数学通論授業日誌


4月15日

授業は、進度予定表に沿って行う。 教科書
http://www.math.nagoya-u.ac.jp/~yamagami/teaching/calculus/cal1-2010.pdf
の該当箇所を事前に印刷し、できるだけ予習しておくことを勧める。

高校数学III・Cを前提とする。具体的には、
http://sss.sci.ibaraki.ac.jp/teaching/calculus/arsintegral.pdf
程度のことが身についていればよい。
今日は、かるーく、ウォーミングアップであった。 極限のスピードというとらえ方、とくに無限大の場合の比較結果は、感覚的にも理解しておくとよい。 講義ノートにも類題が挙げられてあるので、使い方を練習する、あとで、などと言わずに今日すぐ。 4月20日のオフィスアワーは、不在のため休止。

4月22日

逆三角関数の微分と積分(主に微分ですが)をしました。 逆関数の微分の計算方法を復習しておいてください。
あと、テキストの問13ですが、$\displaystyle n^a x^n$

と書くべきところが、割り算になっていました。 訂正しておいてください。
今日の授業の中で示した問題に現れた函数は、双曲線関数と呼ばれるもので、 多くの本でも取り上げられています。
次回(5月6日)の試験ですが、概念・考え方の基本的な理解(と計算)をチェックします。 選抜試験ではないので、あまり細かい技術は問わないものと思っておいてください。 量も比較的軽めであるようにします。 火曜日のオフィスアワーは、皆さん都合がわるいようですが、TAの相談日というのもあるので、 ご活用ください。

5月06日

今日は、軽く復習の後で予定通り 1回目の試験をしました。 できは、まあまあ、といったところでしょうか。 arctan の説明は、サービスのつもりでしたが、きちんと説明できた人はそれほど多くなかったように思います。 総じて $\fbox{1}$ よりも $\fbox{2}$ の方の出来が悪かったようです。

5月13日

今日は、積分その一、として定積分の意味と基本事項を確認し、ついでに計算のための技 (置換積分と部分積分)を復習しました。テキストにもある程度の練習問題を挙げてありますが、 次のような教材もあります。図書館にも色々な本があるので、授業での内容に合わせて稽古してみてください。
http://next1.cc.it-hiroshima.ac.jp/MULTIMEDIA/calcmulti/calcmulti.html

5月20日

今日は、有理関数の(不定)積分を主に解説しました。 既に知っている内容かも知れませんが、全てを丁寧にやると、意外と時間をとります。 そういったこともあって、授業での説明は例示的なものになりました。
問の答は、鋭意作成中(?)です。 なお、答えがある安心感を得たい気持ちは分かりますが、 答えが提示されないある意味不安な状況を乗り越えるという経験を積むチャンスであるという見方もあります。
さて、次週は、2回目の試験を行います。 前回点数が良かった人もそうでなかった人も、一通りの稽古はしておいてください。

問22ー30の答えです。TA の加藤健太さんに作成していただきましたが、 これについてのお問い合わせも、山上の方までどうぞ。

5月27日

今日は、試験2をしました。結果については、少しお待ちください。 ひきつづき、29日に授業があります。高校でのことを思えば楽勝?
採点をしての感想を。1-(i) は、出来が悪かった。直前のわざとらしい説明すらも伝わっていなかった (聞く耳持たぬ?)ということで、暗澹たる気持ちです。 1-(ii) では、計算方針というか計算そのものを誤っている方が何人かいました。 さらに、輪をかけて、2-(ii) の式が違っていたため、問題が極端に易しくなっていました。 どうりで、時間が余ったはずです。上のpdfファイルには、当初予定の問題もつけておきました。

5月29日

土曜日の授業ということで、大分静かでした。昔を思い出してしまいました。 そういえば、静かな土曜日の授業を好んだ先生もおられたなあ。

今日は、次回につなげるための「踏み台」として、一次・二次の近似式を取り上げました。 とくに一次の近似式については、高校でも太字で扱われてはいるのですが、 ややもすれば忘れ去られがちなところと思い、敢えて復習してみたのですが、いかがでしたでしょうか。
これで、ファインマンの嫌味なエピソードも理解できるかな。
一次の近似式から二次の近似式を導くところには、積分を使ったのですが、これがいろいろな点から正しい方法でしょう。 このこともあり、積分の復習を前にしたのですが、その辺の機微というか綾というか、は中々わからないかも知れません。

関数の形状を調べる上で、この二次の近似式までやっておくと、ほとんどの用に足りるでしょう。

次回は、この続きとして3次以上の近似式を与える「テーラーの定理」に入ります。

授業が終わったころ(4時くらい)の出来事だったようですが、工学部の実験室でボヤ騒ぎがあり、 消防車7ー8台、救急車・パトカー数台、上空には報道のヘリコプターが2機、何事かと思いましたが、 大山鳴動だったのでしょうか。

6月10日

早いもので、半分まで来ました。事情により、授業の進度予定表を修正しました。 7月29日に予定されていた授業は、取り消しとします。代替のレポートについては、後ほどお知らせします。

今日は、近似式の誤差の評価の仕方とテーラーの公式を説明しました。 テーラーの公式については言うべきことが山ほどあるのですが、 まずは近似式と誤差の評価。誤差項は、剰余項とも呼ばれます。
積分から導かれる不等式の扱いに慣れていただきます。 次回の試験範囲その1となります。

次回は、テーラー展開と無限小の比較をします。

6月17日

今日は、テーラー関連の2回目として、テーラー展開と極限計算への応用を説明しました。 高校レベルでは、技巧の影に覆い隠されていた実態がかなり明らかになります。
基本5種類のテーラー展開の公式のうち、べき関数のそれは、他に比べて証明が面倒です。 とりあえずは、「信じて」使うことでもよしとしましょう。
その代わりと言っては何ですが、 前回やったような近似計算の練習はわすれず行っておいてください。

忘れないように書いておきますが、次回は3回目の試験です。 試験範囲は、過去3回分ですが、特に(1)近似値計算と(2)極限計算の例題を復習しておいてください。 例題5.4, 例題5.5 と例題5.8から5.11辺り。

6月24日

予定通り3回目の試験をしました。
$\fbox{1}$ の (ii) に手こずっていた人が結構いました。 近似式という考え方そのものへの理解が十分でないという印象です。 あるいは、復習が十分でなかっただけでしょうか。
$\fbox{2}$ の計算問題の方がよかったのは予想通りですが、式の符号を間違える者が散見されました。 あと、テーラー展開の低次の項を求める際に、 \[e^{x^3} = 1 + x^3 + \frac{1}{2}x^6\] といった書き方をする人がかなりいました。 \[e^{x^3} = 1 + x^3 + \frac{1}{2}x^6 + \cdots\] とするか、 $\fallingdotseq$ を使って、 \[e^{x^3} \fallingdotseq 1 + x^3 + \frac{1}{2}x^6\] とすべきです。

繰り返しますが、近似あるいは量の大小についての感覚は重要です。医療に携わるものが機械的・形式的に数値を扱うのは、 極めて危険です。どうか自覚的に復習されますよう。

7月01日

広義積分の基本を解説しました。デリケートな場合もあるにはあるのですが、 無限に広がった図形でも面積が有限の場合もあれば発散する場合もあるということです。 広義積分の具体的な計算では、通常の積分と同様の技が必要になります。例として取り上げたものを 良く復習しておいてください。

7月08日

広義積分の具体例をさらに追加して説明しました。広義積分といえども基本は定積分だということを認識してください。 今日は、最後の20分程を使ってべき級数の応用を少し説明しました。 確率分布の期待値とか分散の計算で利用価値大の内容です。

梅雨もいよいよ終盤といったところで、授業の方も、残り1回と4回目の試験だけとなりました。

定期試験期間でできなくなった授業の代わりは、再評価のための何かにする予定です。 希望者は、早めにメールにて連絡してください。 (試験にするかレポートにするか、はてさて。)

7月15日

おっと失敗、書くのを忘れていたよ。暑さのせいかな。いやー、名古屋は暑い。日本一かも知れぬ。 広義積分というか積分の応用というか、体積の計算を通じてガウス積分を求めたのであった。 統計の授業での再会を期待しつつ。

7月22日

今日は、最後の試験をしました。広義積分とその応用といった感じのものでしたが、結果については、 もう少しお待ちください。また、追加のレポート課題を望む方はメールで連絡してください。 必ず返信するので、それを受け取れる状態にしておいてください。 返信が届かないこともあるので、その際は、研究室を尋ねるなどしてみてください。 なお、次週火曜日のオフィスアワーはつごうにより休止します。その際は、水曜日の昼休みにでもどうぞ。 (多分いると思う。) では、暑き日を熱き想いで Good Luck!


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