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講演内容アブストラクト
1.関新助孝和の履歴書
 真島 秀行


 江戸時代の数学者(和算家)関孝和(通称は新助)について、その伝記的なことは、関家が次の代で断絶したこともあり、書類が残っておらずほとんど謎とされてきた。
 昨年(2008年)は彼の没後300年だった。記念碑指定など新たに出来ないか、という提案があり、講演者は、関孝和三百年祭記念事業実行委員長をお引き受けする前から、いくつか伝記的なことを調べなくてはならないと考え、それに関わり江戸時代の地図を調べ、『東京市史稿市街篇』の寛永年間から宝永年間までなどに目を通した。
 また、三百年忌を機会に浄輪寺資料として過去帳調査などをさせていただくという経験もし、それらを基に浄輪寺調査資料集を刊行した。
 さらに、国立国会図書館蔵の「年録」、国立公文書館蔵の「諸家系譜」、「甲府御舘記」、「甲府日記」、いろいろな機関所蔵の「甲府分限帳」を調査した。
 関孝和三百年祭の前後も含めて、講演者がこうして明らかにした伝記的なことをまとめて履歴書風に話したい。特に彼について謎中の謎と言われていたことにも触れる。
2.数学的活動による数学教育
真島 秀行


 新学習指導要領では、算数・数学的活動を通して、算数・数学を学ぶこととなっており、その活動の在り方の工夫が求められている。
 講演者は、ここ十年来、自分の研究分野の源の一つである虹の解析を調べる中で、そこにすばらしい教材があることを認識し、お茶の水女子大学附属高等学校の通称「虹の数学」のカリキュラム開発を附属高校教員とともに行ってきた。また、ある切っ掛けから、和算の歴史を学ぶことになり、やはり、塵劫記には優れた教材があることを認識し、それを現代の数学教育に活かすことを考えてきた。
 新学習指導要領の高等学校の数学Aは、「場合の数と確率」、「整数の性質」、「図形の性質」からなり、数学I同様に、課題学習を位置づけているが、「油分け算」や「光線が水球中を進む路の作図」などは、「整数の性質」や「図形の性質」それぞれの数学的活動としてふさわしいものと考えている。
 また、これらの教材は、子供の様々なレベルに応じた扱いも可能であり、講演中に可能ならば実習もしながら、これらの教材について話す。