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講演内容アブストラクト
1.日本発位相幾何学的グラフ理論入門
 根上 生也


 点と線からなるグラフという組合せ的構造を扱うグラフ理論は,情報科学の基礎となる数学のひとつとして,20世紀の後半に急速な発展を遂げた.
 その流れとは別に,グラフを1次元図形と捉え,曲面や空間に埋め込むことで浮上する現象や構造を探求する位相幾何学的グラフ理論も独自の発展を遂げた.日本では根上を中心とする研究グループがその発展に貢献しており,様々な研究テーマを創出した.その中でも、「平面被覆予想」は1986年に根上が提起して以来、位相幾何学的グラフ理論における未解決問題として有名である.
 いわゆる四色問題や地図色分け定理の完成以後に展開された新しい位相幾何学的グラフ理論の流れを紹介し、近年、話題となっているテーマについて解説する.
2.思考力・表現力を育む数学教育の実践的研究
 田中 紀子


 OECDのPISA調査から、我が国の児童生徒については、読解力や記述式問題、知識・技能を活用する問題に課題があることが分かっている。そうした現状のもと、平成24年度からの新学習指導要領では、論理的な思考や知的コミュニケーションを図るという観点から、思考力・判断力・表現力の育成に重点を置いている。また、数学的活動を通して数学を学ぶことの楽しさや意義を実感できるように「課題学習」が導入された。
 私自身、SSH事業にここ3年ほど関わり、JST主催のSSH生徒研究発表会では、生徒が自分の言葉で課題研究内容を発表したり議論したりする姿が見られ感銘を受けた。さらに、科学の甲子園や数学甲子園などの大会では、一つの問題を複数で考えたり発表しあう協働学習の形態を取り入れている。
 今回の発表では、「科学の甲子園優勝校報告」(数学部分)に加え、通常の教育課程における授業に於いて「協働学習」の形態を取り入れた課題学習の取り組みを紹介する。具体的事例の一つとして、三角比分野における「グループで問題作り」の活動を紹介する。三角比分野を習い終えた後、4人1組のグループに分かれ、グループで「円に内接する図形」や「立体」などの問題作成課題を設定し、問題作りとその発表会(B紙に記入しプレゼンテーション)を行った実践報告である。また、「データの分析」分野においてクラスの皆のデータを集め分析した活動なども同時に紹介する。