連続講義のお知らせ
2007年9月より開始.
有限次元半単純リー群の表現論の基礎(basic)を押さえる
セミナーを始めます.
ただし, 網羅的にするのではなく世話人がいくつか話題を選んで趣味的(maniac)にします.
まず準備をしてから, と考えると
なかなか本論に入れないので, いきなり本題に入りましょう.
(基礎も固めたい人は, 講義と並行して
標準的な教科書,
例えば
小林俊行・大島利雄「リー群とリー環」岩波書店,
を読んでください.)
しかしそれは要求しません.
とりあえず「講義形式」で始めます.
ゆくゆくは文献紹介セミナーにするつもりです.
略称を BLT(= Basics on Lie Theory)とします.
研究科の公式の催しではありません.
従って単位は出ません.
日程と場所(9/20更新, 9/28更新):
初回は 9/7(金) 5限, 理1号館 552 室,
2回目は9/13(木) 5限, 理1号館 552 室,
3回目は9/20(木) 5限, 理1号館 555 室,
4回目は9/27(木) 5限, 理1号館 452 室,
5回目は10/3(水) 5限, 理1号館 552 室,
(時間を再度、変更しました、ごめんなさい)
5回目は10/12(金) 4限, 理1号館 552 室,
6回目は10/19(金) 4限, 理1号館 552 室,
7回目は10/26(金) 4限, 理1号館 552 室,以降は未定です.
世話人:落合啓之
予備知識:
線形代数は固有値, 固有べクトル, 固有空間まで.
ジョルダン分解は仮定しない.
微積では指数関数のテーラー展開, 多変数では偏微分と方向微分まで.
位相ではユークリッド空間 Rn の連続関数, 閉包まで.
群の初歩, 例えば準同形, 正規部分群, 商まで.
シローの定理などは仮定しない.
その他, 多様体, 接空間, 基本群, 係数拡大(テンソル積)などは
使う場合は説明を加えながらします.
初回のタイトルは K\backslash G/B for U(p,q).
内容は不定値ユニタリ群に対応した
旗多様体の軌道分解です.
(旗多様体はグラスマン多様体の親玉です.)
つまりはじめは表現論ではなく, 組み合わせ論と`線形代数の幾何'です.
といってもこのキーワードを知っている人を対象に講義をするのではありません.
たいていの人は何のことやら分からないと思いますので
講義当日をおたのしみに.
進行状況(9/20更新, 9/28更新)
初回:両側剰余類の定義と基本的な性質を
行列の基本変形の言葉で与えた。
p=q=1 の場合の分解を与えた。
その他のキーワードは一次分数変換、リーマン球面、射影直線、作用、軌道、共変。
2回目:グラスマン多様体、枠、旗、旗多様体、
対称空間を説明した。(すべてA型。)
線形空間を使ったモジュライ解釈を与えた。
3回目:モジュライ解釈を用いた軌道の不変量の導入。
p=q=1 の例。
p=2,q=1 の例で、6つの軌道すべてを線形代数で実現し軌道不変量を決定。
p,q 一般の場合の U(p,q) の KGB 分解の記述を2通り紹介。
(1) 対称群のinvolution と符号 (2) 松木大島記号。
最後に写像 varphi の定義と性質。
4回目:
軌道の組み合わせ的記述方法と群論的な写像が
一致することを確認。Bruhat 分解(ここまでが第1章)。
第2章 KGB分解の構造へ入る。
部分集合 V の定義と KVT 分解との同形(代表元はまたあとで触れる)。
閉包関係、放物型部分群 Pα, 写像 πα,
Atlas 図式、p=q=1の例、
p=2, q=1 の例。線形空間による解釈。
5回目(予定):
p=q=2 の例。
ヘッケ環
?回目:(未定)以上のKGB 分解および構造をルート系を用いて再定式化。
?回目:(未定)他の古典型の場合の記述。
始めた頃の予定では U(p,q) で軌道分解を済ませたあとに
早めに他の型に行く予定でしたが、
むしろ U(p,q) で線形代数を使う方法のみで
軌道分解以外の構造も徹底的にやりぬく
という方針にプランが変更されて来ています。