2000年解析学特論
Interface, Random walk and Massless Field
この講義は気分的には統計物理、数学的内容は確率論である。
水は 0度C で固体から液体へ、100度C で液体から気体に転移する。
このように物質の状態があるパラメーターを境に突如変化することは相転移
と呼ばれ、統計物理の中心的研究課題である。この講義では分離した2物質間
(例えば水と油)の界面の状態があるパラメーターを境に局在相から非局在相
に転移する現象(wetting transition)の数学的理解を目標とする。
まずランダムウォークを基礎とした比較的単純なモデル--1次元の界面 --
で感覚をつかむ。その後、多次元で再定式化し
最近の研究結果--2次元での wetting transition の存在 (Caputo-Velenik)、
3次元での非存在 (Bolthausen-Deuschel-Zeitouni)--まで進みたい。