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講演内容アブストラクト
1.応用数理のココロ −数値解析の観点から−
 三井 斌友


 数学は本来諸科学との関連のなかで成長し、また関連領域に影響を与える「相互交流」の性格を色濃くもっていました。数学独自の「コア」も実は応用の背景をもっている例は枚挙にいとまがありません。関連諸科学とのインターフェイスにあたる部分は「応用数理」と呼ばれます。
 数値解析という分野は、応用数理のなかでも大きな比重を占めるのですが、なかなか世間には知られていません。まして中等教育でもほとんどその姿が見えませんが、実は大事な役割を果たしています。
 ニュートンまでさかのぼることができる数値解析の歴史的発展にもふれながら、その現代的意味のできるだけわかりやすい解説を試み、それを通じて応用数理のココロを解き明かしたいと考えています。
2.H.フロイデンタールの数学教授論
 伊藤 伸也


 ハンス・フロイデンタール(1905-1990)は、20世紀を代表する世界的な数学教育学者の一人である。実際、数学教育国際委員会(ICMI)は、すぐれた数学教育学研究を顕彰するために、彼の名を冠したハンス・フロイデンタール賞をフェリックス・クライン賞と共に設けている。
 本講演では、フロイデンタールの数学教授論の全体像を解説したい。具体的には、人間観や数学観といった彼の数学教授論の背景をふまえた上で、数学教育全体の教授原理とフロイデンタール自身が位置づけた「追発明」を中心に、彼の数学教授論の主要な概念(「数学化」、「教授学的現象学」、「現実」、「学習過程」、「アハー体験」など)について説明する。さらに、フロイデンタールの数学教授論が今日のわが国の数学教育にも影響を与えていることを、OECD/PISAの「数学的リテラシー」の評価枠組みや、オランダ・ユトレヒト大学フロイデンタール研究所のRME理論などを通じて紹介したい。