2004年度後期 対象学年 3年 レベル 6単位 専門科目・選択
[科目名] 数理科学展望I-その2
[担当者] 永尾 太郎
[成績評価方法] レポートの結果により判断します.
[教科書および参考書]  教科書は指定しません. 参考書としては,
M.C. Gutzwiller, Chaos in Classical and Quantum Mechanics (Springer)
を挙げておきます.

[講義の目的] この講義の目的は, カオス系の量子力学を半古典的に記述する Selberg の
跡公式を導出することです.
    カオス系の量子力学は, 跡公式(trace formula)によって, 古典力学の言葉で記述され
ることが知られています. その簡単 な例が, 双曲面の幾何学によって実現されます.
    双曲面上の自由粒子の量子力学的エネルギー準位は, Laplace-Beltrami 演算子の固有値
によって与えられます. この講義では, 固有値の密度関数が, 自由粒子の古典的な
周期軌道についての和(Selberg の跡公式)の形に表される ことを示します. さらに,
Laplace-Beltrami 演算子の固有値を 非自明なゼロ点としてもつ Selberg のゼータ関数を
導入します.

[講義予定]  詳しい講義予定は、第1回目の講義の際に説明します.

[キーワード]  双曲幾何, Laplace-Beltrami 演算子, Modular 群, 跡公式

[履修に必要な知識]  微分積分学, 線形代数学の基本的事項. 双曲幾何の基礎知識(本講
義の「その1」で扱われます).

数理科学展望I-その2 コースデザイン案(正式版ではありません)