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講演内容アブストラクト
1.学校数学における数学的リテラシーの評価について
 清水 美憲


 OECDのPISAやPIAAC(国際成人力調査)等は,知識基盤社会に生きる市民に必要な数学的素養について,数学におけるリテラシーやニューメラシーをとらえる評価の枠組みと具体的な調査問題を提示し,学校数学の目標・内容・方法の再考を促す役割を果たしている。
 本セミナーでは,近年の数学的リテラシー論を振り返りつつ,初等・中等教育や大学教育における数学的リテラシーの評価に関する特徴的な調査問題とその結果を概観し,数学内外の事象の考察において用いる数学的方法に焦点を当てた数学的リテラシーの評価のあり方について考える。
2.数学教育の真の「現代化」を
 上野 健爾


 日本の数学教育は計算と問題を解くことにその重心があり、数学を概念的に理解する力の養成が極めて希薄である。たとえば、分数の計算はできても、分数とは何であるか明確に説明できる高校生は極めて少ない。
 現代の科学技術は数学に支えられて発展しているが、その事実の多くは学校数学からは見えにくくなっている。携帯電話が使えるのも、インターネットでクレジットカードを使って買い物ができるのも数学の重要な働きであるが、その一方でミサイルや無人飛行機を使って他国を攻撃できるのにも数学が大きな働きをしている。科学技術社会を支えているこうした数学の働きを知らせることは数学教育の重要な使命である。そのためにも数学教育の真の「現代化」が望まれる。
 現在の学校教育の内容の多くは17世紀の数学であり、その後の数学の進展はほとんど顔を出さない。真の「現代化」は現代数学の概念をそのまま数学教育に持ち込むのではなく、生徒の精神年齢の発達に相応しい形で数学の概念を理解させる必要がある。
 数学を概念的に理解することはどの様なことか、そのために学校数学をどう変えるとよいかについて個人的な考えを述べたい。