ゴミ事情 (10/24/2000) |
名古屋在住市民としては、分別収集のシステムがどのように
なっているかが大変気になっていた。で、部屋を借りた後、入居者
のしおりの中の「ゴミの処理」の項目を読んだ。が期待に反して
その記述は極めて簡素な物であった。
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要約すると
- ゴミは各階に備え付けられているゴミダストシュートを利用すること。
- ゴミシュートにゴミを捨てる時は紙袋かナイロン袋で括ってすてること。
- 生ゴミはできるだけGarbage Disposalを使って処理すること。
- ゴミダストシュートには箱などの大きなものはいれないこと。
- 粗大ゴミはアパートの入口にあるゴミ箱にいれること。
それだけである。他に何もない。まずは、各階に備え付けられている
ダストシュートを見に行く。丁度高校にあったようなものがついていて
そこにゴミ袋を投げ入れると、重力に任せて落ちていく。それだけである。
下にたまったゴミは定期的に収集されるらしい。 |
しかし、缶や瓶も一緒に捨てて問題はないのだろうか?ゴミを
集めるおじさんたちが指でも怪我しないのだろうか?管理人に
とりあえず聞いて見る事にした。「瓶も缶も一緒に捨てていいのか?」
返事はもちろん「イエス」。だいたいなんでそんな質問すんねんと
逆に尋ねられる始末。どうやらアメリカの一般家庭には分別収集と
いうような概念は全くないらしい。大学などに行くと、リサイクル
ゴミ箱があったりするが、このようなことを可能にしているのは
大学関係者と言うある程度インテリな人が集まるからであるもの
と思う。 他日ゴミの回収の模様を見る機会を得た。我々の心配など
は全くの無駄で、要するに車に直結する大きな鉄製のゴミ箱
(日本では建築現場などで産業廃棄物などを処理するときによく使われる。)
が車に牽引されて連れて行かれた。これならゴミを移し変える必要も
ないからおじさんが割れた瓶で怪我をする事もない。
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これは私の住むアパートのことである。では、周囲の家では
ゴミをどのように処理しているのだろうか?見ると、各家庭の
家の前に黒や青のポスト大のプラスチック容器がある。ここに
ゴミを出しておくようである。粗大ゴミをあつめるかごもところどころ
に置いてある。これを定期的に集めて処理をするらしい。
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そのような状況が分かる前に、二人でゴミ袋を買いに行った。
しかし、日本で良く見掛ける40リットルのゴミ袋はほとんど
売っていない。わずかに一種類あるだけである。20リットルは
たくさんある。結局日本と同じ感覚でこの40のを買ったのだが、
これは無駄な買物になったことが後で分かった。というのも、
私の建物の場合はゴミシュートがあるため、いつでもゴミをすてて
よい。だから、適当な時に小さなサイズの袋にいれて、すてれば
よく、その結果、大きなゴミ袋にゴミをためておく必要もないのである。
しかも、LAのスーパーではナイロン袋をたくさんくれる。日本の
ように厚手ではなく薄手なので二重にしてくれる。さらに、耐久性が
悪いのか、日本のようにつめつめにせず、ちょっといれてはまた
次の新しい袋を用意してくれる。そうしているうちに、家には
自然にナイロン袋がたまっているのでゴミ袋など買う必要がない。
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それにしても、これらのゴミはどこへ処理されて行くのだろう。
アメリカは国土が広いのでどこかに埋め立ててもだれも困らないし、
LAを一歩出れば砂漠地帯が広がるから、そのど真中にごみ焼却施設
を作ってみんなもやせば、ダイオキシンなども問題にならないので
あろうか。Garbage Disposalの処理に仕方を見ていても思う事だが
アメリカの家庭ではゴミが環境を悪化させるという感覚は乏しそうで
ある。ファーストフードの店に行けば、なんでもかんでも一つの
ゴミ箱にゴミを捨てる。これは単にファーストフードだからではなくて、
アメリカ人の共有するゴミ捨ての感覚を体現化したものであることがわかる。
聞きしにまさる消費国家である。日本の鯨とか森林資源の消費をとやかく
言う前に自分の国のゴミ問題も少しは考えたほうがいいと思うのだが。
それは大きなお世話ということだろう。アメリカはゴミ問題に取り組む
最後の先進国になるかも知れない。 |
カリフォルニア住民投票(10/27/2000) |
「Yes on Proposition 39!」というコマーシャルが今日も流れている。
何かの法律(Proposition 39)に住民の投票(審査?)の宣伝だ。何の気なしに
テレビを着けていると、これに類する宣伝がやたら多いことに気がつく。
これは39だけではない、Prop.38とか、その他いくつかの事柄に着いて
Yesに投票しましょうだのNoに投票しましょうなどとやっている。
Yahooで調べて見ると ホームページ
が見つかった。これによるとカリフォルニア州の様々な様々な法案
についての住民投票であるらしい、投票日は2000年11月7日である。
今回投票の対象になるのはProposition32から39までの7法案である。
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内容は
- Prop 32, お年寄りだけの農家や家庭への援助金として$500,000,000の公債を発行するかどうか。
- Prop 33, カリフォルニアの立法関係者が公務員の雇用システムに参加できるように憲法を改正するかどうか。
- Prop 34, 選挙運動の費用の制限と公開を定める法案
- Prop 35, 公共工事の発注を完全に自由化しようという法案
- Prop 36, 麻薬等の使用・所持での処分軽減の法案
- Prop 37, 公的な費用・税金の徴収を課す法案の可決に議会の3分の2の賛成が必要にする法案
- Prop 38, 私立学校や宗教学校への生徒一人当たり$4,000のクーポン券の支給
- Prop 39, 学校の施設やクラスに必要な資金を、その学校区の住民投票の55%の賛成で認める法案
などである。ホームページを見てもらえば分かることだが、これらの法案について
それぞれ、この法案が可決された場合の住民への負担や変化などが示されており、
(例えばいくらの負担がかかるとか..) さらにこの法案の好意的な意見と反対意見
の両方が書かれており、投票者はそれぞれの法案について、考えることができる
ようになっている。 |
特にテレビで活発にコマーシャルされているのがProp35 Prop38 Prop39についてで
ある。Prop35は交通に関する公共工事の発注を一般企業から募集することを認める
か否かという法案である。アメリカと言えば自由競争の社会だが、公共交通工事
(鉄道や道路の敷設など)はCalTransというところが一手に引き受けているらしい。
これが日々悪化するカリフォルニアの交通事情の改善を遅れさせているというのが
提案理由である。確かにLAにいると、慢性化した交通渋滞やなかなか延びない
地下鉄、いつ直るかわからない悪化した道路のコンディションなど日常の公共交通
整備の遅れがめだつ。法案の文面の中には10年程前のLA大地震の時の道路補修
がまだ済んでいない例などが挙げられている。LAぐらいの都市で地下鉄が貧弱なの
も問題だし、なによりも車の廃棄ガスによるスモッグはいつも悩みの種である。
宣伝はそのような状況の原因をCaltransの硬直化した体制にあるとし、早く
一般企業の競争原理による品質のよい効率的な交通行政を実現しましょうと
主張しているのである。このようなコマーシャルがながれている。
逆にこの法案に対する反対意見としては、Caltransだけの独占ではない
(いくつかの例がある)とか、選定プロセスのために却って行政の執行が
遅れるなどがある。反対を訴えるコマーシャルはこの法案の可決によって増税に
なるということ一点に焦点を絞っている。交通行政について、いぜんとしてこのような
状態であると言うことを知り、むしろ私は驚いた。日本も公共工事の競争入札
精度を実質的に導入しているとは言いがたいところがあるが、一社独占という
ことはなかろうかと思う。私はこの提案には賛成である。 |
Prop 38, Prop39は共に教育に関する法案である。しかも公債の発行と
関係がある。今、アメリカはたいへん景気が良く官も民もお金を持っている。
そのお金をどのように使うかと言う問題は、現在進行中の大統領戦も含め
最大の争点となっている。で、これらの法案はこの州での教育レベルの改善を
目指して提案された物である。カリフォルニア州はUCやUSC、Stanfordなどの
優れた大学を持ち多くのハイテク産業を発展させている本拠地であるにも
かかわらず、初等中等教育の程度は全米でも下の方にランクされているらしい。
この状況を改善するために生徒一人当たり4000ドルの教育用クーポンを私立
学校や宗教学校(教会などが経営する学校)に通う学生を持つ家庭に支給しよう
というものである。レベルは高いがお金がかかる私立学校などに通いやすく
しようという処置だと思われる。賛成のコマーシャルはこの法案こそCalifornia
の希望だと、崩壊した公立教育に不安のある一般市民に私立への転入の可能性
そして、その後に約束される子どもの輝かしい未来などを映像にして訴えている。
一方で、この法案には反対のコマーシャルも流されている。このような処置の
ための財源が新たな増税を生み、さらに警察や消防そして何よりも公立学校の
資金などの減少を招き、結果的に公立教育のさらなる崩壊を招くという危惧が
述べられている。この助成クーポンというのは日本で言うところの私立助成金
というやつになると思う。私自身も私立学校の出なので、おそらくその
助成金のお世話になっていたことと思う。そういう点でみれば、私立に
行くには少しお金がないような家庭にはたいへんありがたいことかと思うが
公立学校の崩壊が著しい現在のカリフォルニアの状況(先生のレベルの教育
能力の低下、設備の老朽化、クラスの過密化)などを考えれば、小数の利益を
得るのに多数の負担を強いるこの法案には賛成し兼ねる。州の学生のレベル
をあげる方策はもっと他にもあるはずである。 |
Prop 39は逆に公立学校の
施設などの改善のために公債の発行をそのエリアの住民たちに決定させる
というものである。もちろんこの公債の発行に基づく利息などはその地域の
人々の負担となる。賛成意見としては地域の学校のことをその地域が責任
を持って改善できるという点が強調されている。反対意見としては、負担が
増えるといることはもちろんのこと、このように投票プロセルを経なければ
ならなくなるということで、学校が自由裁量で施設の改良改善できなくなる
という点などがあげあれている。背景としては公立学校が自分たちの目の前
で日に日に廃れて行くのを目のあたりにして、これはもう学校だけに任せては
いられないということを感じているということがあろう。確かにそれは
法案としてはよいと思うが、これが導入されると高所得者が地域の公立学校
はますますよくなり、低所得者のエリアではいつまでもあれたままとなり、
公立学校の地域格差、ひいては住民格差へとつながり、結局は治安などの
問題と関係して、全体的なレベルの確保のために働くとは思えない。しかし、
前のProp38と違って、こちらは法案が通らなければ何もよくはならないという
点で、自分たちの住んでいる地域のレベルを維持して行くという観点から
賛成したいところである。 |
とにかく、この地域では住民投票が行われる。アメリカの市民はこれらの法案に
対して自分の意志を表明する訳である。日本ではまだ住民投票は認められ
ていない。しかし、原発や公共工事などの可否などを含めて地域住民が
自分の住む地域のことについて投票をし、その結果が法的効力を持つように
なってもいいのではないか。確かに国家や地域行政の方針と反対するような
住民投票結果もでるだろうが、選挙の時だけ住民の方向を向き、実際に
立法府に入ってしまえば、派閥や政党の論理で動いてしまうことの多い
現在の日本の立法の状況を見ていると、重要な法案は住民の投票によって
決めたいところである。また、人柄や政党で選挙するような今の選挙では
何が変わるのか目に見えないので投票率が低くなりがちだが、一つ一つ
の問題に対するこうした住民投票はまさに住民の日常にかかわる法律なのだから、
関心も高くなると思う。 |
ハロウィーン(10/31/2000) |
日本でも最近はずいぶんハロウィーンという言葉だけは聞くようになった。
Tokyo Disneylandなどでも、この季節はこのお祭りの名の下に様々なイベントが
繰り広げられている。しかし、日本にいる間、私は実際にこのお祭りが行われている
御目にかかたことはなかった。あるといえば去年の10月31日に心斎橋あたり
をうろついていた時、外国人の一団が思い思いに奇妙なな恰好をして地下鉄の駅を
練り歩く姿を目にするぐらいである。最初は何かのパーティが開かれるのかと
思っていたが、聞くとハロウィーンだということで、強く印象に残っている。
しかし、それは本当のハロウィーンではなかろう。私の持つイメージとしては
庭に置かれたでっかいお化けの顔をしたカボチャとお化けの恰好をした子ども
たちが家々をまわりお菓子をもらって歩くお祭りというものである。
実際にこちらに居るとわかることは、アメリカではハロウィーンはいわゆる
「子どもの日」であるということだ。子どもたちは本当にいろいろなコスチュ
ームを来て家をまわって、実に楽しそうに談笑しながらお菓子をもらってまわ
っている。 |
私のアパートに住む子供たちもそのお祭りに参加するらしく、アパートの
住人に対してハロウィーンに備えた注意書きのようなものが配られていた。
そこにハロウィーンの由来も書いてあったので引用しておこう。
それによると、そもそもハロウィーンの由来は古代ケルト人の古代信仰にあるらしい。
ケルト人の正月は11月1日だった。10月31日をもって穀物の全ての
収穫がおわり、長い冬が来るという節目を年の終わりとしたのである。そして
その年末にあたる31日は死の世界にいる魂がこの世に戻って来ると信じられ
ており、その魂を鎮めるためにそれぞれがあの世の恰好、つまりお化けの恰好を
したという。その後、キリスト文化が浸透するに連れ、この祭は形骸化して
現在のような形になってのこったという。 |
さて、ハロウィーンを楽しんだ子供は勿論大人になるわけだから、この日が
大人を巻き込まないわけはない。というか何かにつけてお祭りをしたがる
この国の人達は10月のビッグイベントとしてハロウィーンを楽しむ。私が
アメリカに着いたのは2週間も前だが、そのころから大学のオフィスや
運転免許局にいたるまでかぼちゃのおばけが(プラスチックの風船みたいな
やつだが)そこらじゅうを占拠している。テレビでも何かにつけてハロウィーン
のことが話題に登っている。Westwoodにあるパーティグッズ専門店では
毎日のように特売の広告クーポンが入る。毎週一回開かれる青空市でも
あきらかにそのためだけに使われると思しき巨大なかぼちゃが売られる。
そして、それを買っていく人も決して少なくなかった。 |
以上がハロウィーン前日までの町の様子である。これが当日になると
騒ぎはますます大きくなる。朝に銀行にいくと銀行ではハロウィーンと
いうことで店を訪れる客にチョコレートを配っていた。
また、大学で仕事を終えて買える道すがら見かけたアホな学生達。
車を運転する骸骨、バスからは狼男がおりてくるし、あやしい黒マント姿に
いたっては数知れない。(おまけに今日はWestwoodにAl Goreがやってくる
ということでさらに騒々しい。) 子供たち以上にUCLAは学生がこのお祭り
を楽しんでいる。今、私のアパートも子供たちの声で騒々しくなっている。 |
ハロウィーンはこのように大人にも子供にも楽しいイベントなのだが
今年はたいへん不幸な事件も起こってしまった。二日前の日曜日のことである。
West Los Angelsのとある家でハロウィーンのお祭りを楽しむパーティが開かれ
ていたのだが、近所の人がそのパーティがあまりにやかましいのに耐え兼ねて
警察になんとかするように通報したらしい。通報を受けてLAPDの警官が様子を
伺いにいったところ、その家の入口で酒によってお化けの恰好をしたパーティの
参加者の一人が、ふざけておもちゃの銃を向けた。すると、恐怖を感じた
警官が発砲。その参加者が死んでしまったのである。警官は彼が本ものの銃を
持っていたと判断し、その被害者は警官の恰好をした友達が玄関まで出て来たものと
勘違いしたらしい。事件は不幸と言えば不幸な話である。ただ、警官が過剰に
反応したのではないかという論調の意見もある。しかし、冗談で発砲する
輩も多いアメリカでは、過剰とは言えまい。また事態をより複雑にしている
のは、その被害者が黒人であるということ、その職業が俳優でERやLiar,Liar
などの映画にも出演したことのある人物であったという点である。これから
調べが進んでいろいろなことがわかると思うが、事件そのものは本当に偶発
的で不幸だとしかいいようがない。以前日本人留学生がハロウィーンで
お化けの恰好をして近所を回ったところ、その家の人が銃を発砲したと
言う事件があったことを思い出した。何が冗談で何が冗談でないかそういう
ことさえも人によっては感じ方が違うという点が実にアメリカらしい。
被害者の冥福を祈りたい。 |
暗い話になってしまった。話を戻そう。ハロウィーンはさっき書いたように
もとは「死者の魂の甦り」の日という意味があるので、これは丁度日本
のお盆のようなものである。日本でお化けのシーズンと言えば
お盆と相場は決まっている、怪奇特集が組まれたり心霊写真の番組が
増えたりするのもこのシーズンだ。もともと温暖多湿な夏を迎える
日本ではお化けと夏というのは結び付きやすいと思える。しかし、
アメリカでは夏は休みのシーズン。ビーチのシーズン。お化けの話で
大切な時間をやり過ごしたりはしない。おまけにからっと晴れた
この夏の気候のもとでは、柳のしたにどろどろといわれてもピンと
こない。だから、お化けのシーズンはハロウィーンである。テレビでは
怪奇物の映画、ドラマ、心霊特集などが頻繁に組まれる。エクソシスト
のディレクターズカットが今封切られているのも別に夏に間に合わなかった
からではない。今がまさにベストシーズンだからに他ならない。今日は
Westwoodから喚声が消えることはなさそうである。 |
11月は感謝祭、12月はクリスマス。アメリカ人のお祭りの季節が
はじまる。 |