査読付き論文リスト

[1] Quiver varieties and Frenkel-Kac construction , Journal of Algebra, Vol. 321, No. 12, 3764-3789,

[2] K-theory of quiver varieties, q-Fock space and nonsymmetric Macdonald polynomials , Osaka Journal of Mathematics, Vol. 46, No. 3, 877-907,

[3] Non-commutative topological vertex and well crossing phenomena (with Masahito Yamazaki) , Adv. Theor. Math. Phys. Volume 14, Number 4 (2010), 1147-1181

[4] Refinde open noncommutative Donaldson-Thomas invariants for small crepant resolution, Pacific Journal of Mathematics 254-1 (2011), 173--209

[5] Counting invariant of perverse coherent sheaves and its wall-corssing (with H. Nakajima), Int. Math. Res. Notices 17 (2011) 3885-3938. doi: 10.1093/imrn/rnq195,

[6] Non-commutative Donaldson-Thomas invariants and vetex operators, Geometry & Topology 15 (2011) 1509--1543

[7] Derived categories of small toric Calabi-Yau 3-folds and counting invariants, The Quarterly Journal of Mathematics (2012) 63 (4): 965-1007

[8] Motivic Donaldson-Thomas invariants of the conifold and the refined topological vertex (with Andrew Morrison, Sergey Mozgovoy and Balazs Szendroi), Advances in Mathematics, Volume 230, Issues 4?6, (2012) 2065?2093

[9] Donaldson-Thomas theory and cluster algebras, to appear in Duke Math. J.

(コメント付き)プレプリントリスト

[1] Quiver varieties and Frenkel-Kac construction , Journal of Algebra, Vol. 321, No. 12, 3764-3789, math/0703107 .

箙多様体のコホモロジー上のアフィンLie代数の表現と 点のHilbertスキームのコホモロジー上のHiesenberg代数の表現とが Frenkel-Kac構成で結ばれることを示した. 結果自体は師匠のレクチャーノートの最後のページに書いてある.
同変コホモロジーについての主張は局所化定理を使った計算をしてからBoson-Fermion対応に帰着させることで証明できる. この部分は数日でできてしまって,楽しかった.
同変コホモロジーから普通のコホモロジーに落とすところは意外に面倒で,何回かぐだぐだしたセミナーをしてしまった. 特に,師匠曰く 『結果自体は何年も前に得られていたのだが, 論文に書く意味がないと思ってずっとほってあった.』 という論文を師匠に書いてもらう羽目になり,何とも頭の下がる想いだった.


[2] K-theory of quiver varieties, q-Fock space and nonsymmetric Macdonald polynomials , Osaka Journal of Mathematics, Vol. 46, No. 3, 877-907, math/0709.1767 .

師匠がセミナー中に 「q-Fock空間には標準基底があり,q-Fock空間とアフィンA型箙多様体の同変K群は同型なはずだから,アフィンA型箙多様体の同変K群の標準基底の定義はあるといえばある.」 と言っていたので,その同型を具体的に作ってみた.
Varagnolo-Vasserotの論文で便利な補題を発見して,同時固有ベクトルの構成がすぐにできた. アイデアとしてはこれ一発なのだが,その後の計算はなかなかの力作だと思う.
ただ残念なことに「この同型を使ってアフィンA型箙多様体の同変K群の標準基底の定義をする」というのは計算してみるとあまり良い定義ではなさそうである.


[3] Moduli spaces of sheaves and Frenkel-Kac construction,to appear in 数理解析研究所研究集会「群の表現と等質空間上の調和解析」 講究録別冊


[4] Counting invariant of perverse coherent sheaves and its wall-corssing (with H. Nakajima), Int. Math. Res. Notices (2011) 2011 (17): 3885-3938. doi: 10.1093/imrn/rnq195, arXiv:0809.2992.

師匠のプリンストン滞在中に某SNS上にSzendroiの非可換Donaldson-Thomas不変量について書いたら, 師匠から安定性のパラメータを動かせば中島-吉岡と同様の壁越え公式が成り立つのではないか,との書き込みがあった! 実験したみたら確かにそうなっていて,証明も簡単にできたので,恐縮ながら共著論文とさせていただいた. アイデアは極めてシンプルだし,難しいことは何もやっていないけれど, Donaldson-Thomas不変量, Pandeharipande-Thomas不変量, 非可換Donaldson-Thomas不変量の関係がすっきり理解できて,よい結果だと思う. 個人的にはM1のときに勉強していたことが役に立ったので嬉しい. 次はM2のときに勉強していたことで論文が書きたい.


[5] Derived categories of small toric Calabi-Yau 3-folds and counting invariants, The Quarterly Journal of Mathematics 2012; doi: 10.1093/qmath/har025, arXiv:0809.2994 .

[3]の論文はconifoldに対する結果だが, これを一般の3次元トーリックCalabi-Yau多様体のクレパント小解消の場合に拡張した. 基本的なアイデアはすべて[3]で出てきていて,この論文で本質的なのは多様体とポテンシャル付き箙との導来圏同値を与えること. 結局トーリック幾何の計算を実行するだけなのだが,トーリックに慣れ親しめたのでよかった. 他にもこの論文に関連して,植田さんにbrane tilingについて,木村君にCalabi-Yau代数について,伊山さんにmutationについて,色々と教えてもらった. また,Kontsevich-Soibelmanのプレプリントをもらって勉強したら,我々の壁越え公式が彼らの壁越え公式から従うことがわかったので,書いておいた. 結果そのものは[3]に毛を生やしただけだが,色々と勉強できて,書いてよかった論文だと思う.


[6] Refinde open noncommutative Donaldson-Thomas invariants for small crepant resolution, Pacific Journal of Mathematics 254-1 (2011), 173--209. DOI 10.2140/pjm.2011.254.173, arXiv:0907.3784 .

トーリック図の開いた足にYoung図を乗せるとtopological vertexが定義される. [MNOP]の(closed)GW-DTに対応するのは空のYoung図を乗せた場合である. topological vertexの原論文によると,open GWはtopological vertexで与えられる生成関数の足し上げで記述される. [3]をやったときから,空でないYoung図を乗せた場合(openな場合)への拡張が気になっていた. Youngの論文を真面目に読み直してみたら,そのまま拡張が可能であることに気づいたので,論文にした. 次の論文[6]で不変量を幾何的に構成したので,あまり意味の無い論文になってしまったような気もするが,結婚式直前の忙しい時期にやった結果だということは個人的には意義深い. 良く言えば「気持ちを切り替えて」,悪く言えば「片手間に」やった仕事なので,ある意味今後の自信になった.


[7] Non-commutative Donaldson-Thomas invariants and vetex operators, Geometry & Topology 15 (2011) 1509--1543, DOI: 10.2140/gt.2011.15.1509, arXiv:0910.5477 .

[5]で導入した不変量をモジュライ空間のEuler数として定義し直した.さらに,頂点作用素を使って生成関数の明示公式を与えた. 書いているうちに[3]以降やっていたことが色々と整理されてきて,楽しかった.面倒な部分はすべて[5]に押し付けることができたのも楽だった. 頂点作用素がなぜ現れるのか,理解できたら面白いはずだ. open ncDT不変量はクラスター圏の元に対して定義されるべきものであることも分かったので,今後まだまだ伸びる可能性があると思う.


[8] Non-commutative topological vertex and well crossing phenomena (with Masahito Yamazaki) , Adv. Theor. Math. Phys. Volume 14, Number 4 (2010), 1147-1181 arXiv:0910.5479 .

物理の人向けに書かれた論文.数学的には[5]及び[6]以上の内容は含まれていない. 論文作成にあたっては共著者に迷惑をかけっぱなしだった. 論文の書き方など色々な違いに戸惑いつつ,見習うべき点も多く勉強になったと思う.


[9] Donaldson-Thomas theory and cluster algebras, arXiv:1002.4884 .

2008年8月の関西セミナーハ・Eスでcluster代数に関する研究集会があり、そのときに伊山さんにCaldero-Chapoton公式というものについて教えてもらって、 「DT不変量みたいなものが出てくる」ということは認識していた。 2009年の4月頃に師匠による``Quiver varieties and cluster algebras''の解説があり、そこでCaldero-Chapoton公式は重要な役割を果たしていたため、 DT理論の立場からCaldero-Chapoton公式を理解しようと試みた。 6月に何回かセミナーで話をするうちにアイデアは大体揃っていたのだけれど、Kontsevich-Soibelmanの予想を使わずに、 Joyceの結果だけで証明することはできなかった。 9月にLuminyでBridgelandから彼によるJoyceの結果の改良について教えてもらい、[KS]を回避できることが分かったので、論文にすることにした。


[10] On higher Donaldson-Thomas invariants, arXiv:1002.3608 .

東京からOxfordに帰る飛行機の中で,Stoppaと戸田さんの論文に目を通していたら,D0-D6不変量の整数性が簡単に示せることがわかった. 不変量が壁越え公式の初期値と係数で決定されることに注目し,欲しい不変量に対応する(関係式の無い)箙を書いて,Joyce-Songの整数性の結果に帰着させる. 鏡映関手と組み合わせると不変量に関する非自明な等式も得られる. Oxfordに戻ってきてみると,半年くらい前に同僚のMartjin Koolが似たようなアイデアでより一般的な整数性を証明していたことが分かった.


[11] Quantum dilogarithm idetities, 数理解析研究所研究集会「量子可積分系の展開」講究録別冊B28


[12] Wall-crossing of the motivic Donaldson-Thomas invariants arXiv:1103.2922 .

Cohomological Hall algebraの論文を見ていたらC^3上の数え上げをC^2上の話に帰着させている部分があって, その部分はもっと一般化できると思っていた. 2011年の1月にZheng Hua氏を招聘した際に,Behrend-Bryan-Szendroiの結果を使うと,それが正当化できることを教えてもらった. [BBS]の結果は強力で,それを使うと壁越え公式が証明できた. 色々アピールポイントもあるけれども,[BBS]を使うために強い仮定の下で議論しており,量子クラスター代数に応用するには不十分な結果である. motivic Milnor fiberについて真面・レに勉強して,より一般の壁越え公式を示すのが当面の課題. そのために何をすべきかということは論文の中ではっきりさせたつもり.


[13] Motivic Donaldson-Thomas invariants of the conifold and the refined topological vertex (with Andrew Morrison, Sergey Mozgovoy and Balazs Szendroi), to appear in Adv. Math. arXiv:1107.5017 .

Beherend-Bryan-Szendroiの議論を[3]の状況に適用した論文.


[14] Motivic Donaldson-Thomas invariants of small crepant resolutions (with Andrew Morrison) arXiv:1110.5976 .

[13]の論文の内容を[4]の状況に拡張した論文. 共同研究者の(やり方はわかるけれどやるのはものすごく大変,という類の)計算がメイン.


[15] Mapping class group, Donaldson-Thomas theory and S-duality

[9]の論文の結果を三角形分割された曲面に付随するポテンシャル付き箙に適用すると,写像類群の対称性が現れる. 導来圏に写像類群が作用しているので,その帰結と理解することができる. 導来圏の自己同型が生成関数に制約を与えるというのは当然期待されるべきことだが,今まであまり例が知られていなかったと思う. 2010年の城崎の報告集に書いてからそのまましばらくほったらかしていたが,その後物理との関係が少し分かったので,コメントを加えた.


[16] Hyperbolic 3-manifolds and Cluster Algebras (with Yuji Terashima and Masahito Yamazaki) arXiv:1112.3106 .

4月に[Kashaev-中西]の解説を名古屋で中西さんにしてもらった次の日に,東工大まで行って寺嶋さんに[寺嶋-山崎]の解説をしてもらった. それから半年以上経って完成した論文がこれ. 主定理の証明は初等的だけれど,新しくて有意義な発見だと思う.



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