J. Paul Getty Center (美術館)
朝10時すぎにアパートを出た 二人はMetro Bus 561番のバスに乗り、J. Paul Getty Center に向かいました。バス停はWestwood Weyburnです。日曜日という こともあって、今日のWestwoodは閑散としています。日差しも 柔らかで行楽には最適の天候です。バスに乗るとゲッティーセンター の入り口がある Getty Center Dr.(右写真)までは15分ぐらいです。LA と北部のバレーエリアを隔てている、山脈の中腹にGetty Centerは あります。この美術館はアメリカの資産家J. Paul Gettyが 集めた美術品コレクションを展示しています。以前はMalibuに あったのですが、最近こちらのエリアに引っ越してきて、新装 開館しました。 街のはずれの高台にあるので、車かバスでしか ここまで来ることは出来ませんが、車の入場台数には制限がある ので、この美術館が人気のスポットであることを考えれば、 公共バスで行くのが賢明なようです。
入り口から歩いていくと、山の頂上にある美術館まで はトラムが走っています。無人運転で、3分おきぐらいに 往復しています。車で来たお客さんも、バスで来た客も皆 ここから美術館へトラムで(右写真)向かいます。今日は日曜日という こともあるのでしょうか、お客さんがたいへん多かったので トラムではなく、トラムは一回に乗れる客の数がかなり 厳しく制限されています。)バスで上まで上がりました。 もちろん歩いて上ることもできます。
バスを降りると、目の前には大きな美術館の入り口が見えました。 ここから入場していきますが、ここは美術館ですが、その建物自体も 非常に美しく作られています。 白で統一された建物の配置が、 カリフォルニアの太陽に照らされてまぶしいくらいに輝いています。 設計したのはリチャードマイヤーという建築界のモダニズムに貢献 した人として知られています。右の入り口の回りでは水の流れる 音がさわやかでした。この美術館はGetty財団が運営しています。ですから、入場料 はありません。すべての人が自由に入ることが出来ます。荷物を クロークを預けて、中庭に入ります。
中庭に入ると、これまたたいへん美しいテラス(左写真)が 目の前に広がります。この中庭をとり 囲むように北館、東館、南館、西館という4つの展示室があり それぞれ時代別地域別に(北 17世紀、以前、東 17から 19世紀のイタリア・オランダ・ドイツ美術、南 17世紀から 19世紀のフランス・イギリス美術、西 19世紀以降の美術) 展示されています。美術品も絵画はもちろん装飾品や彫刻それに 陶器など実に多くのものが展示されています。これらの4つの 常設展示(展示内容は季節とともに少しずつ変えられています) の他に特別展示の展示館があります。今日はラファエロとその 一派という展示で、彼とその工房の人々らによる膨大な模写・ デッサンが展示されていました。常設展示の中にはエルグレコ、 レンブラント、ルーベンス、マネ、モネ、ゴッホ、セザンヌなど の有名な画家のものが数多くあります。特にここの目玉はゴッホ のIrisesです。他セザンヌのLa Pedestrainsという作品や マネのいくつかの作品がよかったです。レンブラントは小さな 作品でしたが、いずれもその特徴をよく伝えていてよかったと 思います。
また、装飾芸術などもたくさんの展示物がありました。 初心者でもその時代の美術がどのようなものであるのかを 学べるように、実にいろいろな工夫がなされています。北館 にあるガラス展示ではベネチアガラスを中心にその時代のガラス 工房の作品が囲むように展示されていました。ベネチアの 洗練された薄い透き通るようなガラスに比べて、ドイツあたり のWaldGlassなどは分厚くて、田舎のホームメード感をたっぷり 備えていました。(それでも、その緑はたいへん美しいもの でした)あるいは、フランス館ではルイ14から16世のフランス 最盛期の宮廷の部屋の様子などが忠実に再現されていて、私は シェーンブルン宮殿の中の様子とビジョンが重なり、たいへん 印象に残りました。 ロココ調とはどういう部屋のことをいうのか ネオクラシックとは、などなど本で読むより実際、その部屋に 入ってみるのが一番理解が進みます。そこにおかれた時計、マイセン の陶器などは実に仕事が細かくて素晴らしい物でした。個人的には このバロックやルネッサンス時代の調度品よりもこの時代のフランス の調度品が合うということがわかりました。
ここはもちろん美術館なので、上記のような美術品があるの はもちろんですが、ここにはもう一つ魅力があります。それは、 この美術館の建物と、そのロケーションです。展示館内は飲食 禁止ですが、一旦外へ出ると、たいへん美しいテラスで食事を 取ることが出来ます。このへんは大変アメリカらしいのですが、 メニューはホットドッグやサンドウィッチ、スープなどの簡単 なものばかりでした。しかし、どのメニューも下界で手に入る 同種のメニューとは味が洗練されており、その点でも幸せです。 美しい建物と庭園を眺めながら、テラスからは眼下にLAや サンタモニカ、そして太平洋がたいへん美しく見渡せます(左図)。 美術品を見なくても、この景色と風景を楽しむだけでも十分来た甲斐 があるというものです。事実、お客の中には自分たちの持参 したランチを芝生の上に広げて、のんびりと休日を過ごす人たち もいたようでした。ちょっと研究が煮詰まったら、バスに乗って ここのテラスで読書などということも夢ではありません。
ここは私たちの家からも近いし、ちょっと散歩ついでに来るには 場所です。二人は美しい眺めと素晴らしい展示品を見て満足しました。 (満足した二人の写真→)

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