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講演内容アブストラクト
1.励ましとしての数学史
小川 束


 数学教育における数学史の意義,方法,問題点について話題提供したいと思います.
 また,そもそも数学史とは何か,数学史と数学の方法論は何が異なるのか,というような基礎的な話題も提供できれば,と思っています.
 中学校においても,高校においても,大学においても数学史は学科の付録以上の意義を持つものであることをわたしは述べたいのですが,その第一の意義として,まず「励まし」ということを挙げたいと思います.わたし自身,数学史の研究を通して,数学を築いてきた歴史上の人々から人生における大きな励ましを受け取ることができました.
 自分の受けた感動や励ましを,次の世代に伝えられるというのは幸せなことですが,だれでも数学史からそのような力を得ることができると信じています.数学史にはそのような力があると思うのです.
 その方法については理論的にも,実践的にもこれからの課題なのですが.
2.高大接続について    −高校卒業時
・大学入学時の学力をどう担保するか?−


 いよいよ新学習指導要領が固まり,初中教育における教育改革が動き出そうとしています。「学力低下」論争を踏まえた改革です。一方大学でも大学生の変化を踏まえて学士教育をどうするかが問われています。この接点にあたる,高等学校はどんな生徒を大学に送り出すのか,大学はどんな生徒を大学に迎えようとしているのか,最も基本的な意味での高大接続が今また問題となって来ています。
 初中教育が「入試」と深く関わることはよく知られたことですが,私たちはあまりに現実に引っ張られて,この基本的な視点から入試を考えることを忘れていたのではないでしょうか?  学習指導要領改訂に向けた中央教育審議会の答申案が1月に出される予定ですが,同じ頃中教審大学分科会の方からもこの「高大接続」に関する問題提起がなされると聞いています。セミナーの開催される週頃にホットな話題となると思われますので,「高校教育と大学入学試験」の問題とも絡めて,皆さんで率直な議論を戦わせたいと考えています(浪川記)。