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標数 0 の体上定義された(なめらかな) K3 曲面 X は,代数閉体上のネロン=セヴェリ格子 NS(X) の階数が 20 となるとき特異 K3 曲面であるといわれる.また,正標数の体上定義されたK3 曲面 X は,NS(X) の階数が 22 となるとき超特異であるといわれる. 複素数体上の特異 K3 曲面について,Shioda-Inose は次を示した: (1) 複素特異 K3 曲面の同型類は超越格子(正定値で階数2の偶格子)の SL_2 -同値類により決定される. 逆に,与えられた正定値,階数2の偶格子の SL_2 -同値類を超越格子としてもつ複素特異 K3 曲面が存在する. (2) 複素特異 K3 曲面は,虚数乗法を持つ2つの楕円曲線の直積のクンマー曲面から2重被覆を用いて 得られる.従って,複素特異 K3 曲面は数体上定義される. さて,数体 F 上定義された特異 K3 曲面 X を考え る.基礎体 F を複素数体に埋め込むことにより複素特異 K3 曲面が得られるが,その超越格子は埋め込みに依存する.これらの超越格子について考察する. また,基礎体 F の有限素点 P に対し,X をP で還元して K3 曲面 X_P が得られるとする. X_P が超特異となる場合,NS(X_P) の中での NS(X) の直交補格子 L(X,P) を考えることができる.この格子 L(X, P) は負定値で階数2の偶格子となる.P を動かしたときのこれらの格子L(X, P) を調べる.
三角圏上の安定性条件の概念はT.Bridgeland氏によって導入され、ある良い性質を持つ安定性条件全体は複素多様体になることが知られています。この多様体は超弦理論における「弦理論的ケーラーモジュライ空間」を数学的に記述すると期待されています。 今回の講演ではまず安定性条件について解説し、更に3次元特異点から出発して得られる三角圏の安定性条件の空間を記述することを目的とします。
Mumfordは3次元射影空間内の非特異曲線のHilbertスキームが 生成的に被約でない(generically non-reducedな)既約成分を持つことを示した. 向井茂氏との共同研究ではこの非被約成分を一般化・簡易化することにより 多くの単線織な3次元射影多様体 V に対し, その上の非特異曲線の Hilbertスキームが非被約成分を持つことを示した. これらの非被約成分の構成メンバーである曲線 C⊂V の各々は あるnon-minimalな曲面 S⊂V に含まれており, S上の第一種例外曲線の 及ぼす影響から, Cの一位無限小変形の一部が障害(obstruction)を受ける ことが明らかになった. 今回の講演では3次元多様体がdel Pezzoの場合にこの被障害変形 (obstructed deformation)と第一種例外曲線の関係について説明したい. そして応用としてKleppe-Ellia予想のdel Pezzo 3-fold版を証明する. <安田氏のアブストラクト> モティヴィック積分はp進積分の類似として Kontsevichにより導入された理論で、特に双有理幾何学に応用がある。 今回の発表では、Mustataにより始められたモティヴィック積分の 特異点への応用について話す。代数多様体や射に付随するJacobi イデアルや その変種のイデアルに関するジェットの位数を見ることが鍵になる。
Galois理論を線型微分方程式、線型差分方程式 に適用した理論がPicard-Vessiot理論である。 Galois理論と同様に体(環)の拡大を考え、 その自己同型群を考えるという流れは変わらない。 まずGalois理論の拡張としてのPicard-Vessiot理論を説明する。 一方、淡中圏を利用することでもPicard-Vessiot理論を 構築することが出来る。その内容にも触れるつもりである。 <木村氏のアブストラクト> イデアル $I$ に対し、$I$ と同じ radical をもつイデアルの極小生成系の元の個数の最小値を $I$ の arithmetical rank という。これは、代数的集合が集合論的に何個の超曲面の共通部分で表せるか、という問題とも関係している。 arithmetical rank はイデアルの極小生成系の個数で上からおさえられ、多項式環の squarefree なモノミアルイデアルに対しては射影次元で下から評価できる(Lyubeznik)。 イデアルを上のように制限した場合、ほとんどの場合において arithmetical rank は射影次元に一致するのではないかと予想されており、今回は arithmetic degree と regularity が等しい squarefree monomial ideal を中心にこれを考える。 この場合、arithmetical rank と射影次元は一致することが寺井氏により示されていたが、より本質的な証明を見つけたので、それを紹介する。
代数的サイクルがなぜ考えられたか、その素朴な交叉 理論から初めて、 交叉理論の発展をたどり、法錐が交叉理論の中で占める重要な位置につ いてを述べる。 そして、交叉理論の特異点への応用に触れたい <梅村氏のアブストラクト> 微分方程式にのガロア理論を構成することは19世紀以来の 懸案であった。理論の本質的な困難は無限次元性にある。有限次元の場合に ついては、 Picard-Vessiot理論、Kolchin理論が知られている。無限次元の 場合、 一般微分ガロア理論の試みは19世紀の終わりから試みられたが、 問題の困難なこともあってしばらく忘れらていた。近年新しい動きがあるの で紹介する。 微分方程式を差分方程式に置き換えても同じである。一般に 多様体の上に力学系があれば、それのガロア擬群を定義することができる。 現在進行中の理論であるが、著しく簡単になるものと期待している。若い有 能な人材の参入を待っている。 今回は基本的なアイディアを誰にでも分かるように、分かりやすく説明する 。
大学院修士課程の学生を主な対象にお話します。 古典的なトピックスを並べてみたいと思います。 <向井氏のアブストラクト>2次元加法群の線形作用については不変式環の有限生成性が未解決である.ある二つの例に対しては有限生成だけでなく Verlinde型の次元公式が成立することと,それらに付随するFano 多様体について議論したい.
オイラーやクンマーの仕事の紹介から始めて岩澤理論の歴史を簡単にふり かえ ったあと、岩澤理論の最近の進展について述べます。進展について述べることの 内容 は何であるかといいますと、1.楕円曲線の岩澤理論についての岩澤主予想が最 近解 かれたという話、2.そのような研究における基本的な二つの方法( Euler system の方法と、保型形式を使う方法)の紹介、3.非可換岩澤理論の試み、です。
標数0の体上の代数幾何において,特異点のいろいろな性質は特異点の解消を用いて定義されることが多い.一方,標数p>0の可換環論において,イデアルの tight closure や Frobenius 写像の分解を用いていろいろな環の性質が定義されている. 驚いたことに,全く無関係と見える定義をされた両者の間に「標数p>0への還元」を用いて対応が付けられる. 本講演ではそのような性質の1つとして, lc ( = log canonical ) threshold とそれに対応する標数 p>0の F-pure threshold およびその一般化として得られる F-threshold を中心として,特異点の性質と環の性質の対応や,重複度との関係,Bernstein-Sato 多項式 (b-関数) の根の標数p>0の手法を用いた求め方などについて話したい. <11.8セミナーのプログラム>とき:11月8日(水)、 ところ:多元数理 午前 理1ー207、午後 理1ー452 プログラム: 9:30〜10:30 橋本光靖 G-local G-schemes (partially joint with Masahiro Ohtani) 10:45〜11:45木村杏子 Monomial ideal の arithmetical rank 13:30〜14:30渡辺敬一(談話会) 15:10〜16:10高木俊輔 On rings with finite F-representation type (joint work with Ryo Takahashi) 16:25〜17:25渡辺敬一 Some questions on F-thresholds
Mordell-Weil 格子(MWL)の理論、とくにハイト公式を用いて、楕円K3曲面の MWL の構造を決定し、その生成元を与えること、および、考えるK3自体の構造を特徴付けること、を問題にする。有理楕円曲面に対しては、これらのことはほぼ完璧に分かっているが、K3については、われわれの知見はまだ極めて限られたものである。しかし、クンマー曲面に関連して、最近かなり面白いことがわかりつつあるので、それらを含めてお話したい。
モジュラス理論とはある数学的構造を持つ対象物をパラメータ付けするものであ
る。不思議なことにこのパラメータ全体がまた興味ある数学的対象となることが
よくある。
ここではモジュラス理論の基本である,楕円曲線の場合について説明した後,そ
の二つの方向の一般化によって得られる,代数曲線(リーマン面)のモジュラス
理論と偏極アーベル多様体のモジュラス理論,および両者の関係(周期理論)に
ついて解説する。
最後に時間が許せば,これらのパラメータ空間であるモジュラス多様体のコンパ
クト化がなぜ重要であるかを小平の楕円曲面の理論を例に説明する。
<小西氏のアブストラクト>1990年にBeauville によって次のような代数的完全可積分系が構成された。 r,dを2以上の整数、P(x,y)を2変数 x,y の多項式とする。そして 各成分がxのd次以下の多項式であるr次の正方行列のなす集合をM、 M_Pを固有多項式がPとなる行列からなるMの部分集合とする。 {P(x,y)=0}をコンパクト化して得られる代数曲線 C_P が非特異なとき、Pic^{g-1}(C_P)におけるテータ因子の 補集合とM_P/PGL_r(C)が同型であることをBeauvilleは示し、 Pic^{g-1}(C_P)上の並進不変なベクトル場を具体的に M_P上のベクトル場として書き表した。 このベクトル場は実はM/PGL_r(C)全体の上で定義することができる。 さらに、固有多項式から決まる関数とこのベクトル場とが ハミルトン関数とハミルトンベクトル場の関係になるような ポアソン構造をM/PGL_r(C)上に構成した。 このようにしてM/PGL_r(C)を相空間に持つ代数的完全可積分系が 構成される。 このBeauville系はMumfordによって構成された系の拡張であり、 Mumford系はr=2の場合にあたる。 一方 1992年にVanhaecke によってMumford 系の変種というべき even Mumford 系が導入された。この場合には 多項式行列の次数の条件を少し変えることで 等位集合の形が変わり、 Pic^{g-1}(C_P)の代わりにPic^g(C_P) 、 テータ因子の代わりにテータ因子を平行移動したもの2個の合併集合を 考えることになる。 井上氏、山崎氏との共同研究で even Mumford 系を一般化を構成したので それについて紹介する。
This is a report on joint work with Dale Cutkosky. In their paper “Cohomological patterns of coherent sheaves over projective
schemes", Brodmann and Hellus raised the following tameness
problem: let R=&oplusn?0Rn
be a positively graded Noetherian ring such that R0 is
semilocal, and let M be a finitely generated graded R-module.
Denote by J the graded ideal
&oplusn>0Rn. Is true that all
the local cohomology modules
HJi(M) are tame? The authors
call a graded R-module T tame, if there exists an integer
n0 such that Tn=0 for all
n?n0, or else Tn≠0 for all
n?n0. The tameness problem has been answered in the
affirmative in many cases, in particular, if dimR0?2. In this lecture we present an
example that shows that the tameness problem does not always have a positive
answer. In our example, R0 is a 3-dimensional normal local
ring with isolated singularity. As one of the tools in the proof we use a
duality theorem for bigraded modules which is a joint result with Ahad Rahimi.
Let $G$ be a semisimple Lie group which is acting on X. Then we consider
$X//G$ and $X//T$ where $T$ is a maximal torus of $G$. We will explain
a comparison theory of orbfold cohomology of $X//G$ and $X//T$ when both
spaces are orbifolds.
<Lee氏のアブストラクト>This is joint work with D. Hyeon. In the first part of the talk, I will talk about the GIT (geometric invariant theory) compactifications of bicanonical curves of genus 3. The Hilbert semistabe curves and the Chow semistable curves will be classified. In the second part of the talk, I will explain these GIT compactifications via the log minimal model program for the moduli space of stable curves of genus 3. Five different compactfications of the moduli space of quartic plane curves will be given by the log minimal model program. I will compare them with other known compactfications.
I am planning to give a series of seminars regarding some applications and the use of homotopy theory in algebraic geometry. The series will be divided in two parts: 1. in the first part (4-6 hours long) I will talk about one of the results that can be proven by means of these techniques: the so called "degree formulae". It is a series of formulae that relates certain characteristic numbers with rational coefficients and some cycles of two smooth, projective varieties over a base field assuming the existence of a morphism between them. The information contained in such formulae is somewhat unusual in mathematics. The prototype of the application of the degree fomulae is the construction of "norm varieties" following the approach of M. Rost. These varieties are strictly related to Milnor algebraic K-theory of fields. However, during these seminars I will mostly deal with other fields that are likely to have applications of these formulae. We will show how particular cases of these formulae can be seen as higher dimensional generalizations of the classical Riemann-Hurwitz Theorem or can be used to investigate questions about the birational invariance of given characteristic numbers. This last application has close ties with some work previously done by B. Totaro and C.-L. Wang. In exposing the first part of the series of seminars the speaker would like to get information about other fields in mathematics which could have interesting applications of some kind of "degree formulae". 2. the second part is aimed to graduate students and will go more in detail to the theoretical constructions involved. The length of this part has not been decided yet. I have previously written an article covering many of the topics I plan to cover. In particular, I think to present enough background material to be able to discuss the construction of exotic (co)homology theories such as algebraic Morava K-theories obtained as certain n-fold extensions of (higher) Chow groups. In the second part of the lectures series, the question which the speaker would like to investigate is if replacing in the constructions the Chow groups with some other cohomology theory would result in anything interesting.
I will discuss the recent work on characterizing projective space for possiblely singular varieties. Recall the famous result by Cho-Miyaoka-Shepherd-Barron: Let X be a smooth projective variety of dimension n. Suppose that $C \cdot -K_X >=n+1$ for every curve $C \subset X$. Then X is the n-dimensional projective space. I will discuss my recent proof on weakening the assumption on smoothness to quotient singularities. The basic ingredients are the Deligne-Mumford stack and deformation theory for twisted stable maps. The main difficulity is to show there are enough low degree rational curves on the variety X without knowing it is smooth. If time permits, I will also discuss possilbe applications of the methods developed by H.-H. Tseng and myself.
簡約群の作用による不変式環がいつ Cohen-Macaulay になるかについて、知られている結果を概観する。Hochster-Roberts によって、体K上の線形簡約群Gが正則なK代数Aに作用する時不変式環A^GはCohen-Macaulay になることが示されて以来、この結果を改良・拡張する動きがあった。本入門的 講演では簡約群・線型簡約群の定義などの初歩から始めて、この一連の動きの 中で主だったものを紹介する。有理特異点の純部分環への遺伝を示した Boutot の定理、純部分環に遺伝する正標数の強F正則性、線型簡約ではない簡約群では不 変式環 k[V]^G が C-M ではない有限次元表現 V が存在するという Kemper の定理、表現の良いフィルター付けと不変式環の強F正 則性を関係づける定理などについて紹介を行う。
In this talk we consider the three parameter family of elliptic curves $E_t: y^2-4(x-t_1)^3+t_2(x-t_1)+t_3=0,\ t\in\C^3$ and study the modular holomorphic foliation $\F_{\omega}$ in $\C^3$ whose leaves are constant locus of the integration of a 1-form $\omega$ over topological cycles of $E_t$. Using the Gauss-Manin connection of the family $E_t$, we show that $ \F_{\omega}$ is an algebraic foliation. In the case $\omega=\frac{xdx}{y}$, we prove that a transcendent leaf of $\F_{\omega}$ contains at most one point with algebraic coordinates and the leaves of $\F_{\omega}$ corresponding to the zeros of integrals, never cross such a point. Using the generalized period map associated to the family $E_t$, we find a uniformization of $\F_{\omega}$ in $T$, where $T\subset \C^3$ is the locus of parameters $t$ for which $E_t$ is smooth. We find also a real first integral of $\F_\omega$ restricted to $T$ and show that $\F_{\omega}$ is given by the Ramanujan relations between the Eisenstein series. The source of the talk will be an article of mine with the same name available in: www.impa.br/~hossein/
環上の加群圏がいつ同値になるのかを記述するものが森田理論だが、 加群圏をその導来圏で置き換えると、Brenner-Butlerによる傾斜加群と、
Rickardによる傾斜複体の概念が現れる。これらの歴史的経緯を 振り返りつつ、三角圏、安定圏、導来圏への簡単な導入を試みたい。 時間が許せばKellerによる、代数的三角圏のDG
categoryによる記述を述べたい。
正規特異点(X,x)が有理特異点を持つとき, 対応する局所環は【有理特異点】を 持つと言う. 一方, 正標数の体を含む可換ネーター局所環に対して、 Frobenius 射を用いて【F有理特異点】の概念が定義される. この概念を用いる と、 有理特異点=十分大きな素数標数pに関する還元がF特異点 と解釈することができる(Smith, 原, Mehta-Srinivas). 前半はこの事実について説明したい。具体的には、密着閉包を用いた F有異性の定義、上の結果のもう少し詳細な主張、小さい標数における違い などを具体例を交えて紹介する。 後半では、上記の発展として、 他のF特異点と(標数0の)特異点との対応 multipier ideal, log-canonical threshold などの正標数版 など関連する研究についても(時間の許す範囲で)言及したい。 <廣門氏のアブストラクト> カラビ・ヤウ多様体の具体的構成法の一つであるSchoenの構成法に倣い, 準楕円有理曲面二つを有理曲線上ファイバープロダクトを取り, 正標数三次元カラビ・ヤウ多様体を構成します. 主な問題点としては特異点のクレパントレゾリューションを具体的に見付ける部分,トポロジカル不変量の計算の部分が挙げられます. 結果として, ユニラッショナルカラビヤウで一般ファイバーに特異点を持つファイブレーションが入る例, 第三ベッチ数0で標数零に持ち上がらない例を標数 2,3 で構成します.(伊藤浩行・斎藤夏雄氏との共同研究)
非特異な Fano 3-fold に対してうまい曲線を見つけてきて、その曲線上のデータを用いて Fano 3-fold を回復するという向井先生の結果を、特異点を持つ Fano 3-fold に拡張する試みについて話す。考えるのは種数 6 の Fano 3-fold で 1/2(1,1,1)-特異点を一つ持つものである。 これは, 有理的なものと cubic 3-fold に双有理的なもの二種あるが、今回は有理的なもののみ考える。有理的なものは二次超曲面をその上の非特異な種数 6 の曲線 C で blow-up したものと双有理的である。この C 上の階数 3 の半安定ベクトル束で適当な条件をつけたもののモジュライを考えることで X を回復することを目指している。向井先生の結果についても触れたい。
古典的な楕円曲線と射影直線上の4点および上半平面の離散群 による商との関係を 復習し、この高次元版への試みについて話したい。その一例として 射影直線上の5点を取り上げ、最近の私が考えていることを紹介する。 標数2のsupersingular K3曲面は,21個の通常2重点を持つ6次曲線で分岐する $\Bbb{P}^2$の純非分離2重被覆と双有理同値であることが知られている. 更に,安定6次曲線で分岐する純非分離2重被覆で構成されるsupersingular K3曲 面の 特異点は有理2重点で,その型は$A_1, D_{2n}, E_7, E_8$に限る,と予想されて いた. 予想は安定性を調べるHilbert triangleと有理2重点の分類法を用いて肯定的に 解決された.今回の講演ではこの証明を中心に述べたい.
Klein は有名な「正20面体と5次方程式」(シュプリンガー数学クラシック
スに和訳あり)の中で、正多面体群を様々な観点から論じている。
ここでは、次の性質に着目して話をしたい:
・「有限群の射影空間への作用」と「モジュラー曲線」が一致するケースがある
射影空間上の因子や直線束の簡単な性質は使うが、本格的には使わない。楕円
曲線の知識を持っていればなお良いが、知っている必要はない。高次元化のた
めの例も挙げたいと思う。
2次元のマッカイ対応は1979年にJohn McKayのobservation として表現論で紹介されたものであるが、その後代数幾何学で、特異点の解消と関連させた結果が得られた。その後、1985年ごろの超弦理論からの影響もあり、3次元版のマッカイ対応が研究されるようになり、現在では様々な一般化が展開されている。このような歴史的背景やトーリック幾何学を用いた具体例にも触れつつ、3月MSRIで開催された研究集会Generalized
McKay Correspondence での話題など、最近の話題も紹介したい。 三次曲面の局所 Gromov--Witten 不変量について、トーリック退化と Topological Vertex を用いた計算について話す予定です。
$V$を$n+1$次元複素ベクトル空間とする。 このとき、$V$の$r$次元部分ベクトル空間を 径数付ける空間をグラスマン多様体$Grass (r, V)$という。 $r$が$1$の時は$n$次元射影空間$\mathbb P^n$に他ならない。 $\mathbb P^n$の$r$個の直積から$Grass (r, V)$への自然な有理写像の構造を詳 しく調べてみた。 $Grass (r, V)$の導来圏と$(\mathbb P^n)^r$の導来圏を比較するのが目標だった のであるが、 ナイーブな予想は成り立たないことが分かり、研究は頓挫してしまった。 時間をかけていろいろ調べてみたけど何も証明出来なかったという失敗談である 。 <植田氏のアブストラクト> 射影多様体の量子コホモロジーは 通常のコホモロジー環の q 変形 (但し q は1変数ではなく、 多様体の2次の複素係数コホモロジー群を動く) である. これはGromov-Witten不変量から定まる シンプレクティック幾何的な不変量であり、 複素構造には依らない. この量子コホモロジーから原点に不確定特異点を持つ 超幾何型の関数が定まるが、 量子コホモロジーが環として半単純であるときに その原点におけるモノドロミーデータとして Stokes行列が定まる. 一方、射影多様体の連接層の導来圏は複素幾何的な対象であり、 シンプレクティック構造には依らない. 連接層の導来圏が「よい」生成元 (full exceptional collection) を持つとき、 この生成元の間のExtのEuler数と 上のStokes行列の間に興味深い関係があることが Kontsevich, Zaslow, Dubrovin 等によって予想され、 射影空間の場合に Dubrovin や Guzzetti によって証明された. 今回はこの予想の Grassmann 多様体の場合の証明を紹介したい.
2月の代数幾何学勉強会への大勢のご参加、ありがとうございました。
あけましておめでとうございます。 |
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