ホームレス列伝補足 (4/17/2001) |
先週末、サンフランシスコへ行って来た。私にとっては4年ぶりの
サンフランシスコである。その時の感想は後で書くとして、それはフィシャ
ーマンズワーフでの出来事であった。その中にとれたての蟹を茹でて食べさせ
る屋台が所狭しと並んでいる一帯があるのだが、私達はそこで当然蟹を購入。
そして、屋台に備え付けられた机に向かって座ってぷりぷりに茹で上げ
られた蟹を賞味し、満足していた。 |
すると、その時後ろから物乞いらしい、声が聴こえて来た。まあ、
ここは観光地で人が集まるし、そういう人も多かろうと思って、物乞いの顔
を見る事もなく最初はスルーしようと思った。しかし、聞こえてくるその物
乞いのフレーズはどこかで聞いた馴染み深いものであり、思わずふと振り向
くと、なんと彼は我々がWestwoodでよく見かけたハンバーガー叔父さん(記事:
3月16日参照)だったのである。恰好もその物乞いの手口も全く同じ。LA
と違うことと言えばはここの寒い気候を反映して、セーターを一枚余計にジャ
ケットの下に着込んでいるぐらいである。 |
妻と私は驚いた。まず浮かぶ疑問。彼はどうやってサンフランシスコに
来たのだろうか?二人の精いっぱいの詮索が始まった。
- 解答1) 物乞いと言うのは儲かる商売で、そのお金で飛行機代を捻出した。
- 解答2) ヒッチハイクした。
- 解答3) 誰かが彼をサンフランシスコに連れてきた。
- 解答4) 歩いた。
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確かに彼を最後にLAで見たのはBeverly HillsのBeverly Centerという
ショッピングモールで、あれから一ヵ月弱が経過している。歩いたという可能性
も否定は出来ない。LAからサンフランシスコは東京−大阪ぐらいのなので一ヵ
月で歩いて行けない距離ではないからだ。飛行機と言うのが一番現実的な移動手
段だが、片道約$50を(往復かも知れないそれで$82) をどうやって捻出し
たのかが不明である。それにいくら比較的綺麗な恰好をしていると言っても匂い
がしないわけではなく、それで飛行機に載せてくれるのかどうか。ホームレスを
ヒッチハイクする物好きも少ないだろうし。だとすると解答3がもっとも正解に
近いように思える。 |
そして、次に浮かぶ疑問。なぜ彼はサンフランシスコに?
- 解答1) 夏暑いLAを避けて、涼しいサンフランシスコに来た。
- 解答2) LAでは顔が売れて、物乞い商売が成立しにくくなったので場所を変えた。
- 解答3) なんとなく
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渡り鳥ではあるまいし、避暑を兼ねてサンフランシスコで物乞いとは
そりゃええ身分すぎる。気まぐれと言う線も捨てにくいが、LAで者を恵む人
が一順して商売が成立しなくなったというのも現実味がない。ひょっとしたら
物乞いをまとめるギルドみたいなのがあって、彼はそれに属していて、それが
4月になったから配置転換したのだろうか?だとすると、今彼の変わりにいる
物乞いはその組織から派遣された新しいエージェントということになる。この
話しも実はでたらめな嘘ではなくて、LAの空港ででよく慈善団体の振りをし
て、海外旅行客からお金を集めてそれをテロ活動などの資金にしている団体が
あると聞く。人の善意でそれだけの資金があつまるなら腕のよい物乞いが結託
して一つの組織をつくってそれを組織かしていても不思議ではなかろう。 |
とにかく彼はサンフランシスコにいた。そして同じように手には25¢
コインを数枚持ちハンバーガーを食べるお金をくれと道行く人にねだっているので
ある。それとは知らずお金を渡す人々がいる。想像力がそそられる出来事である。
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そして、最後の疑問。彼はLAに帰って来るのだろうか?謎は深まる
ばかりである。 |