全体像を把握すること
何かを勉強すると決めたら,全ての関連論文を列挙し,それらを保存し,読み,整理して,記憶する.
- 全ての関連論文をどうやって見つけるか?
- MathSciNetとarXivとGoogleが三種の神器.
- Google Booksも使える.
- 読む前に枚挙する.
- 大量の論文をどのように系統的に保存するか?
- MacのPDFファイル管理なら,Papersがオススメ.
- 全文検索にはFoxTrotもよい.
- どのように高速に読むか?
- 著者の書き方の癖を覚える.
- Donaldsonの論文は,定理の仮定が本文中に忍び込んでいることが多いので,最初から最後まで読むしかない.
- Taubesの論文は部分的に読める.ただ,記号のフォントと符号が特殊である.
- Gromovの論文を高速に読むことは人類にはできない.
- まずは最初から最後まで目を通して,構造をつかむ.
- 論文全体もそうだし,個々の証明も同じ.
- 定跡手順とそうでないところの違いを見極める.
- そのためにはたくさんの定跡を知らねばならない.
- 著者の書き方の癖を覚える.
- どのように整理するか?
- 落合フォーマットのような固定フォーマットを作る.
- 読んだ論文は必ずまとめる.
- どのように記憶するか?
- 少なくとも私の場合は,他人に話すのが一番よい.そのとき,出し惜しみせずに全て話すこと.
論文まとめフォーマット
- 書誌情報
- 論文題目は何か?
- 著者は誰か?
- 著者の指導教官は誰か?
- どの雑誌に出ているか?
- どうしてその論文を読みたいと思ったのか?
- 例:Gromovの論文だから.
- 例:本当に読みたい論文の参考文献だから.
- 背景
- 歴史の中の位置は何か?
- 重要な先行研究は何か?
- 歴史の流れの中で,この論文が書かれた動機は何か?
- 分野の中の位置は何か?
- 重要な関連研究は何か?
- メタな原理は何か?
- 例:Atiyah-Bottにおける無限次元の運動量写像
- 例:反自己双対接続とCauchy-Riemann方程式の類似
- 例:Gromov-LawsonにおけるLusztigのNovikov予想の仕事
- 歴史の中の位置は何か?
- 内容
- 何がスゴいのか?
- 主定理がスゴいのか?
- 有名未解決問題を解いたか?
- 既存の結果の仮定を弱めたか?
- 既存の結果の結論を強めたか?
- 証明方法がスゴいのか?
- 新しい証明手法を開発したか?
- 証明が簡単になったか?
- 証明が整理されたか?
- 新しい分野を切り開いたのか?
- 新しい概念を導入したか?
- 新しい道具を開発したか?
- 異なる分野を結びつけたか?
- 主定理がスゴいのか?
- 技術のキモは何か?
- この論文の最も重要な箇所はどこか?
- 先行研究や関連研究と最も違うところは何か?
- 何がスゴいのか?
- 展開
- 改良の余地はあるか?
- その後の発展はあるか?
- 次に読むべき論文は何か?