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講演内容アブストラクト
1.多様体論的幾何学をめぐって
浪川 幸彦


 「幾何学」とは,教育現場ではずっと「ユークリッド幾何学」を指すと考えられてきた。しかし数学では,17世紀のデカルトに始まった座標幾何学が新たな代数的方法論を提供し,19世紀に射影幾何学をはじめとする様々な幾何学を生み出す。一方でガウスによる微分幾何学は幾何学に解析的手法を導入した。これらは20世紀になって多様体論的幾何学となって統合される。そこで基本になるのは「対称性(変換群)」と「(多様体上の)関数」の概念である。
 ここではこうした現代数学における「幾何学」の基本的な枠組みである,多様体論的幾何学について,その歴史的経緯を含めて紹介する。
 20世紀には,この多様体論的幾何学が,一方で抽象代数幾何学,数論的幾何学として発展し,もう一方で場の量子論へと向かうことにより,数学の分野横断的な描像を与えつつある。その状況にもふれたい。
2.名大附属流SSHについて
福谷 敏


 本校は、体験・試行錯誤重視し、中等教育の理想のモデルを追求する現代のドンキホーテ的小規模学校である。成果主義・効率主義から離れて、教育の将来を見通せる潜在力のある立場の学校である。一方、その存置の理由について、絶えず大学内外から問われる厳しいこともある。
 全国のパイロット的役割として「総合学習」や「併設型中高一貫校(キャリア形成)」で研究開発に取り組んできた。また、大学に入ってから伸びる知的好奇心に富んだ卒業生も育ててきた。
 その流れを生かし、知的リソースに恵まれた名古屋大学との協同する「SSH」に名乗りを上げることとした。特徴は、全生徒を対象として、「サイエンスリテラシーの育成」と「自覚的なキャリア形成」を目指す中、「サイエンスの本物」や「サイエンスを作り出している人物」に触れる中、さらに大学に入ってから伸びる人材育成を目指して、その中から「サイエンスを支える人材」も育って行く場にしたいと考えている。
 本日は、数学科の教員から見た、試行錯誤・楽しみ、課題・問題点について報告し、またアドバイスを頂きたい。