: 量子 i.i.d. 条件と推定量の3つのクラス
: 量子推定の枠組み
: 量子推定の枠組み
量子系 上の状態族
に対する推定量は
パラメータ空間 上に値を持つ 上の POVM
で記述される.
この推定量の精度は
真値が であるときに推定値を
としたときの誤差を
表す関数
(risk 関数)
を用いて以下で定義される.
としては
パラメータ空間 が
の部分空間であるときは
平均2乗誤差
がよく使われる. 他に
などが使われる.
後に述べたこれらの量は全て
座標の取り方に依存せず,
またユニタリ行列(作用素)の作用の下で不変である.
推定量の最適化の基準としてミニマックス法では
を最小化する を選ぶ戦略が取られる.
また,Bayes 法では
を最小化する を選ぶ戦略が取られる.
ここで は事前分布とよばれ,
あらかじめ適当にパラメータ空間上に定義された確率分布である.
特に,事前分布 の下での Bayes 法で risk 関数を
に用いた場合
は最尤法の量子版とみなすことができる.
もし,状態族 が互いに可換な密度行列ならなるのであれば,
古典的な場合の最尤法と一致する.
ただし,一般には状態族 に属する密度行列は互いに非可換であり,
その場合には, risk 関数が
であっても,
Bayes 解は事前分布 に依存する.
2つの推定量 について
が成り立ち,少なくとも1つの
で
が成り立つとき, は に対して優越するという.
推定量 に対して優越する推定量が存在しないとき
は許容的であるという.
Masahito Hayashi
平成13年7月10日