講演内容アブストラクト | |
1.新しい確率論に向けて 飛田 武幸 確率論が純粋数学の一部門になったのは何時からかという問いには答え難い。とにかく、それは新しい数学の分野であって、発展に弾みがついたところである。解析・代数・幾何などの諸分野と共存しつつ、固有の課題を抱えて、装いも新たに動き出している。興味深く、また今後の稔り多い方向であると言えよう。 いま重要な事は、学問の一分野として成長しただけに、基礎を広く確固たるものにし、初歩の段階から理論構成を再検討することである。 具体的に言えば、明快さを欠くところを厳密なものとし、科学の中でより一層尊重されるような体系を確立すべきである。そのため、考えたい諸事項を例によって示したい。対象となる多くのものの中で今回とりあげたいものは、 (1) 条件つき確率、(2) ガウス分布、 (3) 離散と連続、 (4) 極限定理 で、あわせて、それらが現代の研究にどう繋がっていくかを見たい。 |
2.大学入試はどんな数学学力を見ているか? ー記述式試験とマーク式試験の比較調査中間報告ー 浪川 幸彦 センター入試,特にそのマーク式試験の在り方に批判が多い。では記述式と比較して,マーク式試験ではどんな学力が(不十分にしか)測れないのだろうか? 以前から様々のことが言われているが,実証的な調査は余り行われてこなかった。名古屋大学では今年初めモニター調査を行い,現在その結果の分析を進めつつあるが,状況はそう単純ではない。ここでは中間的な報告を行うとともに,それを踏まえて参加者全員でこの問題について意見を交わしたい。 |