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講演内容アブストラクト
1.場の理論と超弦理論における双対性
 菅野 浩明


 光が粒子なのか波なのかは物理学における昔からの大問題でしたが,量子論の登場によって粒子性と波動性は相矛盾するものではなく互いに両立するものであることが明らかになりました。光が持つ粒子性と波動性の双対性は物理学における双対性の典型的な例です。
 数学においても双対性の見方や考え方は至る所にみられますが,物理学における双対性には,扱う現象に応じた適切な近似によって同一の物理的対象から互いに双対関係にある2つの側面が見えてくるという点に特徴があります。
 今から10 年ほど前にサイバーグ・ウィッテン理論に端を発して超弦理論に大きな進展がありましたが,そこでは双対性の考え方が重要な役割を果たしました。現在でも,様々な双対性の理解は超弦理論研究の主要なテーマの一つです。
 この講演では2次元の場の理論におけるソリトン解を例にとって,このような双対性の考え方を説明したいと思います。
2.エルドニエフ「教授ユニットの統合」は
日本の数学教育に生かせるか?
 保坂 秀正


 カルムイク自治共和国のエルドニエフ氏を中心とする数学教育の研究集団は「教授ユニットの統合」という教育方法を提起しました。第二次世界大戦後のことです。
 教育内容をまとまったものとして捉え、それに沿った教授方法を展開するこの方法は、「数学学習指導における教授ユニットの統合」、「問題における類推」、「問題から問題へー類推」、「初等学校における数学教育の理論と方法」といった理論的な本で紹介され、いくつもの学校での実践の上に、現在では、各学年の教科書も発行されて、社会的に影響力をもってきています。
 この理論を紹介して、教科書など見ていただきながら、日本の数学教育の現状で受 け容れることが可能か、受け容れるとすれば、どのような問題が生ずるのか考えてみ たいと思います。