なんちゃって留学生 (12/05/2000) |
LAには日本人が多い。 妻は毎週月曜日に近くのWestwood Parkで
開かれているエアロビ教室に行っているが、インストラクターが日本人と
いうこともあってか、多くの生徒も日本人である。彼女はそこに通う
人々から生活に必要な情報を集めているようである。そのうちの
一人の生徒は全くの御近所さんで、先日その家族と一緒に食事までした。
また、最初は全く偶然に知合いながら、なんだか妙に親近感があったので、
詳しく聞くと降旗さんの後輩で、かつ大浦さんの同期であることが判明
したUCLAの田中さんとも懇意にしている。妻はこの前ネットで
知り合ったアメリカ人の妻をしている日本人の女性とランチを食べに
行った。このように、知らず知らずのうちに日本人の知合いが増えた。
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これらの人の多くは大学関係者あるいは大学で働いている旦那についてきた
人々である。また、こちらには少ないがトーランスやパサデナには日本の
企業などの支店が多いので、海外赴任している日本人夫婦がおおい。実際に
トーランス辺りにはリトル東京などよりも巨大な日本人コミュニティが
あるようで、ほとんどの生活を日本語で済ませることができる。(だから、
ここで生活するとほとんど英語が上達しないらしいが) その点Westwood
近辺は日本語は全く通じないので英語を学ぶにはいいところであるのだが、
それでも、車で10分ところにあるソーテルというエリアには小さな日本人
コミュネティがあって、そこに行けば日本の食材がなんでも手に入るし、
周りにある店はみな日本語が通じる。日本語のオアシスという感じである。
こういうコミュニティが成立するくらいに日本人がいるのである。私は
ともかく、英語が苦手な妻に取っては、これくらい心強いことはないし、
妻の安心はひいては私の安心であるので、その恩恵は測り知れない。
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そのような日本人社会にある種の人々がいる。それが「なんちゃって
留学生」と呼ばれる人々である。この命名者は誰なのかは知らない。私は
田中さんから聞いた。定義は、要するに日本の教育システムに馴染めず、
ただなんとなく逃げの理由を求めてアメリカに自称語学留学してきた
人達を指すらしい。要するに冗談でアメリカに来てしまった人を指す。
まあ、確かに日本でうまくいかずに、こちらに単身
乗り込んで来ようとするからには、英語の勉強をするとか、何かそういう
モチベーションは最初はあったのだと思う。しかしながら、こちらで
英語を学ぶと言うのは日本でそれをするよりもかなり高度な学習が要求
される。こちらの「初心者」というレベルは、日本人からすると、かなり
の上級者を指すことが多く、結局日本で英語ができなくてアメリカに
来ても英語が上達する筈もなく、それでも頑張って学校に通える人は
いいが、多くは途中で挫折してしまって、帰るに帰れず、結局のところ
周りには日本語が通じる世界があるために、そこにハマリ混んでしまう
のである。 |
私達はそういう人達が集まると言う日本人コミュニティから離れて
住んでいるので、そのような具体例を知っている訳ではないし、会う訳でも
ない。UCLAに来ている人達はある程度能力があってこちらへ来ている。
(すくなくともTOEFULの成績はある程度必要。)そのために、よく学問
に励んでいるという印象を持つが。そういう世界に行くと結構いるのだと
LA歴の長い人から聞いている。確かにそういう人らしき人に会わないこと
もない。ソーテルなどに行くと、頭を真っ赤に染めたニーちゃんと厚底靴
を履いたネーちゃんが、もはや日本語の勉強をもう一回した方がよいと
思える程ひどい日本語の会話を交わしながら歩いて行く姿をよく見掛ける。
髪型や恰好で判断するのはよくないが、なんとなくそんな感じかと思ったり
している。別にそういう事例を知りたいとも思わないし、おつきあいしたい
とも思わないので、詳しく調べたことはない。
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しかし、実際にそのような人はいると、言う。アメリカ
特にLAというと、何か開放的だし(確かに天候はよい)、日本で背負っていた
様々な人間関係や社会的評価などを気にしなくてもよくなる。そういう所に
飛び出してくれば、何か新しい世界が、そして自分が開けるような錯覚に
陥るのも無理はない。しかしながら、アメリカは日本にもまして、個人の
力が試される国だし、逆に日本のような社会的なバックグラウンドがない
からこそ、自分が頑張らなければ、何もよくはならない。そのことを考えて
来なければアメリカは日本ほど住みやすい国でもないように思う。 |
といっても、そんなことがわかっている人なら安易にアメリカに
渡ってなどこないだろうから、こういう人々は今後もLAに吸い込まれ続ける
に違いない。 |