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講演内容アブストラクト
1.不完全性定理について聞かれたら
 林 晋


 京大の全学向けにゲーデルの不完全性定理に関する歴史学・社会学の講義をした際、大教室があふれるほど理系学生が詰めかけ、そのほとんどが、すでにゲーデルや不完全性定理を知っていたことに驚きました。この様に有名な不完全性定理ですが、現在の数学においては「周辺の話題」ですから、数学科で教えられることは稀です。
 数学の専門家だからということで、不完全性定理やゲーデルについて質問されて困った経験がある方も少なくないのではないでしょうか。
 このセミナーでは、そういう時のために、次の四点について、お話したいと思います。
1. 定理の背景:数学基礎論
2.誤解と誤解の背景:「形式系理解」の難しさと不十分な歴史研究
3.数学的仕組み
4.どの教科書や参考書が良いか悪いか
2.データの分析あれこれ
 井原 俊輔


 数学氓ナ「データの分析」が扱われるなど、昨年度より高校数学での確率・統計の学習に大きな変化が加わりました。現在、新聞、雑誌、インターネットなどでいろいろなデータが表やグラフで表示されています。インターネットを利用すれば各種のデータが容易に入手でき、表計算ソフトを使えば、データの整理と分析が容易にでき、さらにその結果を図示することが可能な時代になりました。このような流れからすれば、データに基づいた議論の重要性は増加し、高校数学での確率・統計の取扱いの変化は自然な方向であり、私は、高校のみならず、大学での確率・統計の教育、学習も大きく変わっていく(べき)と考えています。このような方向性の中で、確率・統計は受験でもさほど重要でないし、自分達の生活にも関係ないし、といったこれまでの感覚は忘れ、データの活用の意義を理解し、データの分析に親近感をもってもらいたいものです。このためには、授業で生徒にとって興味のある具体例を扱うこと有用と思います。この講演では、一般論よりは、データの活用に親しみをもってもらえるような具体例を挙げることに主眼をおきます。
 4月10日の朝日新聞に「早生まれ 選手に不利?」という記事が掲載されていました。データも図示されています。この話題は以前からあちこちでささやかれていたものです。皆さんはどう考えますか? 当日はこの例から話を始めるつもりです。