アブスト:  超弦理論に代表されるような有効理論を「アインシュタイン理論+正準的な場+補正項」 と書き表したとき、補正項のところに曲率と運動項の相互作用が現れることがたびたびある。 そのような理論では一般に、光速を超える伝搬(超光速伝搬)があらわれる。超光速伝搬が あると、ヌル曲面を基にした因果構造解析は意味を持たない。特に、ブラックホールを定義 する際重要になってくる。  発表では、曲率と運動項の相互作用がある簡単な例として、アインシュタイン重力理論に ガウス・ボンネ補正項を加えた理論の因果構造解析を行う。ブラックホール時空の因果構造 解析を行い、以下の定理を得た。 「アインシュタイン重力+ガウス・ボンネ補正項の理論の定常な時空では、 キリング地平線が因果律の意味で地平線になっている。」 また、ホーキング輻射により小さくなっていくブラックホールでは、重力子がヌル曲面で定義した "地平線"を超えて伝搬できることを示した。