概要:  4次元時空中のアインシュタイン方程式は、唯一性定理により真空かつ漸近平坦時空において球対称回転ブラックホールであるカー族のみを定常解として持つが、D>4である高次元時空においては、ブラックリング解に代表される非球対称定常解が多数存在している。ところが、このような非球対称解は一般に解析が難しいため、近似的手法または数値解の構成による解析に頼らざるをえない。  近年、高次元ブラックホールの近似的解析手法として、「高次元極限(Large D limit)」を用いた手法が発展してきた。高次元極限においては様々なホライズン時空が単純な共通構造を持ち、ダイナミクスの解析が非常に見通しのよいものとなる。特に、ブラックホールのダイナミクスがホライズン面上の「有効理論」に帰着することがわかった。本講演では、重力の高次元極限について解説すると共に、高次元有効方程式を用いたホライズンダイナミクスの解析を紹介する。