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講演内容アブストラクト
1.建部賢弘の履歴と業績
―生誕350年を記念して―
 真島 秀行


 江戸時代の和算家(数学者)建部(彦次郎)賢弘は幕府の右筆の三男として寛文四年六月(1664年)に生まれ2014年には生誕350周年を迎えます。
 関(新助)孝和の一番弟子で、「研幾算法」、「発微算法演段諺解」、「算学啓蒙諺解大成」を刊行し、円周率の計算においては加速法の一種である累遍増約術を開発し、小数第41位まで正しい数値を得ました。また、オイラーにも先立って逆正弦関数の自乗の矢の長さに関する展開式を得ていました。
 初めは、甲府藩士として職を得、宝永元年十二月(1701年)に幕臣となり、江戸幕府の六代、七代、八代将軍に仕え、特に、八代将軍徳川吉宗の相談役として、改暦事業、日本図改訂のために尽くしました。「暦算全書」(梅文鼎著)を訳すことを命じられると中根元圭に訓点を施させ序文を付け「新写訳本暦算全書」を献上し、元禄日本図の改訂を命じられると各藩作成の元禄日本図を203の地点の測量を基に「交会法」により接合編集しました。数学の研究についても建部賢弘は「綴術算経」著し徳川吉宗に献上しています。
 講演では、駆け足で建部賢弘の履歴、業績をお話します。とくに円周率の計算方法、累遍増約術の発想について私が唱えている説をお話しします。また、最近発見された「享保日本図」についても触れます。
2.数学・理科におけるパフォーマンス評価について

 近藤 哲史

 文部科学省は,平成25年度から「多様な学習成果の評価手法に関する調査研究」事業を実施するため,委託先を公募した。この事業は,筆記試験等では評価が困難な、高校生が身に付けるべき幅広い資質・能力についての評価の妥当性の確保や信頼性の向上のために、多様な学びのニーズに対応した、多様な学習成果についての評価手法に関する調査研究を行うものであり、その成果を普及していくことで、高校教育の質保証に向けた取組を推進することを目的としている。
 愛知県教育委員会は,この事業の委託先に選定され,平成27年度まで研究を進める。平成25年度においては,外国語(英語)科及び理科の学習活動について,学習到達目標を明確にしたパフォーマンス課題及びルーブリックを作成し,このような評価手法の妥当性・信頼性を高め,生徒の資質・能力の向上を図るために実践的な調査研究を行った。そして,平成26年度からは,研究対象を数学を含む6教科に拡充し,それぞれの教科の特性を生かした評価手法に関する調査研究を実施している。
 パフォーマンス評価とは,観察や対話,自由記述,実技を含めて,人のふるまいや表現物をもとに直接的に評価する方法である。具体的には,「パフォーマンス課題」を与えて解決・遂行させ,それを評価者が,「ルーブリック」と呼ばれる評価基準表を用いながら,評価する。知識・スキルを活用・応用・統合することを求める評価手法である。
 本セミナーでは,平成25年度に愛知県立一宮南高等学校で行われた理科におけるパフォーマンス評価の調査研究を紹介しつつ,パフォーマンス評価とはどのようなものかを解説し,平成26年度から始まった,数学におけるパフォーマンス評価の取組について紹介する。