n$ のスピードで発散する、という見方をする。
不等式で処理するのは、まあ言ってみれば、数学者の行儀作法であろうか。あまり気にしなくてよい。
べき級数その一である。
級数の収束性についての感覚が不足しているものにとっては、
苦しいかもしれぬ。これは、具体的な数値計算(手計算でも、計算機でも)の経験の有無が問題で、
頭だけの理解では無理が生じる。逆に見ると、そういった類の経験不足を解消するためのよい機会でもあるわけで、
そういった仕込みができるかどうか。
歴史を振り返ると、微積分は、べき級数の取扱いと前後して始まった、あるいはべき級数を対象にしていたというべきか。
まずは、その収束域が問題であるが、一変数の場合は、「丸い」というのが一つ。
境界でのデリケートなことを除けば、
収束半径が基本的である。
そして収束円の内部では絶対収束する。
基本関数のテーラー展開の収束半径の計算は、ぜひ復習のこと。
収束半径の公式の導き方は、感覚的な説明ですませたのであるが、正式な証明はどの本にも書いてあるので、
気になったらそちらを参照、あるいは自分で証明を考えてみるのも一興。
なお、使う立場としては、証明そのものよりも健全な運用感覚がより重要であろう。
最悪は、前提条件を無視した黒箱的な使い方である。
お約束の問17ー24の解答。
なお、お稽古の問題は、これに限るものではない。何でもよいので、例えば
次回は、微分べき級数の収束半径から。
べき級数その2でした。とくに、積とか逆数とかを具体的に計算練習して見てください。
簡単だと思うと、意外と面倒だったりします。
今日は、5月最後といいたいところだが、明後日、もう一回(それも試験)があるのだった。
複素微分について一通り説明。
$f(z)$ と書いた段階で、$z$ の式しか思わなかった人は、ある意味健全なのかもしれないが、
関数というのは、もっと割り切った概念であって、複素数 $z$ から別の複素数が決まれば良い。
したがって、$\overline{z}$ も $z$ の関数となるのであるが、これは複素微分不能。
この辺の事情を数学的に整理したものが今日の定理であった。
複素微分のついでに、正則関数という言い方も説明すべきであったが、どうやら忘れてしまったようだ。
次回(6月10日)の復習にでも入れておこう。べき級数関数が複素微分可能であることの説明もまだだった。
これも次回。
予定通り、簡単な復習のあと、二回目の試験をしました。
採点が済みましたので、掲示を依頼しておきました。今の到達点を確認しておいてください。
最終的に9点以上が合格です。
級数を少し時間を取って見てきたのですが、どうやら経験不足の人が多いように思えてきました。
あと、計算はできても説明が苦手とか。それが、$\fbox{1}$ の出来に表れたようです。
$-1 + i < \rho < 1 + i$ という不等式(?)を導いた人もいました。
複素数が何であるか、闇の中なのでしょう。ぜひ、光明を見出して欲しいものです。
まずお知らせですが、諸事情により4回目の試験は7月29日に変更します。代わりといっては何ですが、
29日に予定していた授業を7月22日に行います。
今日から後半戦ですが、複素関数の積分を取り上げました。
大部分は、実数の場合と同じですが、曲線に沿った積分として線積分を導入しました。
何ということもない話ではあるのですが、往々にして稽古不足が露呈するところでもあります。
「試験に出るよ」と言ってもしないのは度しがたしといったところでしょうか。
複素微分可能な関数の著しい性質に線積分の積分路への依存の仕方があります。
お約束の品、今回は二点、問32ー34の解答と
問36ー39の解答です。
遅れていた梅雨に入りましたが、今日は合間の晴天、気温が高かったのですが、「試運転」に助けられた格好です。
また、暑い季節が巡ってきたということですが、あともう少し、勉強できるうちが華であることは、
勉強できなくなって初めてわかる不条理。
梅雨の晴れ間というのでしょうか、湿度もさほどではなく、これならばと思うのは甘いのでしょうか、名古屋の夏。
前回の積分定理を受けての積分公式です。どっちがどっちか混乱しますが、名前はまあどうでもよろしい。
(誰が、こんな区別を始めたのやら。)
次回は、3回目の試験です。線積分と積分定理の辺りを重点的に練習しておいてください。
まずは、3回目の試験である。
いろいろと雑務(?)が重なってしまい、今(=7月6日)これを書いているわけだが、
典型的な梅雨空というべきか、概ね曇りだが雷雲とき知らず。七夕は、やはり旧暦で祝うべきである。
今年は8月16日だそうな。ちなみに今日は、旧5月25日、明日は小暑。
試験の出来はと言えば、範囲の復習をしたものしなかった者がはっきり分かれたようである。
あるいはサッカー観戦疲れも。
$\fbox{1}$ が、意外の不出来であった。線積分の定義をまず、理解していない。
$|e^{it}|^2 = e^{2it}$ というとんでもない計算をして見せたり。
$\fbox{2}$ は、「復習」の効果か、大体良しとするが、それでも怪しいものが必ず居る、
おもしろいものである。不埒なものには天罰を。
お約束の品、問40ー42の解答。
この授業も残り少なくなったところで、今日は冪級数の補足をして、特異点の分類(というほど大げさなものではないですが、
これを説明しないといけない決まりになっているようなので)というか説明をして、中心話題の
Laurent 展開と留数まで進みました。少し気がそれた感じでしたが、一応たどりつきました。
今日は、再び梅雨の晴れ間、九州方面は豪雨だそうで、ここ数年来、毎年のように梅雨と秋雨の時期に被害がでている
ことを記録に止めて。そういえば、選挙というのもあるのであった、縮小写像の如し。
梅雨の最後のあがきのような天気でしたが、授業の方は、留数計算までたどりつきました。
複素関数というか複素数は極めて深いものなのですが、1・2回の授業ではどうにもならず、
どうぞあがいてください。理想と現実も如何ともしがたいのであるが、
「何だかよくわからないがすごい」を目標に、はたして近づいているものやら、また夏が来るともう秋。
とりあえず、試験範囲の Laurent 展開と留数計算、早めの復習を。
あと残るは、対数関数であるが、これがまた、1回では無理な相談であるが、はかなき夢を伝え得るかどうか。
Que sera sera と。
お約束の品、問43ー45の解答。
先週末で梅雨も明け、今日も酷暑というべきか38度。
今日の試験は、事情により代理の方に監督していただきました。
答案は、急ぎ採点し、1週間以内に最終結果を掲示します。(掲示しました、8月2日)
疑問点等ある場合は、至急メールにて連絡してください。
それでは、結果を残せた人も想いが形にならなかった人も暑い夏を満喫されますよう、
http://next1.cc.it-hiroshima.ac.jp/MULTIMEDIA/complex.html
http://www.th.phys.titech.ac.jp/~muto/
などを使ってもよい。図書館にも沢山の本がある。
最近は、サービスがゆきとどいて、懇切丁寧な説明が見つかることも多いのであるが、
そして、詳しい解答を欲する気持ちもわからないではないが、
解答のない不安な状態(?)でも前へ進む事自体が極めて貴重な修行であると心得る。
答えがあるかないのかもわからない状況でなおかつ道を切り開いていくためには、
必要な経験だろうと思うからである。
5月20日
級数を自在に扱うためには、級数で定義される関数の性質、連続性とか微分可能性とか、
が必要になります。今日のところはお話に止め、複素関数の写像としての見え方を説明することで
よしとしました。
来週は、いよいよ複素微分の話に入ります。
そこまでが次回5月29日(土曜日!)の試験範囲です。
お約束の問25ー31の解答。
5月27日
一般の関数を、$z$ と $\overline{z}$ の式と思えば、$z$ だけの式になっているのが複素微分可能な関数
ということである、結果的には。
5月29日
6月10日
次回は、積分定理から。
6月17日
「コーシーの積分定理」と呼びならわされているもので、
その証明にはいくつかの方法があり、主なものは
(1)グリーンの公式を使うもの、
(2)積分領域の細分割を繰り返すもの、
(3)授業で説明した繰り返し積分と微分の組み換えによるもの、
といったところでしょうか。主流は(1)のグリーンの公式によるものですが、
大学のカリキュラムの制約上、グリーンの公式を未修の段階で複素関数を伝えざるを得ない状況が一般的で、
説明する側としては頭の痛い問題ではあります。
グリーンの公式自体も重要なので、触れること自体は問題ないのですが、複素解析としては、寄り道的な扱いと成らざるを得ず、
直接的な証明方法である(3)をここでは採用してみました。
積分路の変更によって計算可能な例として、ちょっとした広義積分の公式を導いてみた訳ですが、
この手の計算は枚挙に暇がないくらいあります。
ただ、自分で見つけ出すのは大変でしょうから、本とか演習問題とかから探してきて稽古してみてください。
6月24日
基本的なのは前回の場合で、今日の話は、特殊な特異点のまわりでの周回積分の計算をしたのだと見ることもできます。
特殊ではありますが、面白い形をしていて、$\frac{1}{\zeta - z}$ が、何となくデルタ関数に似ている。
実は、似ているどころではなく、デルタ関数の表示と密接に関係していることが、hyperfunction を学べばわかります。
その話は擱いても、「公式」の簡単な書き直しから複素関数のべき級数展開(習慣で一応テーラー展開と呼んでおきます)
が導かれます。これは、とても意外なものなのですが、微積分の初心者は何とも思わず、中級者は畏れおののき、
上級者ともなると宜(むべ)なるかな、と感じるという。さて皆さんはどの段階でしょうか。私は、未だ中級者の域かな。
7月01日
7月08日
具体例は、変なのを一つあげただけですが、次回にもう少し意味がある場合を取り上げます。
大体、そこまでが試験範囲のつもりなので、もうひと辛抱といったところでしょうか。
7月15日
7月22日
最後の対数関数までたどり着きました。たどり着いただけで終わってしまったのですが、
次回は、最後4回目の試験です。成功するもよし、失敗するもよし、いずれにせよ貴重な体験。
対数関数と arctangent、これそのものは試験には出さぬとはいうものの、複素数の数学こそあらゆる数学の源泉と言えるで
しょう。その入り口のまた玄関先、多くは望まぬ、少しの人に少しの思いを伝え得るならば、もって瞑すべし。
7月29日
蛸壺やはかなき夢を夏の月
上の階へ