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講演内容アブストラクト
1.変わる高校数学教育
−新学習指導要領の目指すもの−
 浪川 幸彦


 中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会での「審議のまとめ」が公にされ,教育課程改革の基本的な方針が明らかになりました。これに基づく小学校・中学校の新しい学習指導要領案は今年暮れ頃,高等学校も少し遅れて公表される見込みです。
 メディアでは,時間数のことや小学校での外国語導入のことなどに関心が向いていますが,今回の教育課程改革では「理数離れ」や「学力低下」を踏まえて,幾つかの大切な質的な転換の方向性が出ています。
 数学に関連するものとしては,思考の基礎としての言語力の重視と日常との関連づけによる学習動機の増進が挙げられます。これは従来から言われている,数学的な思考力あるいは表現力の増進と密接に結び付くことですが,その実現方法が問題です。
 今回は「数学的活動」を重視する,というのが小中高を一貫する一つのキーコンセプトになっており,これは高等学校数学にも大きな影響を与えることになるでしょう。一言で言えば,現在の「数学基礎」のスタイルが導入されることになります。
 皆さんにできるだけ最新の情報をお伝えすると共に,実施に向けての様々のご意見を伺う機会としたく思います。
2.算数・数学の教員研修開発の現場から
 牛瀧 文宏


 この2年間、独立行政法人教員研修センターからの受託研究で、教員研修カリキュラムの開発研究に携わっております。
 開発中の研修カリキュラムは、教員の算数・数学の連携に関わる教科理解を育むものであることを目的としています。これまで私が指導助言者として参加した多くの研修では、指導法や子どもの理解についての協議が殆どでした。その重要性は疑いませんが、それだけでは異校種間の教科の壁を低くすることは出来ません。教員が算数・数学そのものへの理解を深め,それを算数・数学教育に活かすことが不可欠です。ここにこそ、数学研究者として力を貸せる場があると思い、研修開発に取り組んでいます。
 そして開発する研修は単なる知識の獲得に終わらず、参加者の自己教育力と相互教育力を喚起するものでなければならないと思っています。そのために小中(高)の教員を一堂に会してグループディスカッションを中心に研修を行います。算数・数学は教科内容と目標が明確なので、このスタイルでの研修は実行しやすく、効果的です。
 今回は、研修の疑似体験を採り入れつつ、研修開発現場のお話を披露させて頂くと共に、算数・数学の教員研修についてご意見を頂戴する機会としたいと思います。