: boson coherent 状態族
: 個々の群共変的な純粋状態族
: 個々の群共変的な純粋状態族
spin
coherent 状態族とspin
coherent 状態族
spin
coherent 状態族を 次テンソル積拡大した状態族
の推定問題を考える.
この状態族は先にも述べたように spin n/2 coherent 状態族であり,
対称テンソル積空間
への
の表現に関して,
共変的である.
このとき,群作用に関して不変な risk 関数
は,
量子類似度
の関数として書ける.
定理 2
risk 関数
が量子類似度
の
単調増加関数であれば,
以下に定義する POVM が minimax 解及び群作用不変な事前分布の下での
Bayes 解になる.
|
|
|
(4) |
なお,
は推定値として得られる
spin
coherent 状態の密度行列を表す.
また, Bayes 解であることから,
の許容性が確認できる.
証明については[10]を参照のこと.
以下この最適な POVM の下での個々の量を risk として用いた場合の
誤差の値を記す.
参考までに最適な POVM を用いたときにできる
確率分布族
について Kullback-Leibler の divergence を計算する.
であるとき,
となる.
以下,「量子相関を用いた推定」と
「量子相関を用いない非適応的な推定」の比較を行う.
が十分小さいとき
となる.したがって
は確率分布族
の Fisher 情報量を表していると考えることができ,
各状態に最適測定 を行い,得られたデータの
MLE(最尤推定量) を推定値とし,
risk 関数として
を用いると,
誤差の についての一次の項は となり,差が出ない.
しかし,より高次の評価を行うと差が出ると思われる.
なお,他の risk 関数を用いても同様の結論が得られる.
次に裾確率の両者の差に注目する.
裾確率
の についての減少率は
となるが,
「量子相関を用い無い非適応的な推定の場合」
古典論における Bahadur の結果を参考にすると,
その減少率は
となり,量子相関を用いた場合よりも悪い.
したがってここまで細かい議論を行うと
量子相関を用いる効果が見える.
以下,同様に,spin
coherent 状態族について同様の議論を行う.
この状態族の 次テンソル積拡大は spin
coherent
状態族に他ならない.
したがって,最適な POVM は()で与えたものである.
ただし,spin
coherent 状態族での
量子類似度,Bure の距離などを用いて誤差評価を行うことになるので,
()〜()が若干,異なる.
なお, 次テンソル積拡大での最適な POVM を で表した.
: boson coherent 状態族
: 個々の群共変的な純粋状態族
: 個々の群共変的な純粋状態族
Masahito Hayashi
平成13年7月10日