量子推定理論における漸近理論(その2)

レベル:入門・研究報告

第1回目

タイトル:量子1パラメータ族における推定量の漸近分布

要約

前回では量子1パラメータ族の大偏差型評価を扱った. 今回は推定量に対してしかるべき一致性を課したときの 漸近分布の形を扱う.また MSE 型の評価を行う. 第1回目では前回行った問題の定式化について もう一度触れて,その後で本論に入る.

第2回目

タイトル:マルチパラメータ-適応的測定選択モデルの漸近論

要約

前回導入した適応的測定選択モデルのマルチパラメータ版を扱う. 未知パラメータが複数になると,各パラメータ毎に最適な測定が異なる. 従って,この事情をうまく両立することが課題となる. 適当な具体例を示しながら,この問題を扱うことにする. 誤差評価の方法としては大偏差型評価 及び MSE の双方を扱うことにする.

第3回目

タイトル:量子マルチパラメータ族の1次漸近論

要約

続いて,量子マルチパラメータ族の漸近理論を扱う. しかし,量子マルチ パラメータ族の漸近理論では,量子1パラメータ族の場合と異なり一致性条件に関 する緻密な議論はなされていない.しかし,量子マルチパラメータ族の場合には 量子1パラメータ族の場合では扱えないおもしろい問題がある. 量子マルチパラメータ族の場合では各パラメータに対応する 推定量が非可換になり,複数のパラメータを同時に推定することが問題になる. 例えば1つ目のパラメータの推定に最適な推定量が2つ目のパラメータに対して は全く情報を与えないという事態が発生する.この場合1つ目のパラメータの推定 と2つ目のそれとはtrade-off の関係にあり,ある種の重み付けを行った上での最適化を 考えることになる. この場合大偏差型の評価を行うのは非常に難しく誤差評価は MSE のみで行う. また,サンプル間の量子相関を用いることによってどの程度 MSE が押さえられるか考察する.